■第13話 履いているのにお尻まるだしみたい
文字数 4,115文字
「それでは、第一回月欠けの街フルムーン主催空中飛行レース開始します!」
空中に巨大な赤い円の映像が3つ浮かび上がる。
「ピ」という音と共に、右側の赤い丸が青く変わる。
「ピ……ピ」3つの円が全て青く変わった。
「ドーン」という銃声と共に、100体の飛行恐竜達が一斉に羽ばたく。
ついにはじまった。
合図とともにアルゲンタヴィスが上空へと飛び立つ。
ボクは急激に上昇する重力をまともに受けることになった。
「うわあああああああ!!!!!!!!」
身体にかかる物凄い重圧。
身体にぶつかる空気の塊。
上昇に伴う浮遊感がもたらす不安定さは、ボクの恐怖心を加速させる。
おまけに競技者が一斉に飛び立ったために、周囲に風の流れが起こり、その風圧がボクの体を飲み込む。
「ひやぁあぁゃやあぁあ……!!」
スタート地点にいた係員があっというまに小さくなっていた。
ボクは思い切って前方に目を向ける。
まず目に入ってきたのは、視界一杯に横へと連なる地平線。
青い空は遠くに行くほど白く薄くなっていた。
地平線の上部には、山々が連なり、そして敷き詰められた果てしなく広がりを持つ雲の絨毯 。
浮かぶ島々がいたる所に散りばめられている。
遠くの木々がどんどんこっちへやってくる。
森の中に突如現れる遺跡。
砂漠にぽつんと建つ巨大な建造物。
木ほどもある巨大なキノコの森。
ボクがまだ知らない世界が、次々とボクにその姿を現してくれている。
視界に入ったこの世界のどこもかしこも、全てに何かがあるんだ。
森があったり、湖があったり、街があったり、砂浜があったり。
それがこの世界の果てまでずっと続いている。
ボクが知ったのはそのごく一部でしかなかったんだ。
これが新しいボク達の世界なんだ……!
アルゲンタヴィスが翼をはためかす度、地平線が揺れ、ボクの体はふわりと重力から解放される。
怖すぎて、景色がすごすぎて、初めて味わう感覚に驚きすぎて、ボクはもうわけがわからないほど興奮しすぎている。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!」
大声で叫ばないと、そして自分の興奮を無理やり高めないと怖くて仕方が無くなるという強い危機感がボクを襲っている。
高い所が怖い? そんなこと考えた時点でお終いだというリアルな緊張感。
体に感じる風圧がより速さを感じさせる。
ボクのツインテールがまるでボクの翼のようにはためいてるんだ。
「ボクは今、空を飛んでるよーーー!!!!」
もっとゆっくりゆったり飛びたい。
そうすれば、もっと空を楽しめるのに。
レースじゃなかったら、あそこの遺跡まで飛んでいって空からじっくり眺めてみたい。
レースじゃなかったなら、あの浮かんでいる島をぐるりと回ってみたい。島の上に上陸し、一体何があるのか探検したい!
「あはは。大丈夫そうね」
ボクの左側に、オレンジ色のアルゲンタヴィスに乗った姉ちゃんが寄ってきた。
「姉ちゃん! すごいね、空を飛ぶのってほんっとすごいね!!」
姉ちゃんは目を瞑り、少し顔をあげて浮遊感を楽しんでいた。
「うん……こんな素晴らしいものだとは思わなかったわ。萌生も楽しんでるようで安心した」
本当に空を飛ぶって素晴らしい。
こんなにも素晴らしいことがあるって知ってしまった。
ボクの人生に、こんな素敵な事が起こるなんて。
こんなにも興奮する出来事がボクに起こってしまったなんて。
もう……あのつまらなかった人生とは違うんだ。
「姉ちゃん、絶対空飛ぶ恐竜を捕まえよう! ボクゆっくり空から冒険したいよ!」
「ええ。あたしも同じこと考えてた。あたし達だけの空飛ぶ乗り物、いえ、空飛ぶパートナーを探しましょ」
「うん!!」
ボクは前方を先行する集団に目を向ける。
ボクはかなり上空にあがっていたため、低空でスタートダッシュをかけた高速のプテラノドン達は下方面のかなり先に見えた。
「姉ちゃん、ボクは大丈夫。だから、先に進んで! ボクに構わずレースで勝ってよ! 優勝した姉ちゃんをボクは見たいな!」
「ゆ、優勝はさすがにハードル高すぎでしょ……でも、萌生にそんなこと言われちゃ……負けてらんないわ!」
姉ちゃんはボクの方を向き、ボクが大丈夫そうだと確認した後、右手をボクに振って速度を上げた。
「萌生は無理しないでね! それじゃ行ってくる!」
姉ちゃんは手綱を操り、滑空しながら速度を上げていった。
「ボクってもしかして最下位?」
後ろを振り向いてみると、ボクの真後ろに5人ほど固まっていた。
ボクとの距離を至近距離で維持しながら、同じスピードで飛んでいる。
なんだろう? ボクを追尾してる?
その時、右上空に影が差した。
見上げると巨大なケツァルコアトルが飛んでいた。
そしてそのケツァルを追いかけるように、10匹の恐竜達が後に続いていた。
「そこのおチビちゃん。こっちにいらっしゃい!」
女性の声だ。
おチビちゃんって、もしかしてボクの事だろうか?
ケツァルコアトルがボクの下前方に移動してきた。
すごい大きさだ。翼の長さがとんでもなく長い。
アルゲンタヴィスの4倍以上はあるだろう。
ケツァルに乗っていた女性が後ろを振り向き、ボクに手招きをしている。
「ほら、そこのおチビちゃん。このケツァルに乗っかって。早くしなさい!」
え? いくらケツァルが大きくて余裕で乗れるとは思うけど、何故そんなことを?
「あなた、何で下着履いてないの! 後ろから男共に覗かれてるのわかってないのかしら!?」
そうだった。ボクは漏らしたパンツを脱いでいたんだった。
後ろを振り向くと、先ほどの5人はボクを追尾したままだった。
ボクが顔をみると、不自然に顔を逸らして横を向いている。
見られていたっ……!?
「早く乗りなさい! 着替えが無いならわたくしのを差し上げますわ!」
よく見ると、以前冒険者ギルドですれ違った金髪縦ロールの女性だ。
名前は確か……エレットさんだったかな。
「あのケツァルの背中に降りれる?」
ボクはアルゲンタヴィスに声をかける。
すると、「クェー」と一鳴きして、ケツァルの背中に着陸した。
「ほら、早くこっちにいらっしゃい。着替えの下着を差し上げますわ」
「え、ボク怖くて降りられません……」
そんなボクを見て「はぁ」と溜息をつくと、エレットは手綱を離してボクへと歩いてきた。
ケツァルの背中はとても広く安定している。
しかし、歩いてその背中を渡ってくるとはとんでもない勇気がいるだろう。
それをボクの為に危険を冒してまでやってくれるなんて。
「ほら、サドルのベルト外しなさいな」
エレットがボクのベルトに手をかけた。
「ご、ごめんなさい。ボク怖くてベルト外せません……」
再び溜息を吐くエレット。
「しかたがないですわね……」
そういうとエレットは自分のスカートを捲り上げた。
当然エレットの下着がボクの目に入る。
「な、何してるんですか!?」
ボクの言葉に頬を赤らめながらエレットは答える。
「勘違いしないで。ベルトを外さずに下着を履かせるには、この下着しかありませんの。変な下心は無いので安心なさい」
そういうと、エレットは両側の下着の紐をほどき、代わりに渡そうとしていた下着を履いた。
そしてボクへと近づいて、下着をボクの股の下へと通した。
エレットがボクに履かせようとしているのは、いわゆるヒモパンというやつだ。
怖くてベルトが外せないボクに無理やり履かせるにはこういう形状のパンツが最適解だというのは解る。
でも、自分のを脱いでまで履かせてくれるなんて……エレットって優しいんだろうけど、かなり変な人みたいだ。
きっと言葉の根源に「おせっかい」とかあるに違いない。
エレットはボクにヒモパンを履かせると、安心したようにボクの腰を撫でた。
「これでよしっと。もう変な男共に覗かれても安心だわ」
でも、ヒモパンって初めて履いたけど……お尻や股間にかなり食い込んで、しかも普段よりかなり下に履く物なんだなぁ。
「履いているのにお尻まるだしみたい」
すると、エレットはボクのお尻をペチンと叩いた。
「ノーパンだったくせに何を言っているのかしら。まったくもう!」
そのままエレットはケツァルのサドルまで戻っていった。
「ありがとうございます。エレットさん」
ボクの言葉で振り返るエレット。
「あら、わたくしの名前をどうして知っているのかしら? まあいいわ。あなたお名前は?」
「ボクは、宗乃 萌生 っていいます」
「そう、萌生ちゃん。これは貸よ。終わったらご飯でもおごるから貸を返しなさい」
貸だというのに、ご飯をおごってくれるなんて……変な人だなぁ。
でも悪い人じゃないのはわかる。
「はい! またお会いしてきちんとお礼させてください!」
エレットは頬を膨らませ、唇をツンと突き出してボクに手を振った。
「勘違いしないでよね! あなたの為にやったわけじゃないのよ?」
なんとなく他のエレットが持つ言葉の根源が分かった気がした。
「それじゃボク、行きますね!」
ボクは手綱を握って、アルゲンタヴィスを飛び立たせた。
しかも今のやり取りのおかげでかなりの距離をケツァルの背中で過ごすことができた。
スタミナも温存できたみたい。
ちょっとラッキーだったね。
「それにしても、エレットさんかぁ……いい友達になれそうな気がするよ」
笑顔でボクに手を振るエレットさんに、ボクも笑顔で手を振った。
「NPCでもやっぱりいい人はいるんだね。転生前は友達できなかったけど、もしかしたらボクにも友達……出来るのかな?」
空中に巨大な赤い円の映像が3つ浮かび上がる。
「ピ」という音と共に、右側の赤い丸が青く変わる。
「ピ……ピ」3つの円が全て青く変わった。
「ドーン」という銃声と共に、100体の飛行恐竜達が一斉に羽ばたく。
ついにはじまった。
合図とともにアルゲンタヴィスが上空へと飛び立つ。
ボクは急激に上昇する重力をまともに受けることになった。
「うわあああああああ!!!!!!!!」
身体にかかる物凄い重圧。
身体にぶつかる空気の塊。
上昇に伴う浮遊感がもたらす不安定さは、ボクの恐怖心を加速させる。
おまけに競技者が一斉に飛び立ったために、周囲に風の流れが起こり、その風圧がボクの体を飲み込む。
「ひやぁあぁゃやあぁあ……!!」
スタート地点にいた係員があっというまに小さくなっていた。
ボクは思い切って前方に目を向ける。
まず目に入ってきたのは、視界一杯に横へと連なる地平線。
青い空は遠くに行くほど白く薄くなっていた。
地平線の上部には、山々が連なり、そして敷き詰められた果てしなく広がりを持つ雲の
浮かぶ島々がいたる所に散りばめられている。
遠くの木々がどんどんこっちへやってくる。
森の中に突如現れる遺跡。
砂漠にぽつんと建つ巨大な建造物。
木ほどもある巨大なキノコの森。
ボクがまだ知らない世界が、次々とボクにその姿を現してくれている。
視界に入ったこの世界のどこもかしこも、全てに何かがあるんだ。
森があったり、湖があったり、街があったり、砂浜があったり。
それがこの世界の果てまでずっと続いている。
ボクが知ったのはそのごく一部でしかなかったんだ。
これが新しいボク達の世界なんだ……!
アルゲンタヴィスが翼をはためかす度、地平線が揺れ、ボクの体はふわりと重力から解放される。
怖すぎて、景色がすごすぎて、初めて味わう感覚に驚きすぎて、ボクはもうわけがわからないほど興奮しすぎている。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!」
大声で叫ばないと、そして自分の興奮を無理やり高めないと怖くて仕方が無くなるという強い危機感がボクを襲っている。
高い所が怖い? そんなこと考えた時点でお終いだというリアルな緊張感。
体に感じる風圧がより速さを感じさせる。
ボクのツインテールがまるでボクの翼のようにはためいてるんだ。
「ボクは今、空を飛んでるよーーー!!!!」
もっとゆっくりゆったり飛びたい。
そうすれば、もっと空を楽しめるのに。
レースじゃなかったら、あそこの遺跡まで飛んでいって空からじっくり眺めてみたい。
レースじゃなかったなら、あの浮かんでいる島をぐるりと回ってみたい。島の上に上陸し、一体何があるのか探検したい!
「あはは。大丈夫そうね」
ボクの左側に、オレンジ色のアルゲンタヴィスに乗った姉ちゃんが寄ってきた。
「姉ちゃん! すごいね、空を飛ぶのってほんっとすごいね!!」
姉ちゃんは目を瞑り、少し顔をあげて浮遊感を楽しんでいた。
「うん……こんな素晴らしいものだとは思わなかったわ。萌生も楽しんでるようで安心した」
本当に空を飛ぶって素晴らしい。
こんなにも素晴らしいことがあるって知ってしまった。
ボクの人生に、こんな素敵な事が起こるなんて。
こんなにも興奮する出来事がボクに起こってしまったなんて。
もう……あのつまらなかった人生とは違うんだ。
「姉ちゃん、絶対空飛ぶ恐竜を捕まえよう! ボクゆっくり空から冒険したいよ!」
「ええ。あたしも同じこと考えてた。あたし達だけの空飛ぶ乗り物、いえ、空飛ぶパートナーを探しましょ」
「うん!!」
ボクは前方を先行する集団に目を向ける。
ボクはかなり上空にあがっていたため、低空でスタートダッシュをかけた高速のプテラノドン達は下方面のかなり先に見えた。
「姉ちゃん、ボクは大丈夫。だから、先に進んで! ボクに構わずレースで勝ってよ! 優勝した姉ちゃんをボクは見たいな!」
「ゆ、優勝はさすがにハードル高すぎでしょ……でも、萌生にそんなこと言われちゃ……負けてらんないわ!」
姉ちゃんはボクの方を向き、ボクが大丈夫そうだと確認した後、右手をボクに振って速度を上げた。
「萌生は無理しないでね! それじゃ行ってくる!」
姉ちゃんは手綱を操り、滑空しながら速度を上げていった。
「ボクってもしかして最下位?」
後ろを振り向いてみると、ボクの真後ろに5人ほど固まっていた。
ボクとの距離を至近距離で維持しながら、同じスピードで飛んでいる。
なんだろう? ボクを追尾してる?
その時、右上空に影が差した。
見上げると巨大なケツァルコアトルが飛んでいた。
そしてそのケツァルを追いかけるように、10匹の恐竜達が後に続いていた。
「そこのおチビちゃん。こっちにいらっしゃい!」
女性の声だ。
おチビちゃんって、もしかしてボクの事だろうか?
ケツァルコアトルがボクの下前方に移動してきた。
すごい大きさだ。翼の長さがとんでもなく長い。
アルゲンタヴィスの4倍以上はあるだろう。
ケツァルに乗っていた女性が後ろを振り向き、ボクに手招きをしている。
「ほら、そこのおチビちゃん。このケツァルに乗っかって。早くしなさい!」
え? いくらケツァルが大きくて余裕で乗れるとは思うけど、何故そんなことを?
「あなた、何で下着履いてないの! 後ろから男共に覗かれてるのわかってないのかしら!?」
そうだった。ボクは漏らしたパンツを脱いでいたんだった。
後ろを振り向くと、先ほどの5人はボクを追尾したままだった。
ボクが顔をみると、不自然に顔を逸らして横を向いている。
見られていたっ……!?
「早く乗りなさい! 着替えが無いならわたくしのを差し上げますわ!」
よく見ると、以前冒険者ギルドですれ違った金髪縦ロールの女性だ。
名前は確か……エレットさんだったかな。
「あのケツァルの背中に降りれる?」
ボクはアルゲンタヴィスに声をかける。
すると、「クェー」と一鳴きして、ケツァルの背中に着陸した。
「ほら、早くこっちにいらっしゃい。着替えの下着を差し上げますわ」
「え、ボク怖くて降りられません……」
そんなボクを見て「はぁ」と溜息をつくと、エレットは手綱を離してボクへと歩いてきた。
ケツァルの背中はとても広く安定している。
しかし、歩いてその背中を渡ってくるとはとんでもない勇気がいるだろう。
それをボクの為に危険を冒してまでやってくれるなんて。
「ほら、サドルのベルト外しなさいな」
エレットがボクのベルトに手をかけた。
「ご、ごめんなさい。ボク怖くてベルト外せません……」
再び溜息を吐くエレット。
「しかたがないですわね……」
そういうとエレットは自分のスカートを捲り上げた。
当然エレットの下着がボクの目に入る。
「な、何してるんですか!?」
ボクの言葉に頬を赤らめながらエレットは答える。
「勘違いしないで。ベルトを外さずに下着を履かせるには、この下着しかありませんの。変な下心は無いので安心なさい」
そういうと、エレットは両側の下着の紐をほどき、代わりに渡そうとしていた下着を履いた。
そしてボクへと近づいて、下着をボクの股の下へと通した。
エレットがボクに履かせようとしているのは、いわゆるヒモパンというやつだ。
怖くてベルトが外せないボクに無理やり履かせるにはこういう形状のパンツが最適解だというのは解る。
でも、自分のを脱いでまで履かせてくれるなんて……エレットって優しいんだろうけど、かなり変な人みたいだ。
きっと言葉の根源に「おせっかい」とかあるに違いない。
エレットはボクにヒモパンを履かせると、安心したようにボクの腰を撫でた。
「これでよしっと。もう変な男共に覗かれても安心だわ」
でも、ヒモパンって初めて履いたけど……お尻や股間にかなり食い込んで、しかも普段よりかなり下に履く物なんだなぁ。
「履いているのにお尻まるだしみたい」
すると、エレットはボクのお尻をペチンと叩いた。
「ノーパンだったくせに何を言っているのかしら。まったくもう!」
そのままエレットはケツァルのサドルまで戻っていった。
「ありがとうございます。エレットさん」
ボクの言葉で振り返るエレット。
「あら、わたくしの名前をどうして知っているのかしら? まあいいわ。あなたお名前は?」
「ボクは、
「そう、萌生ちゃん。これは貸よ。終わったらご飯でもおごるから貸を返しなさい」
貸だというのに、ご飯をおごってくれるなんて……変な人だなぁ。
でも悪い人じゃないのはわかる。
「はい! またお会いしてきちんとお礼させてください!」
エレットは頬を膨らませ、唇をツンと突き出してボクに手を振った。
「勘違いしないでよね! あなたの為にやったわけじゃないのよ?」
なんとなく他のエレットが持つ言葉の根源が分かった気がした。
「それじゃボク、行きますね!」
ボクは手綱を握って、アルゲンタヴィスを飛び立たせた。
しかも今のやり取りのおかげでかなりの距離をケツァルの背中で過ごすことができた。
スタミナも温存できたみたい。
ちょっとラッキーだったね。
「それにしても、エレットさんかぁ……いい友達になれそうな気がするよ」
笑顔でボクに手を振るエレットさんに、ボクも笑顔で手を振った。
「NPCでもやっぱりいい人はいるんだね。転生前は友達できなかったけど、もしかしたらボクにも友達……出来るのかな?」