第14話:成宮賢、早期退職に同意

文字数 2,771文字

 2011年3月11日の東日本大震災。その後の東電福島第一電発の原子炉溶融、爆発、大量の放射能汚染の問題で成宮賢は気が滅入った。更に、2011年10月5日、膵臓腫瘍の転移による呼吸停止によりパロアルトの自宅で死去した。享年56没。2012年5月17日、ソニーの2011年度決算が9.6%の減収、最終赤字4567億円と判明した。

 決算発表後、2012年度はエレクトロニクス事業の黒字化で営業利益1800億円予測を立てたが2012年4月10日、2012年3月期の連結業績見通しを下方修正し2012年3月期の業績下方修正は4回目。売上高の6兆4000億円、営業利益950億円の赤字、税引前利益の1150億円の赤字は据え置いたが当期純利益を2200億円の赤字から5200億円への赤字に修正。

まさにソニー史上最悪の決算だった。その責任問題が話題になり、ソニー・プレーステーションの赤字問題が浮上。当時・ソニー・コンピュータエンタ テインメント・技術部長の成宮賢に本社首脳部から秘密裏に割増退職金7千万円が提示された。東日本大震災と東電福島原発事故、スティーブ・ジョブズの死、プレーステーションの赤字問題の三重苦で、苦悩の日々を送った。そして1人悩み続けた時2012月の8月1日、姉の成宮照子の住むアメリカ西海岸のサンディエゴに飛び立った。

 そして8月5日、ジョブズの眠るサンノゼ・パロアルトのアルタ・メサ祈念公園の墓地を訪ねて墓の前で手を合わせて拝むと曇り空から一筋の太陽に光が成宮賢の方にさした。まるでジョブズが、よく来たなと歓迎しているように思え、目をつぶると、在りし日のジョブズの優しい笑顔が浮かんだ。彼は外部には、こわもてだったが仲間や友人には、いつも、やさしかった。

謙虚で気弱な一面も持っていたことを成宮賢は思い出した。ピクサーの買収の話も最初に聞かされたり、いつもドキドキ、ハラハラさせられた事が懐かしく思い出された。その後、姉の成宮照子も2年前に定年退職していた。成宮賢が、仕事一筋で結婚していない事を知っていて、ソニーアメリカの時、一緒に働いていた。スザンナを家に呼んで紹介すると言ってくれた。

 スザンナはイタリア系アメリカ人で数年前に旦那さんをなくして子供もなく今年10月に定年を迎えると言い気立ての良いやさしい人でソニー・アメリカに勤めていて日本に何回も旅行して特に温泉好きだといった。8月30日18時半、スザンナが家に来て挨拶した。するとスザンナが、あなたが噂の成宮賢さんですかと顔をまじまじと眺めた。

 どうしたんですかと聞くと、あのジョブズがソニーの友人と言っていたので名前は聞いて機会があったら、ぜひ会いたいと思っていたんですと話した。今年10月、定年退職になるので成宮照子さんと日本の温泉を回りたいと考えているので良かったら案内していただけますかと聞いた。それを聞いた成宮賢はアメリカ人は本当に積極的だと苦笑いし了解しましたと答えた。

 姉の照子さんも良い温泉を探しておいてねと言った。賢ちゃんもサンディエゴに、また、ちょくちょく遊びに来なさいと言った。日本で家でも買ったのと聞かれ、おやじの家に同居してるよというと、姉が、それなら大金持ってるはずだから、おごってねと笑いながら言った。そして、スザンナとメールアドレス電話番号、住所を交換したした。

 その後、10月1日、夜18時に到着したと連絡が入り成田ヒルトンに1泊し明朝10時に迎えに来てと成宮賢の所に連絡が入り了解した。9時半に成田のホテルに着き珈琲を飲みながら7泊8日の温泉旅行のスケジュール表を渡した。そして成宮賢とお姉さんとスザンナの3人でスカイライナーで上野、新宿駅経由で小田急ロマンスカーで箱根湯元へ行き箱根芦ノ湖の遊覧船に乗って、霊峰富士を眺めて、箱根湯本の湯元富士屋ホテルに宿泊した。

 その後も成宮賢が日本の温泉旅行をエスコートして回った。2日目は小田原で、うまい魚を食べ熱海に行き熱海を観光して海に突き出したホテルニューアカオに宿泊した。3日目は熱海駅から新幹線で大阪へ大阪駅でたこ焼きを食べてバスで有馬温泉へ銀水荘、兆楽に宿泊した。4日目は、新幹線で鹿児島へ経由で指宿温泉のいわさきホテルに宿泊。

 5日目は鹿児島から博多にもどり別府温泉へ6日目は博多経由で広島経由で愛媛の道後温泉へ行き宿泊して7日目は東京へ帰った。成田で1泊し米国へ帰った。2012年12月、アップル株を2万5千株、2000年と2005年に2分割していたので4倍に増え10万株を100ドルで売却して1千万ドルを手にし税引き後純利益780万ドルとなり家族の口座名義を借り、その後、少しずつ利益を日本に送金した。

 そして旅行の時は米ドルを限度額まで持ち出した。そして成宮賢の資産が約10億円になった。2013年になり3月に今度は成宮賢がお姉さんの照子の住むサンディエゴに飛んだ。暖かいサンディエゴで過ごして4月5日、スザンナの誕生日の時に照子の家に呼んでパーティーを開き、成宮賢が、お姉さんの手はず通り、スザンナにプロポーズした。

 スザンナが、それを受けてくれて、結婚することになった。その後4月7日からロサンゼルスからハワイ4島めぐりの16日のクルーズに出かけた。ロサンゼルス港を4月7日16時、出向して5日かけた。6日目マウイ島、カフルイ港に寄港してハレアカラのツアーに出かけた。翌日7日目、ホノルルに到着し、ダイヤモンドヘッド観光、ホノルルでのショッピングを楽しんだ。

 夜23時に出向し8日目、ハワイ島。コナへ行き、カメハメハ大王の写真などを見学した。9日目はハワイ島の反対側のヒロでリリウオカラニ公園を見学。その後、船はハワイを後にして、4日間洋上クルーズして14日目にメキシコのバハカリフォルニア州にあるアメリカ国境100kmに位置する港町・エンセナーダへ寄港した。

 その晩、洋上クルーズして、翌朝・15日目にロザンゼルスにもどってきて下船した。今回、新婚旅行というので成宮賢が奮発してスウィートルームを予約して快適な旅だと言い下船した時にスザンナが成宮賢に抱きついた。その時、感激のあまり涙を流した。迎えに来た、姉も思わずもらい泣きした。そうして今度、日本に帰る時にスザンナも一緒に日本に行く事した。

 日本に行き、日本で結婚に必要な手続きをこなした。結婚式は5月6日、姉の照子さんの家で近親者だけで結婚式をして近くの教会の牧師さんに来てもらい正式な結婚式をあげ指輪交換も行った。この時はスザンナも姉の照子もハンカチで拭っても拭っても涙が頬を伝い止まらなかった。それを見て、成宮賢も、もらい泣きして目を真っ赤にした。 
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