蘭鳳神と葵龍神の神話

文字数 762文字

 東の海に浮かぶ潤った島には、陽明国という国があった。
 この国には、昼と光の神『蘭鳳(らんほう)神』と、夜と雨の神『葵龍(きりゅう)神』という二柱の神がいた。

 蘭鳳神は炎をまとう鳳凰の姿をしており、葵龍神は羽と水かきをもつ龍の姿をしている。

 この二柱の神に陽明国は昼も夜も守られていた。
 しかし、その神々を怒らせると、国が亡ぶほどの災厄、火災や日照り、洪水や豪雨をもたらすともいわれていた。

 
 ある日、愚かな人間たちが蘭鳳神の神殿を荒らした。怒った蘭鳳神は人間に天罰を下す為に、幾日も大地を陽の光で焼いた。カラカラになってひび割れた地面は砂がまきあがり、雑草さえ枯れはててしまう。食べ物はもちろん、水さえ飲むことができなくなった人々は、大勢が餓えて死んだのだ。

 それを見かねた葵龍神は、右手に握る『如意宝珠(にょいほうじゅ)』という、なんでも願いが叶う珠を天に掲げ、雨を降らした。
 人々は久しぶりの滋雨に歓喜し、喉を潤したのだった。

 これを知った蘭鳳神は、葵龍神のしたことが面白くなく、部下に命じて葵龍神が寝ている隙に『如意宝珠』を奪った。

 如意宝珠を手にした蘭鳳神は、さらなる雨を降らせて、今度は大地を水浸しにしてしまう。

 大きな神々の怒りを知った人間の王は、謝罪のために神職につく神子を生贄に差し出すことにした。
 
 生贄の条件は、五体満足で健康で明るい生娘。
 まだまだこれからの可愛らしい少女だ。
 
 日照りと豪雨に苦しめられた人々は、生贄である少女にすべてを託して、滝から落として、湖に沈めた。
 すると、災厄はぴたりと止まったのだ。
 人々は神々の怒りがやわらいで、許してくれたのだと感じた。

 この事から、この陽明国ではむかし天変地異があると、少女を神々の生贄として差し出すという風習があった。

 今はすでにすたれてしまった風習で、神話として語り継がれた物語である。
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登場人物紹介

主人公 藤(ふじ)


元気で健康、活発な少女

葵龍(きりゅう)


陽明国の北であがめられている神。

龍神として祀られている存在だけど――


蘭鳳(らんほう)


陽明国の南であがめられている神。

人型のときは後頭に鳳凰の尾羽が生えていて、本体になると炎をまとう鳳凰(ほうおう)になる。

ハヤブサ王


陽明国の賢王。

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