第一章 ファイブカード(4)
文字数 4,035文字
メッセージコマンドが消えると同時にカナリアの名前が明るくなった。
段々とコツが掴めてきた。
画面右上のカードが赤、黄、黄、白、白とツーペアになっている。喜ぶ段階でないのは分かっているけど自然と口元が緩む。
カナリアにも理人8926の時と同じパターンで話し掛けた。
《 玄 》 何か欲しい色のカードありますか?
《カナリア》トーク申し込んでくれてありがとうございます。無理かもしれませんが、あたしはやっぱり赤が欲しいです。どうでしょうか?
女の人?、と思うと少し親近感が沸いた。
でも赤狙いのコメントには戸惑いを感じた。
赤はやっぱり最後の切り札としてまだ取っておきたい。
ここは知恵の絞りどころだ。
《 玄 》 赤は手放してしまって持っていません。でも赤は人気があるので5枚揃えるのは難しいでしょう。それなら赤を使ったフルハウスをまずは狙ってみていかがですか? 私が黄色を2枚あげるので赤と黄色のフルハウスをとりあえず作っておいて、その後、赤が1枚入ればフォーカード、もう1枚入ればファイブカードと少しずつ上を目指していくのです。
いつ誰が「バトル」を申し込んでくるか分かりませんから少しでも強い役を作っておいた方がいいと思いますよ。私の方は緑があればいいから、あとは白ぐらいでいいです。
どうでしょうか?
《カナリア》いいアドバイスありがとうございます。赤がなかなかそろわないのでどうしようかと悩んでいました。とりあえずフルハウスを狙うというのはとてもいい案だと思います。ですが、あたしは緑をすでに手放してしまって持っていません。せっかくのお話ですが、青と白ではだめですよね?
しまった!
沙織は自分の勘の悪さを嘆いた。
白以外は緑でも青でもどっちでも良かったのに、緑の方が優先順位が低く手放しやすいと判断して、そっちを要求してしまった。
ここで要求カードを変更しても怪しまれないだろうか?
1回のトーク時間は10分。
トークモード時のタイムリミットは表示されていないけど、今回はお互いに長めの文を書いているため、おそらく4分ぐらいはすでに経過しているはず。
悩んでいる余裕はあまりない。
沙織は腕組みをして、もう一度カナリアの文を読み直した。
私のアドバイスを素直に聞いていることから、どうやら彼女はポーカーゲームに疎い素人のようだ。それなら狙いを変えたからといって怪しまれることはないと思う。
仮にこちらの作戦に気付いたとしても、その情報をどうこうできるレベルでもないはず。
ここは思い切って緑を青に変更しよう。
《 玄 》 緑がないのは残念ですが、しかたありません。こちらが提案したフルハウス案を喜んでくれたので、特別に青とでも交換します。私が黄色を2枚出しますので青と白を出して下さい。
カナリアの返事はすぐに来ると思ったけれど、なかなか来なかった。
徒に時間だけが経過しいく。
残り時間を気にしながら、いつトークが終了してもいいように次のトーク候補ぎょう座の上にカーソルを合わせておいた。
右手をマウスの上に置き、玄の明かりが消えれば即連打の構えだ。
トーク時間がおそらくあと1分ぐらいになった辺りで、漸くカナリアからの返事が来た。
《カナリア》青でもいいんですね。よかった。ありがとうございます。あと、やっぱり白もいるんですね。あたしは黄色2枚もらえるならそれで十分ですから、めでたく交渉成立ですね❤
よしっ!
沙織は思わず拳を握って喜んだ。
思った通りカナリアはズブの素人、うまく誤魔化せた。
すぐに黄2枚のカードをクリックして【CHANGE】ボタンを押した。
希望通りの白のカードを入手することができ、スリーカードが完成した。
そして油断せず、すぐにぎょう座をクリックしてトークに持ち込んだ。
とんとん拍子の展開に沙織の気持ちも自然と浮かれる。
ひょっとしたら私って頭脳ゲームの才能あるのかしら。ピンチの時ほど力を発揮するタイプっていうの、これが私の本来の実力なのよね。
ちょっとの間、悦に入っていてぎょう座から話し掛けられているのに気付くのが遅れた。
《ぎょう座》もしもーし。ふつうトークを申し込んできた方から話し掛けるのが常識じゃない?
《 玄 》 すみません、ちょっと飲み物を取りに行っていたので。
《ぎょう座》飲み物!! ふざけんなよ! 今トークの途中だろーが。そんなんじゃあ、このゲーム乗り切れないぜ。まあ、人のことはいいや。で、何のカードを出してくれるの?
ここで沙織はまた考えた。
出せるカードといっても赤と青しかない。赤は最後まで温存したいけど、果たして青で乗ってくるかどうか?
それよりぎょう座が白をまだ持っているかどうかの方が心配だ。白を持たない相手にいくら交渉してもしかたがない。
ストレートに訊くべきか? 変化球でいくべきか?
悩んだ挙句、ストレートに訊く方を選択した。
《 玄 》 青のカードを出そうと思います。そちらは何を出してくれますか?
《ぎょう座》青?いらないよ。こっちも青を出そうと思っていたところだよ。緑ないの? 赤でもいいけど……。
さっきのカナリアから緑をもらえなかったことが、ここで響いてきた。
悪い流れだ。
ぎょう座が白を出してくれるのならこの際赤を出してもいいけど、問題は白をまだ持っているかどうか。できればこちらが白狙いであることは知られたくない。
だけど背に腹は代えられない。
白の有無を確かめるしかないか。
——あなたは白を持っていま……。
ここまで打ち掛けて、沙織はピタリと指を止めた。
ぎょう座のさっきのコメントが頭に引っ掛かった。
「こっちも青を出そうと思っていたところだよ。緑ないの? 赤でもいいけど……」
頭の中でカードをイメージしながらコメントを反芻する。
青を出す予定。緑が欲しいが赤でもいい……。
カチッとパズルの最後のピースが合わさり、ぎょう座の手持ちのカード全てがはっきりと見えた。
まず青を出そうと思っていて緑が欲しいという発言から、いらない青が1枚あり、緑は2枚以上あると推測できる。緑が1枚ならば青か緑を出すという発言になるからだ。
次に赤でもいいというコメントから、赤も最低でも1枚は持っていると分かる。
では赤を2枚持っている可能性はあるかというと、もし赤を2枚持っていれば「赤か緑ないの?」と訊くのが普通だ。優先順位を考慮すれば寧ろ「赤ないの?」となっていてもおかしくない。
しかしぎょう座は「緑ないの?」と訊いてきた。よって赤は1枚と断定。
あとは緑が2枚か3枚のどちらかだけど、2枚と仮定するともう1枚は黄か白ということになり、それだと緑のワンペアを除いたカードはが赤、青、黄、または赤、青、白のどちらかのパターンになるが、どちらの場合も青だけ差し出そうとしたぎょう座の発言がおかしくなる。
よって緑は3枚で、ずばりぎょう座の手札は赤、青、緑、緑、緑。
ここに緑のカードを手にいれフォーカードを完成させたいが、それが叶わないなら赤をもらって赤と緑のフルハウスを作りたいというのが心情だろう。
ぎょう座は白のカードを持っていない。白を持っていない相手に、こちらの手の内を披露する必要はない。
《ぎょう座》おい、また無視かよ。
《ぎょう座》いつまで待たせんだよ!
《ぎょう座》てめえ、ふぜけてんのか!!!!!
まったく気が短い人だ。白も持ってないくせに、偉そうに。
《 玄 》 すみません。赤も緑も持っていません。
そうコメントを書き入れると沙織は速やかに退出し、次のトーク相手騙される女をクリックした。
だけど彼女も白のカードを持っていなかった。
思いのほか白の入手が難しくなってきた。
気が付けばリストの3分の1ほどの名前が黒くなっていた。これが本当にリタイアしたプレイヤーだとすれば想像を絶するハイペースだ。まだ1時間も経っていない。
凄まじい勢いでカモがハンターに喰われていることになる。
でも……、とここで沙織は首を捻った。
おかしな現象が起きている。
黒がリタイアを表しているのなら、彼らに勝利しセカンドステージ進出を決めたゴールドのプレイヤーが同数いなければならない。なのにゴールドのプレイヤーはたった3名しかいない。
どういうこと?
私の知らないところで何が起こっているの?
それに、グレーになっているプレーヤーの意味もいっこうに分からない。
沙織はカード交渉のトークを続けながら現在9人いるグレー状態のプレイヤーについて考えた。
最初に思い至ったのがルール表に書かれている休憩の状態ではないかということだ。
だけど人生を賭けたこのファイブカードの大舞台で、9人ものプレイヤーが始まってまだ1時間未満という状況で悠長に休憩とるなんて考えられない。
自分が休憩をとって、この推測が正しいかどうかを試してみれば確認はできるけど、1度きりの休憩はいざという時のためにとっておきたい。
もう1つ試したいのは、このグレー状態のプレイヤーにトークを申し込めるかどうか、ということ。
だけど、これもトークの申し込みができなかった場合にハンターに捕まってしまうというリスクを考えると、とても試すことなんてできない。
このグレー状態にゲームに隠された謎があるような気がするんだけど、何も確かめられない以上は、まずは白を5枚集めきることを優先しよう。
なるべく与し易そうな相手と考えて、沙織は交渉相手にねずみ女を選択した。
《 玄 》 欲しいカードはありますか?
《ねずみ女》あたし、めっちゃホワイトが好きやねん。ホワイト持ってるんやったら交換してくれへん。
沙織の顔が歪んだ。
私と同じ白狙いがいた。
だから思いのほか白があふれてこないんだ!
焦燥感に泣きそうになる。
早く白を集めきらないと、白がなくなってしまう。
ねずみ女とのトークをすぐに退出して、次のトーク相手に話し掛けた。
段々とコツが掴めてきた。
画面右上のカードが赤、黄、黄、白、白とツーペアになっている。喜ぶ段階でないのは分かっているけど自然と口元が緩む。
カナリアにも理人8926の時と同じパターンで話し掛けた。
《 玄 》 何か欲しい色のカードありますか?
《カナリア》トーク申し込んでくれてありがとうございます。無理かもしれませんが、あたしはやっぱり赤が欲しいです。どうでしょうか?
女の人?、と思うと少し親近感が沸いた。
でも赤狙いのコメントには戸惑いを感じた。
赤はやっぱり最後の切り札としてまだ取っておきたい。
ここは知恵の絞りどころだ。
《 玄 》 赤は手放してしまって持っていません。でも赤は人気があるので5枚揃えるのは難しいでしょう。それなら赤を使ったフルハウスをまずは狙ってみていかがですか? 私が黄色を2枚あげるので赤と黄色のフルハウスをとりあえず作っておいて、その後、赤が1枚入ればフォーカード、もう1枚入ればファイブカードと少しずつ上を目指していくのです。
いつ誰が「バトル」を申し込んでくるか分かりませんから少しでも強い役を作っておいた方がいいと思いますよ。私の方は緑があればいいから、あとは白ぐらいでいいです。
どうでしょうか?
《カナリア》いいアドバイスありがとうございます。赤がなかなかそろわないのでどうしようかと悩んでいました。とりあえずフルハウスを狙うというのはとてもいい案だと思います。ですが、あたしは緑をすでに手放してしまって持っていません。せっかくのお話ですが、青と白ではだめですよね?
しまった!
沙織は自分の勘の悪さを嘆いた。
白以外は緑でも青でもどっちでも良かったのに、緑の方が優先順位が低く手放しやすいと判断して、そっちを要求してしまった。
ここで要求カードを変更しても怪しまれないだろうか?
1回のトーク時間は10分。
トークモード時のタイムリミットは表示されていないけど、今回はお互いに長めの文を書いているため、おそらく4分ぐらいはすでに経過しているはず。
悩んでいる余裕はあまりない。
沙織は腕組みをして、もう一度カナリアの文を読み直した。
私のアドバイスを素直に聞いていることから、どうやら彼女はポーカーゲームに疎い素人のようだ。それなら狙いを変えたからといって怪しまれることはないと思う。
仮にこちらの作戦に気付いたとしても、その情報をどうこうできるレベルでもないはず。
ここは思い切って緑を青に変更しよう。
《 玄 》 緑がないのは残念ですが、しかたありません。こちらが提案したフルハウス案を喜んでくれたので、特別に青とでも交換します。私が黄色を2枚出しますので青と白を出して下さい。
カナリアの返事はすぐに来ると思ったけれど、なかなか来なかった。
徒に時間だけが経過しいく。
残り時間を気にしながら、いつトークが終了してもいいように次のトーク候補ぎょう座の上にカーソルを合わせておいた。
右手をマウスの上に置き、玄の明かりが消えれば即連打の構えだ。
トーク時間がおそらくあと1分ぐらいになった辺りで、漸くカナリアからの返事が来た。
《カナリア》青でもいいんですね。よかった。ありがとうございます。あと、やっぱり白もいるんですね。あたしは黄色2枚もらえるならそれで十分ですから、めでたく交渉成立ですね❤
よしっ!
沙織は思わず拳を握って喜んだ。
思った通りカナリアはズブの素人、うまく誤魔化せた。
すぐに黄2枚のカードをクリックして【CHANGE】ボタンを押した。
希望通りの白のカードを入手することができ、スリーカードが完成した。
そして油断せず、すぐにぎょう座をクリックしてトークに持ち込んだ。
とんとん拍子の展開に沙織の気持ちも自然と浮かれる。
ひょっとしたら私って頭脳ゲームの才能あるのかしら。ピンチの時ほど力を発揮するタイプっていうの、これが私の本来の実力なのよね。
ちょっとの間、悦に入っていてぎょう座から話し掛けられているのに気付くのが遅れた。
《ぎょう座》もしもーし。ふつうトークを申し込んできた方から話し掛けるのが常識じゃない?
《 玄 》 すみません、ちょっと飲み物を取りに行っていたので。
《ぎょう座》飲み物!! ふざけんなよ! 今トークの途中だろーが。そんなんじゃあ、このゲーム乗り切れないぜ。まあ、人のことはいいや。で、何のカードを出してくれるの?
ここで沙織はまた考えた。
出せるカードといっても赤と青しかない。赤は最後まで温存したいけど、果たして青で乗ってくるかどうか?
それよりぎょう座が白をまだ持っているかどうかの方が心配だ。白を持たない相手にいくら交渉してもしかたがない。
ストレートに訊くべきか? 変化球でいくべきか?
悩んだ挙句、ストレートに訊く方を選択した。
《 玄 》 青のカードを出そうと思います。そちらは何を出してくれますか?
《ぎょう座》青?いらないよ。こっちも青を出そうと思っていたところだよ。緑ないの? 赤でもいいけど……。
さっきのカナリアから緑をもらえなかったことが、ここで響いてきた。
悪い流れだ。
ぎょう座が白を出してくれるのならこの際赤を出してもいいけど、問題は白をまだ持っているかどうか。できればこちらが白狙いであることは知られたくない。
だけど背に腹は代えられない。
白の有無を確かめるしかないか。
——あなたは白を持っていま……。
ここまで打ち掛けて、沙織はピタリと指を止めた。
ぎょう座のさっきのコメントが頭に引っ掛かった。
「こっちも青を出そうと思っていたところだよ。緑ないの? 赤でもいいけど……」
頭の中でカードをイメージしながらコメントを反芻する。
青を出す予定。緑が欲しいが赤でもいい……。
カチッとパズルの最後のピースが合わさり、ぎょう座の手持ちのカード全てがはっきりと見えた。
まず青を出そうと思っていて緑が欲しいという発言から、いらない青が1枚あり、緑は2枚以上あると推測できる。緑が1枚ならば青か緑を出すという発言になるからだ。
次に赤でもいいというコメントから、赤も最低でも1枚は持っていると分かる。
では赤を2枚持っている可能性はあるかというと、もし赤を2枚持っていれば「赤か緑ないの?」と訊くのが普通だ。優先順位を考慮すれば寧ろ「赤ないの?」となっていてもおかしくない。
しかしぎょう座は「緑ないの?」と訊いてきた。よって赤は1枚と断定。
あとは緑が2枚か3枚のどちらかだけど、2枚と仮定するともう1枚は黄か白ということになり、それだと緑のワンペアを除いたカードはが赤、青、黄、または赤、青、白のどちらかのパターンになるが、どちらの場合も青だけ差し出そうとしたぎょう座の発言がおかしくなる。
よって緑は3枚で、ずばりぎょう座の手札は赤、青、緑、緑、緑。
ここに緑のカードを手にいれフォーカードを完成させたいが、それが叶わないなら赤をもらって赤と緑のフルハウスを作りたいというのが心情だろう。
ぎょう座は白のカードを持っていない。白を持っていない相手に、こちらの手の内を披露する必要はない。
《ぎょう座》おい、また無視かよ。
《ぎょう座》いつまで待たせんだよ!
《ぎょう座》てめえ、ふぜけてんのか!!!!!
まったく気が短い人だ。白も持ってないくせに、偉そうに。
《 玄 》 すみません。赤も緑も持っていません。
そうコメントを書き入れると沙織は速やかに退出し、次のトーク相手騙される女をクリックした。
だけど彼女も白のカードを持っていなかった。
思いのほか白の入手が難しくなってきた。
気が付けばリストの3分の1ほどの名前が黒くなっていた。これが本当にリタイアしたプレイヤーだとすれば想像を絶するハイペースだ。まだ1時間も経っていない。
凄まじい勢いでカモがハンターに喰われていることになる。
でも……、とここで沙織は首を捻った。
おかしな現象が起きている。
黒がリタイアを表しているのなら、彼らに勝利しセカンドステージ進出を決めたゴールドのプレイヤーが同数いなければならない。なのにゴールドのプレイヤーはたった3名しかいない。
どういうこと?
私の知らないところで何が起こっているの?
それに、グレーになっているプレーヤーの意味もいっこうに分からない。
沙織はカード交渉のトークを続けながら現在9人いるグレー状態のプレイヤーについて考えた。
最初に思い至ったのがルール表に書かれている休憩の状態ではないかということだ。
だけど人生を賭けたこのファイブカードの大舞台で、9人ものプレイヤーが始まってまだ1時間未満という状況で悠長に休憩とるなんて考えられない。
自分が休憩をとって、この推測が正しいかどうかを試してみれば確認はできるけど、1度きりの休憩はいざという時のためにとっておきたい。
もう1つ試したいのは、このグレー状態のプレイヤーにトークを申し込めるかどうか、ということ。
だけど、これもトークの申し込みができなかった場合にハンターに捕まってしまうというリスクを考えると、とても試すことなんてできない。
このグレー状態にゲームに隠された謎があるような気がするんだけど、何も確かめられない以上は、まずは白を5枚集めきることを優先しよう。
なるべく与し易そうな相手と考えて、沙織は交渉相手にねずみ女を選択した。
《 玄 》 欲しいカードはありますか?
《ねずみ女》あたし、めっちゃホワイトが好きやねん。ホワイト持ってるんやったら交換してくれへん。
沙織の顔が歪んだ。
私と同じ白狙いがいた。
だから思いのほか白があふれてこないんだ!
焦燥感に泣きそうになる。
早く白を集めきらないと、白がなくなってしまう。
ねずみ女とのトークをすぐに退出して、次のトーク相手に話し掛けた。