第6話「他人に「お前ってどれくらいお芋なの?」って聞くヤツいるか?」
文字数 2,312文字
前回、ギルドのリーダーに会うことを決めた2人。
そのための情報も手に入れ、リーダーのいる副都へと向かうことになった。
2人は副都までの山を通ることにし、汗水流して登っていた。
いややーもう疲れたー!
ええやんそんなでっかい剣持ってんねんから今更変わらんやろ!
いや、さすがに剣よりは人間の方が重いよ。お前どれくらい重いんだ?
「おいも」じゃねーよ。どれくらい「おもい」か聞いてんだよ。他人に「お前ってどれくらいお芋なの?」って聞くヤツいるか?
芋好きか? 俺は
それはドカベンの体重だろうが。せいぜいその半分だろお前
せやな! でも四捨五入したら100kgやからドカベンにも負けんよ
40kg台なら四捨五入すると0だかんな?
2の位で四捨五入したら世の中の大半が100kgだし。
計算がザルすぎる上にドカベンと張り合う意味も分かんない
MP回復する薬って高いんよ。こんなとこで使いたないわ。
ウチのMPってそんなに多くないし長持ちもせん
自分で選んだルートならこうなるのは分かってるだろ?
だったら、疲れる対策も自分で考える。
仲間に負担させない。ってのが普通じゃないか?
かーっ! ケチやなあ!
女を持たれへんヤツが女からモテるわけないやろ!
放っとけ。いいんだよしばらくは旅するんだから。
女子供引き連れても邪魔なだけだよ
現状、「女」「子供」両方満たしてるウチを連れてるけど?
飼い主におんぶしろとねだる犬はいねーよ。お前は猫だ
猫か。にゃーにゃー! ご主人さま、早く我が血肉となるにゃー!
にしても、なんかそういう話は今まで無かったん?
ないゆーても多少何かしらあったやろ
いやー、ないな。気づいたらずっと剣を振ってた気がする
そもそも俺の村は人が少なかったし、同世代の女の子がいなかった。
付き合うどころか、そもそも恋もしなかったなあ
「おいも」じゃなくて「こいも」だっつーの。なんだ腹減ってんのか? お前
まあ出会いがなかったわけやな。
でも旅していく中で好きな人ができたらどうすんのん?
まあそういう時は積極的になれたらいいなって思ってるよ。
思いは伝えないと分からないもんだしね
「おいも」じゃなくて「おもい」だっつってんだろうが!なんだ芋食べたいのか! 金やるから買ってこい!
あっクソ! これ後で支払い請求がくるやつだ!?罠にハメたなこいつ!
約束は守りや? これで宿代の分と合わせて2つめやな。
いや~感謝感謝やでえ~
宿代のも忘れてねーのかよ!
引っ掛けておいてなにが感謝感謝だこいつめ
「かんしょ」じゃねーよ「かんしゃ」だよ!誰がさつまいもを旧名で言えつった!
ギルドのリーダーに渡すレアな魔導書って
どんなことが書いてあるんだ? 禁術とか、そういうの?
もういいよ芋プッシュは。忘れたりしないから安心しろ。
いい加減このくだりも飽きてきたよ
「飽きてきた」っつってんだよ。別のパターンを織り交ぜてくるな
飽きてきたって言うからパターン変えたのになんやその反応は!
ウチはどうすればええねん!
……ま、実を言うとこの魔導書は強烈な魔法ばっかでな。
コレを戦争なんかで使われたら、死人がごそっと増えるんちゃうか
そこまでか。そんなのをギルドのリーダーに渡してしまっていいのか?
そんな重要書物を、民間人のウチが持ってるのも大概どうかと思うで?
まー言いたいことは分かる。権力を持った人間にそんなん渡したら
戦争の道具に使われるんちゃうかって話やろ?
ウチに考えがあるからな。うまいこと切り抜ける作戦が
どうせウチが「戦争になったら薬の需要が増える! 大儲けや!」とか言い出すんちゃうかって思っとったんやろ?
まあ自分たちが原因で人が死んだら誰も良い気はしないと思うよ。
何か対策を考えてるならお前に任せる
うん、ウチに任しとき。その辺は上手いことやって……
あのタイプは毒に気をつければ大丈夫だと思う。
火魔法が効きそうだけど、周り木ばっかだから延焼に気をつけろ
数分後、そこには「マラソンランナーの水補給・最短バージョン」と言いながら薬を両手に持ってカイカにおんぶされる山田と、その山田をおんぶしながら敵と戦うカイカの姿があったという。次回、多分戦わない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)