詩小説『おくすり』3分の町に潜む闇。現代人へ。〜第2話〜

エピソード文字数 748文字

おくすり

ベランダにある生温い風。揉み消した煙草と。部屋へ入れば五畳のアパート。

何気なく飲んでみた、あのおくすり。

少し軽くなった気がした。胸をふわふわさせながら。

非現実に居ながら、空想の世界にワープする。

散らばって、集まる光。万華鏡みたいな夢を見る。

きれてしまえばなんだか味気なくて、私は再び、あの歓楽街へ。

「やっぱり、来ると思ってたよ、お姉さん。安くしとくからさ、まとめてどう? 2ダース」

上がってく。上がってく。上がってく。上がってく。

ハイになって。この世の音楽が一斉に流れ出す感じ。

ただの板チョコですら、尋常じゃないほど美味しく感じた。

ドビ跳ねて、声を張り上げて、周りなんて見えなくて、私だけの世界で。

「くすりがあんまり効かなくなったら、鼻から吸い込めばいい。半端じゃないから」

くすりがきれてしまったらば、嫌いな世界に引きずり出されるだけ。

それならば、途切れてしまわないように、身体に入れ続けるだけ。

周りの人間から距離を置こう。あまりうるさくない場所まで。

最近よく痩せたねと言われるくすりに満たされ綺麗になっていく。

くすり。くすり。くすり。くすり。くすり。くすり。くすり。くすり。くすり。くすり。

ない、ない。買わないと。買わないと。

「お前はもう相手にしねぇんだ」
「売りなさいよ、早く」
「金もないくせに、どうやって買うんだよ」
「痛い。何するの」
「妖怪が」
「失礼な」
「鏡見てこいよ」

距離を置いたのは私の方じゃない。周りが離れて行ったんだ。

痩せたにもほどがある。あばらが浮き出ているではないか。手足は折れてしまいそう。

倒れ込んだ、ネオンの下。
公衆トイレで、久しぶりに見た鏡。
「ぎゃー、だ、誰?」
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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