(二)-4

文字数 455文字

 彼が荷物を預けたのは右側だ。そしてティムが荷物を取り出したのは左側だ。「どういうことだ」とティムはつぶやかずにいられなかった。
 さらに確認するとモハメドがロッカーから立ち去るとき、入り口付近、ちょうどカメラの真下あたりで誰かとぶつかっていた。モハメドはその際にしゃがんで何かを拾ってから立ち去っていた。ぶつかったときに何かを落としたのだろう。
 相手は若い日本人男性だった。紺色のジャージのズボンに灰色のパーカーというラフな格好であった。若者も何かを落としたらしくロッカーの前で何かを拾った。若者は何かを拾うとロッカーの左側に行った。そしてティムが荷物を取り出したあたりのロッカーに鍵を入れようとしていた。しかし鍵は入らなかったようだ。男性は首を傾げながら今度は右側へ回り、ロッカーを開けた。男性は驚いた様子で左右を見回し、ロッカーの中に首を突っ込むなどしてから、小さい何かをロッカーから取り出した。目の前でそれをじっと五秒ほど見つめた後、その小さいものをポケットに突っ込み、その場を立ち去っていった。

(続く)
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