part 9 最愛の妹は今
文字数 700文字
望がおかしいって、噂くらいは聞いてるんだろう。実はもう死んでて、私が一人二役やってるなんて、昔の悪だくみと正反対の、傑作なのもある。それとも、もっと出所のまともな話にあたってきたのか。言っておくが、それだって事実じゃない。なぜ断言できるかって、事実なんか私にもよくわからないからさ。別に隠してるわけじゃない、説明のしようがないだけなんだ。望は突然、奇病を患ってね。時々前触れもなく倒れて、鼓動も呼吸もピタリと止めて何日もそのままになる。最初は死んだかと思って泣いたけど、球になだめられて様子を見てると、そのうち何もなかったように動き出す。聞いたことのない話だろう。球も調べてくれるが原因がわからない。命の危険はなさそうだと言うが、専門家の意見とはいえ推測の領域だ。望は好きなものも思い通り作れず、よく混乱したり塞ぎ込んだり辛そうだった。私も、長生きしたいなんぞと思いもしなかったくせに、望が早死にすると想像しただけで気が狂いそうだった。
そんな時、生体技能者の認定制度が始まって、特級に私を推薦したいと