スプラッターロマンホラー サメクマ

機動部隊入隊試験 第4回

エピソードの総文字数=2,438文字

前回までのあらすじ:志村絹がまだ中学生だった頃の話。志村は機動部隊入隊試験のために伊豆に来た。
伊豆半島某所、開けた草原にて。
BGM:Hagall『記憶の木』
http://hagall.hacca.jp/music/3.html
はい、では改めて1次試験の内容を説明したいと思います。
今、ここは楢蜜騎士団の私有地です。そして、現在ここには地中や空中を泳ぐサメを多数放流してあります。いずれも私のような知性ザメではなく、人を襲う危険性のあるものです。
皆様は今から60時間、ここで過ごしていただきます。これが1次試験の課題です。
皆様もご承知の通り、1次試験には負傷及び死亡の恐れがあります。
そのため、皆様にはすでに保険に加入して頂いています。負傷または死亡した場合であっても、我々はその保険以上の保証は基本的にいたしません。
1次試験は途中で棄権しても大丈夫です。後述する2次試験は、1次試験不合格者を対象にしております。命の危険を感じたら、迷うことなく棄権してください。
1次試験の合格条件は以下の通りです。
1、60時間、地図に示したエリアから出ずに、重篤な障害につながる負傷を受けることなく過ごす。
2、サメの背ビレ、胸ビレ、尾ビレには数字が刻印されているので、エリア内に最低8時間留まった後、ヒレを30点分集めて開始地点の山小屋に提出する。
1次試験に合格した時点で、あなた方は楢蜜騎士団に入団し、騎士として叙勲されます。そして機動部隊の一員として、クマや人間を守るための活動に従事していただくことになります。
なお、エリア内には人間のゾンビもいます。αプリオン種なので感染の危険性はありませんが、ゾンビの歯や爪によって負傷した時点で1次試験失格となりますのでご注意ください。
ゾンビには攻撃しても大丈夫ですが、点数にはなりません。
エリア内で8時間が経過する前にエリア外に出たり、救援を求めたりした場合は今回の2次試験の資格が剥奪されます。
また、以下の行為を行った場合、状況に応じて今後の試験資格の剥奪や拘禁、殺害などのペナルティを受けることがあります。
1、参加者や試験官、迷い込んだ民間人を故意に傷つける行為。
2、サメ用電磁バリア杭、衛星写真偽装装置、無線LANルーター、ウォーターサーバーやトイレなど各種設備への破壊行為。
皆様には信号拳銃と無線機を配っています。救援を求めるときはオレンジの信号弾、各種トラブルがあった時は緑の信号弾、試験継続に深刻な障害が発生した場合は赤の信号弾を上空に発射してください。
お弁当はエリア内の山小屋に、朝8時と晩6時に持っていきます。それ以外の食事は、配給した保存食をやりくりしてください。空腹への適応も必要と考えているため、保存食は意図的に少なくしています。他者の食糧を強奪することは状況に応じてペナルティの対象となります。
2次試験は筆記試験を予定しております。試験日時はすでにお伝えしております。
ここまでで何か質問はありますか?
トイレの距離遠いね。緊急の時にそこらへんでしたら何か罰則あるの?
お手洗いの設置に関してはあくまで身体および精神衛生上の問題であると我々は考えています。
ですが、用便の臭気はサメを引き寄せる可能性がある、と申しておきましょう。
んで、武器や弾薬は好きなだけ持って行っていいの?
こちらでお渡しした一般的な登山用装備も含め、持てる限りであれば、大丈夫です。
事前に推奨したアウトドア用の服装ではなく機動性を度外視したおしゃれ着を着るのも、士気の向上になるなら許可しています。
サメを狩るにあたり必要でないと我々が判断した装備は、全てお預かりしています。
人間のゾンビはどこから調達したのですか?
今からそんなに殺気を放っていては、後々疲れてしまいますよ。ですがもっともな疑問です。勤める組織のモラルを問うのは当然のことです。
ゾンビ化したのは全て死刑囚、ないし罪状は発覚していないけれどそれに類する犯罪者です。必要であれば、彼らの詳細な資料を提出します。
もしサメやゾンビが狩り尽くされて、いなくなったらどうなる。
前例はありませんが、基本的に経過時間が48時間未満であれば各人の持っているヒレの点数に応じて判断し、48時間以上であれば全員合格とします。
こういう試験形式で、サメが大量に脱走した前例ってある?
少々お待ちを……あった。フランスのオート=サヴォワ県で2例あり、騎士団の士気を維持するため、以降アルプス西部地域では同様の試験は行われないことになっています。
日本ではまだ前例はありませんが、万全の態勢を整えつつも、脱走が起きた場合に備えて周辺地域にクマを配置しています。
他に質問がなければ、正午をもって試験を開始させていただきます。
ところで……。
そうだそうだ、永田優子さん。
一人の女性に数人の試験官が近づく。
私かい?
君、元々クマじゃなかったよね?応募の時点で身元を洗ったが、君人間じゃなかったっけ。
いやあ、人喰いグマと戦っているうちになんか、なっちゃいましてね。隔世遺伝による先祖返りってやつ?聞いたことあるでしょ。
だとしたら連絡が入らないのはおかしいな。
それに、匂いもなんだかおかしい。クマと人間の匂いがピンポケしてるイメージだ。
君、ちょっとこちらに来てもらえないかな。
アー、オレ、クマニナッチャッタヨー
クマジャナイヨ。クマクマンダヨ
クソ映画の話はやめてさしあげろ。
ホワーン
永田優子は山小屋の中に連れて行かれる。
なんか不穏な感じ。
試験がすんなり進行するとは期待してなかったけど、やな予感する。
おキヌの予感は当たるからなあ………。
お待たせしました。正午になりましたので、試験開始です。
各参加者とも、配布された荷物は忘れないようにしてください。
くれぐれも、試験会場というスタート地点で命を散らすことのないよう、心を引き締めて試験に当たってください。
第5回へ続く
今回全然喋ってなかった気がする。
アクセルのかかりおそいよね、もう4話目だぜ。

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