(二)‐2
文字数 369文字
実家には、父が川居信金に出向することになったときに引っ越してきた。父と専業主婦の母の下に、俺と妹は育った。妹は地元の川居高校を卒業後、地元の不動産屋に就職した。俺は父が学生時代に通ったのと同じ慶智大学の商学部を卒業して後、不動産事業を展開する中堅マンションデベロッパーの極皇商事に入社した。その神戸支店の不動産事業部に勤務していた。
父が倒れたと言う一報を俺はその神戸で聞いた。着信自体は一五時頃にあったのだが、仕事で出られなかった。退勤して二〇時過ぎ頃に自宅に戻り、実家へ電話で折り返した。その時の母はひどく狼狽しており、電話口では「どうしたらいいかわからないから早く帰ってきて」の一点張りだった。俺は何のことだか、さっぱりわからなかったが、妹が受話器を母から奪って事情を話してくれたことで、父が倒れたことを知ることができた。
(続く)
父が倒れたと言う一報を俺はその神戸で聞いた。着信自体は一五時頃にあったのだが、仕事で出られなかった。退勤して二〇時過ぎ頃に自宅に戻り、実家へ電話で折り返した。その時の母はひどく狼狽しており、電話口では「どうしたらいいかわからないから早く帰ってきて」の一点張りだった。俺は何のことだか、さっぱりわからなかったが、妹が受話器を母から奪って事情を話してくれたことで、父が倒れたことを知ることができた。
(続く)