詩小説『古びた四線ノート』3分の青春。あの頃を懐かしむ大人へ。

エピソード文字数 471文字

古びた四線ノート

古びた四線ノートの、片隅に書かれた、
あなたの落書きを、大事にしまっている。

重いタンスの、引き出し三番目、鈍い音で開けてみれば、
秋服の下に埋もれ、そのノートはある。

厚いサイン色紙に、円を描くように書かれた、寄せ書きみたいに。
癖のある文字を、何度も見返しては、慰められるの。
筆圧込めた、滲むインクは、優しい色してる。

通うことのなくなった、道で見かけたあなた。
ボンネットが弾いた光は、青春を連れて。
青い車、ベビー イン ザ カーのステッカーをつけていた。
立ち尽くす私の前、T字路のカーブ切れば、想い出は消えていった。

破り、ちぎった、紙切れを拾い集めて。
あなたの文字が揃うように並べてみたの。
忘れ去ろうとした記憶の、破片集めて寄り添うの。

走馬灯はあなたを中心に、駆け巡るの。
煌めいたのは、青春でもなく、あなた自身だったのね。
言えなかった言葉は、今も捨てずに持っている。
言えなかった言葉は、今も大事にしまっている。

大人になって気づいたの。
あれは、恋だった。

紛れもなく、恋だった。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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