第8話 打ち合わせをしましょ!

文字数 2,014文字

※ご注意 本編のネタバレがございます。

コチラの▶︎作品と合わせて

お楽しみいただけますと幸いです。

打ち合わせでご相談したいのは…

一冊の本って考えた時の構成がまず悩みどころですね。ボリュームでちゃってますし。

三冊は出す、というお話を最初の打ち合わせでしていただきましたが、俺たちの戦いはこれからだ!って終わり方にはしたくないんですよね。

シリーズ化をさせていただけるのであれば、平と森巣の関係が終わるまで、だと思うんで、そのあたりの含みを入れつつ書けたらいいんですけど。

今、ラスボスを倒すっていう意味で、“商人”との対決、みたいな構図になっているのですが、それに合った構成になっていないような気もするんですよ。みすず殺しの犯人と半グレグループの滑川を潰す、くらいのスケールにしようかなと。風呂敷を広げすぎちまったって反省してます。

森巣と敵対する悪がしっかり描けていなかったせいで最後に犯人をやっつけてもカタルシスがないと思うので、そこも書かないといけないのでは? という気がするんすよね。3話目の脱法ドラッグ回で滑川の悪事はしっかり書こうと思ってるんですけど。

首を切られて殺された被害者のみすずがヤギマスクの男に監禁されているシーンを挿話して、読者はみすず殺しを読まされていると思いつつ、三話目の後に挿話に戻り、実はヤギマスクが森巣で監禁されているのがみすず殺しの犯人だとわかり、時系列でラストに繋がる、という構成とかも考え中です。

如月さん、意外とちゃんと考えてるんですね・
泉、考えてるんですねは余計だぞ!
いや、意外とが余計だわ!
でも、まずキャラの話をしたいな。森巣のキャラのリアリティ。
まあ、高校生探偵(仮)って時点でリアリティはないっすよね。『金田一少年の事件簿』みたいな感じのレベルのリアリティでいいんじゃないかなと思ってます。
(とうとう、講談社のマンガで例えを!)
僕は就活の時に、モーニングの話が聞きたかったので、説明会だけ行ったくらい講談社大好きですよ。
講談社は受けなかったんですか?
そもそも就活をしなかったですね。
(…………)
延命のために大学院に行って、大学で原稿書きながらフランスパン一個買って、飢えを凌いでました。

(…………)

なんすかその目は! フランスパンはコスパ最強ですよ!!
話を戻すと、リアリティレベル下げてでも、魅力的なキャラにするのは賛成です!
森巣のリアリティレベルを下げてでもすごいヤツに見せる最大の目的は、その軸になる思想を明確にすることです。私利私欲で動く小さいやつになっちゃうともったいないですしね。
書いててすごい難しいのが、森巣と平のバランスなんですよね。森巣って本当はすげえ獰猛な奴なんですよ。容赦がない。スマートだけど、自分の手も汚すことを厭わないような奴で。
そして平が思いの外常識人なんで、森巣が大胆なことをしちゃうとドン引きして離れちゃうんですよ。
じゃあ、平はどうして森巣と一緒にいるの?
自分にない魅力があるからっていうのもあるんですけど、そこは森巣に惹かれてるものがあるからですね。
例えば、「クラブ行こうぜ!」って他の人に誘われても断るけど、森巣に「クラブ行くぞ」って言われたら、平は「僕初めてなんだけど」って言いながら着いてっちゃう。
めっちゃいいですね!! わかりやすい笑
平がそう感じるってことは、森巣にはカリスマ性があるわけだから、森巣をただのやんちゃな子にはしたくないよね。
うーん、やんちゃってのは、人の物差しだと思うんですよね。万引き犯もネットで人を脅すのも、嘘吐いて儲ける奴も、大量殺人犯と、やんちゃな奴の違いって僕はないと思っていて。
やんちゃで済ますかどうかは、人の感じ方なので。犯罪の美学だとか思想だとかを持ち出すような奴は一見やんちゃっぽくはないですけど、法律やルールを破ってるって意味じゃただのやんちゃで、持て囃したくはないんですよね。
だったら、やっぱり森巣がすることの理由に対して平がどう感じるか、を丁寧に描いてあげたいですね。

平くんの地の文にも影響が出てくるかと思うので、そこで「感情線」をしっかりと捕まえていきましょう!

そうか、森巣のすることや勝利に酔ってしまったり、ギャップに戸惑ったりを描くことで、平から見た森巣の得体の知れなさが描けるんですね。どんなことをしてるから悪なのかじゃなくて、僕と違うぞ、こいつはなんなんだ!? ってのが書きたいので。

この作品の勝負、キモは、やはり森巣だと思うのですよ。彼が魅力的になればなるほど、この物語は面白くなるはずです。

彼自身の言動には謎が多くてもOKですが、明らかになったときに、「そうだったのか」と納得できれば完璧ですし、そんな危険性のある森巣に平が着いていくことも、「何で着いていくんだろう」ではなく「そんなに魅力的なんだ」と読者に映るといいですよね!

キャラについて、だいぶ固まりましたね。ありがとうございます!
つづく
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登場人物紹介

如月新一

第1回リデビュー小説賞を受賞した小説家。

→『あくまでも探偵は』が2021年1月に発売。同月続刊制作決定。

しかし、一年が経った今もまだ、2巻は出ていない。

果たして書籍化というゴールに、再び辿り着けるのか!?


三日三晩に渡る河北さんとの決闘に勝ち、勝利、そしてついに…

講談社タイガ編集長に就任。

読んだら熱い感想を伝えて導く、頼れる編集者。

コマンド「おだてる」を駆使して、如月の筆を早める。

会うと男なので、ご用心。

河北

小説現代編集長(元講談社タイガ編集長)

第1回リデビュー小説賞で熱い意気込みをかけている。この物語はこういうことをしたかったのでは? と丁寧に整理してくれる。

小説 Don't dead,never die.Believe.

今は小説現代という戦場で戦っている。たまにポケットからオルゴールを取り出し、チーム「あく探」のことを思い出している。

佐渡島

コルク代表。

如月がコルクにいた頃の担当。

短く的確な言葉で、如月の迷ってるところを指摘する。

如月ポンコツモードを見抜き、迷走するとすぐに打ち合わせを提案してくれる。

ちなみにコルクとは出版エージェントだが、如月はいつから自分がコルク所属になったかを知らない。

2021年に如月がコルクを脱退。今までありがとうございました。

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