【第18話】3つの宝。
文字数 1,459文字
移民『ノア』の重要人物が自身の父だと云う。そしてボクに託したものが在った。
父から継いだ『タカラモノ』だとタタミは言った。
……生きていたのだ。呼吸を行っている。
背後からボクの顕微鏡を覗く緋色へ話す。
寧ろ奈久留の五体全てが『ペスティス』だった。
この生きた金属は『奈久留』の体をきっと『活かす』ことが出来る。
先日の緋色の言葉を思い出す。
ボクは創りたい! 人の器の理想形、――『神器(じんぎ)』を。ボクを信じてくれた友の為に。
『黒い宝』の中に、もう人間に戻れない『死体の意志』を、奈久留という名の『ペスティスの記憶』を移していく。
俯きボクを正視できない緋色へ丁寧に教えた。
奈久留の『意志と腕』を緋色の為に使おう。と。
この石があれば『緋色と奈久留を繋ぐ』ことが可能、だと。
フォーチュンに、世の不条理に打ち勝つためには『チカラ』が、『ペスティス』が、『奈久留の腕』が緋色には必要だという事を。
それは、
『ブラック・ダド』、ホームホルダーの長を超える為にも『必要』だと。
そして、
『奈久留の腕』を移植したら最後、緋色(キミ)は、
【誰にも触れる事は許されない】
と。
成功する確率もいちじるしく低い。緋色にペストが感染る可能性も、緋色が死ぬ可能性もある。
それでも、キミは、
『奈久留さんの腕』と『黒い石』『緋色先生』3つの『結合手術』だと云う。
これが成功すれば先生にも『右手』が出来る、らしい。
難しい手術だろうけど、きっとみんな心配していない。リーダーと先生なら乗り越えられる事を疑わない。