詩小説『飽き足らない恋をしよう』全ての女子へ。

エピソード文字数 551文字

飽き足らない恋をしよう

肌寒さに起こされて、抜け殻の私と、このホテルに朝が来る。

ベッドの下、脱ぎ捨てられ萎れた下着に、夢から醒めていた。

隣で目をやるとあなたはまだ眠っている。この人のどこへときめいたのだろう? その寝顔に思う。

テーブルの上、ひとりぼっち。飲みかけの生温いミネラルウォーターを口に含む。

寝癖の髪に気持ち悪さを覚え、ひんやりとしたシャワーを浴びる。

しずくを乗せたタイルの上で、昨日までの記憶を洗い流そうとしていた。

恥じらいもなく裸でベッドへ帰ると、昨日の匂いを残した服を拾い集める。

備えつけられたメモ用紙にお別れの言葉を書き認める最中に、あなたは目を覚ました。

いけないことをした後の子供みたいな顔してあなたはおはようと言った。

私、帰るね。なんて言葉にたじろぐあなた。連絡先も告げぬまま、慌てるあなたを残して、立ち去る安っぽいホテル。

踏み切りの音。カラスの鳴き声。
なんにもないからっぽの空を見上げた。

飽き足らない恋をしよう。
醒めないように。冷めないように。

飽き足らない恋をしよう。
魔法の解けないような。

飽き足らない恋をしよう。
偽物も、幻もいらない。

飽き足らない恋をしよう。
寝ても覚めても本気でいられるような。

そんな朝だ。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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