第24話 これから

文字数 866文字

 花粉の季節は過ぎたはずなのに、なぜか鼻水が止まらない。鼻炎にでもなってしまったか……。アラフォー辺りまでの私は、高校3年生の虫垂炎を除けば、ほぼ病気とは無縁の人生だった。それ以降は不摂生がたたってか、ときどき体調を崩す。体力に自信があった若いころの自分には、予想もつかなかった現実だ。そしてアラ還の今は、ちょっとやそっとの不調には動じない。

「あー、早く60歳くらいになりたい」

そうボヤいていたのは、私が独身のころに同僚だった3つ年上のTさん。当時は彼女も私も20代。
「なんで?」と聞くと

「時間の進みがもどかしい。早く落ち着いた歳になりたい」と。

 私から見れば、充分落ち着いて見えたんだけどな。そう言えば、当時の彼女は年の離れた、爺さんと呼ぶに相応しい(ごめんなさい) 定年間近の上司とよく談笑していたっけ。

 私がアラ還なのだから、当然彼女もいい歳だ。年賀状で知りうる限りだが、今の彼女はどうか。今も独身。ある歳から方向を定め、その歩みの途中ではあるが、展示会をも開くような人形作家になっている。手先が器用だったことも幸いし、おそらく彼女は水を得た魚のように、力強く生きてきたに違いない。遠く離れてしまった私には、一足飛びにアラ還に着地したようにも見える。ずいぶん会っていないが、きっといい顔をしているだろう。

 私の結婚が決まったとき、実を言うと誰もが驚いた。独身のころの私は、周りから見れば『結婚しない女』に見えていたらしい。そんなことひと言も言った覚えはなかったのだが……。その私が、紆余曲折ありながらも、数年前、銀婚式までこぎつけた。おそらく彼女とは全く違う道。

 人生80年。もしかしたらプラス10年。だとしたら、まだ数十年生きていく私の指針は何か?今までの自分から探す手立てはあるのか?私の老後。節約生活とか時間を潰すとか、そんなことを忘れさせてくれるもの。私でしかできないもの。水を得た魚のように夢中になれるもの。最近、その一端に書くという歩みが加わろうとしている。

兎にも角にも、摂生しながら、楽しく生きていきますよ〜。
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