第3話 町会長の松井建設訪問 

文字数 860文字

「ねえ、夢に巫女様出てきた?」
クラスのみんなから毎日聞かれる私達。

 そして3人だけで極秘ミーティング。
「実は、巫女様夢に出てきていない。みんなは?」と心細そうな北川さん。
「私も出てきていない、塾のクラスが下がる悪夢ばっかりよ、宇野さんは?」

「私も巫女様出てこないな~」
やたらウサギが出てくる夢は最近よく見るけど。

「もう、さ、北川さんに巫女様が降りたことにして、町会長さんに報告に行っちゃお!」

 私達は北川さんの夢に、光り輝くビジュアルの巫女様が降臨したという設定を考えた。
町会長さんに具体的に聞かれた時のため、歌合戦の演歌歌手のステージを参考にして。



 学校帰りに3人で町会長さんの家に行った。
ゴールデンウィーク明けの水曜日。月島さんの塾のない日。
町会長の家は大きな土建屋だ。松井建設。
 事務所のソファーに3人で座って待っていたら、上品な奥さんが麦茶とエクレアを出してくれた。美味しかった。

 町会長さんに報告したときの北川さん、ガチガチに緊張していた。嘘をつきなれていないのだ。美人なのでクールに見えているけど、実は純朴っぽい。
「あ、はいっ、私です、巫女様に話しかけられる夢を見ました、よろしくって言っていました、いつからお手伝いすればいいですか?」
後は月読神社から連絡がくるらしい。

 帰りに北川さんはエクレアを紙ナプキンにそっと包んでいた。奥さんが「おや?」という表情を浮かべるとバツが悪そうに、
「お母さんと一緒に食べようと思って……」
すると奥さんはニコッとして「お土産よ」とエクレアを2個箱に入れ、北川さんへ渡したのだ。そのときの北川さんの顔、とても可愛らしかった。

 私はそれをぼんやり眺めていたら、どこからか声が響いた。

松井、山林の売買契約書を作っておるようだが、その山林は売ってはならぬぞよ。買い主は太陽光発電のカラクリを張り巡らすため伐採(ばっさい)をするであろう。山は力を失い土砂崩れの惨劇(さんげき)となる(ことわり)ぞ。山の神々の怒りを買うでない、よいか、松井、二度は言わぬ。それからここの山の神も大切にするのだぞ。ふふっ奥方のことじゃ


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み