詩小説『温もり残したはずの、昨日は想い出色していた』全ての大人へ。

エピソード文字数 557文字

温もり残したはずの、昨日は想い出色していた

温もりを残していたはずの、
昨日は想い出色していた。

夢中になって愛し合った。
たった一夜にして遠い記憶よ。

いたずらに私を抱き寄せ、乱暴なキスを重ねて、
腕時計に手を当てて、足早にこの部屋を出て行く。

もう二度と帰れないのなら。
せめて最後くらい綺麗でいさせて。

冷めてしまった部屋には音がない。
淡い記憶と、いつかの傷跡だけ残す。

どれほど器用に振舞っていても、心のすれ違いはかわせない。
真面目な顔して見つめていたって、残り香は隠せない。

若さのせいになんてしたくない。
ただ飽きたのよ。理由はそれで良い。

まさか本気になったわけじゃない。
はしゃぎすぎた季節の、気まぐれな恋よ。

愛しているなんて間違っても言わないでと。
ネクタイを直し背中で聞いていたあなた。これは愛の言葉よ。

チューインガムみたいに吐き捨てて。
甘い果実、水も滴るままに頬張ればいい。

旅立ちの風は吹いていない。時間に逆らって。
過ちだらけの空へ、行く宛もなく飛び立つ。

シーツの上、冷え切った身体を温め合う。
このまま朝を止めて。はぐれてしまわぬようにと。

温もりを残していたはずの、
昨日は想い出色していた。

冷めてしまった記憶抱き寄せ、
温めようとしている。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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