第4話-⑦

文字数 359文字

よくやった! そこまでだ!

振り向けば、そこに法海和尚がいた。

弟子に肩を支えられていた。

和尚は・・・・・・

もうよい。
と言って袈裟をめくる。

と、そこに富子が倒れていた。

そして、その背中には、三尺ほどになった白蛇が・・・・・・

ふむ。

和尚は気を失っている白蛇をつまみ、

弟子が持つてっぱちにぽいと入れた。

さらに加えて何かの呪文を唱えると、

屏風の後ろから今度は小さな蛇が這い出てきたので、

これもつまんでぽいと入れた。

こいつは持ち帰るととしよう。

本堂の前を深く掘り、埋めておくから安心せい。

未来永劫、世に出ることはなかろう。

和尚は鉄鉢を袈裟で包み、封をした。

庄司殿と奥方が深々と頭を下げる中、

和尚は弟子たちの担ぐ輿こしに乗り、悠然と帰途につく。

私はただ、魂を抜かれたかのように茫然としていた・・・・・・

その夜、富子は亡くなった。

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登場人物紹介

豊雄(とよお)

真女子(まなご)

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