『 冒 険 譚 − ハユンのアマラーサ − 』(たぶん1986年末頃の。) 

文字数 1,065文字

 プロローグ 〜 出立の光景
 1. 樹海 〜 旅立の説明
 2. ヤチダモ族と嵐 
 3. 隊商宿

 冒 険 譚 − アウルア・ウルウィア・ウルワニス −

 ハユンのアマラーサ
 アグニスのトゥード

 アザール・ノミケ(アザールと18人。)
 イオリア、盗賊村
 ジブの八脚虫

 あたたかい/ぬるぬるのぺのぺした/泥の中で/ヤチダモ族は唄うよ。
 (海にのまれる泥のくに)

 ひとの越えない カリンシカ

 ザグの村  セドの泉水

 アトル・ウルワニ / あうるわ・アウルア

 トカレス

 センド・レーサ(児童戦士)の伝統
 呪文(オラムニ)

 中部亜熱帯地方と灼熱の北方。(地図)

 ザクの村   泥の海  カリンシカ


 古いコトバでミトラ(半身)というのがある。


 +++++++++++++++++++++++

 鳥が、ふぃーく、ふぃーく、と鳴く。
 ここはザグの村だ。
 夜明けだ。

 カン高い声で、ふぃーく、ふぃーく、ふぃーくれく、と鳴く。

 ザグの村は絶壁の腹にしがみつく、いくつもの洞窟の集落村だ。
 半島の上から見下ろす、背なに当たる太陽の熱さ。ソイレカ島が一番光を告げる頃、村の前にあるわずかの傾斜地には白い靄が渦巻き、まだ蒼い薄闇と、白い靄とが踊る。
 太陽の棲む熱い北の海からの潮流を遮る形で伸び出す《指の岬》。その西壁に張り付くようにして、剣聖ザグは彼の弟子たちのための修業の村を建てた。

 ザグの村は戦士の村である。

 明るさをまだ迎えない村の斜面を丈高い姿が歩いて行く。
 すらりとした、女だ。
 均整のとれた体格だ。
 鳥の声に、上を向く。
 黒い目に、長い黒髪の、けれどここらの者ではない、陽に灼けてはいるが白い肌をした人間だ。
 鍛え抜かれた筋肉と同様、しっかりしたアゴの線の、いい表情をしている。
 目的の洞窟の房の、窓の前に松明の灯ったままなのを見て、顔をしかめた。
 足早に近付いていく。

 「ウード!」

 慌てたように振り向いた青年の、右目には、みごとな青アザが有った。

 「……おまえか。」

 憮然とした反応に、訪問者の声が笑いを含む。

 「ひとの気配にも心づかんで、よるの夜明けに何をやっている。」
 「見て、解らんか?」
 「なるほど。」

 手には薬壺と、包帯にする麻布を持っている。

 「派手に、やられたな。」
 「誰のおかげだ。おまえ、あいつらに何を言ったんだ?」
 「……べつに。おまえ一人では心許ないから、付いて行くと。」
 「……わぁ〜るかったな!」
 「事実、剣で5本に3本、弓ではほとんど必ず、私に負けるだろうが。」

 「ほっておけ! どうせおまえは《剣聖》様だよ!」

 

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