第33話 非日常

文字数 914文字

 夜明け前、ゴォーゴォーと滝のような雨が降っていました。明け方はザーザー。そして、朝ごはんを済ませた今は曇天ですが、晴れそうな予感。

 雨音で目を覚ますことなど滅多にないが、今朝は起こされた。土砂降りの上をいくような、例えようのない雨音。冠水は大丈夫だろうかと、近所の道路が頭に浮かぶ。最近の雨は災害につながる量が短時間で降るので、怖い。

 私の家は緩やかな坂の途中にあり、下った先には貯水池がある。住み始めてから一度も干上がったことはなく、渡り鳥が羽を休める場所にもなっている。立ち入り禁止の場所だが、ときどき釣り糸を垂れる人も見かける。魚がいるのを、鳥も人も知っているようだ。冬になると飛来してくる鴨群れを見るのが、下の子のお気に入り。

 子どもたちが幼いころ、週末になると度々(たびたび)ドライブをした。夫が週休2日だったので、一泊二日で出掛けたこともしばしば。今、思うと仕事で疲れていただろうに、よく頑張ってくれたと頭が下がる(本人には言えないけれど)

 ある夏、2時間ほど離れた会社の保養所に行った。海が近いその場所は、餌を求めてカモメがあちらこちらに。人間にも慣れたもので、近づいてもギリギリまで動かない。むしろ、こちらに向かってくる勢いだった。そんな景色の海沿いを歩いていたら、突然、私の出した前足にカモメが止まった。当時の私は今よりもスリム。白いパンツを穿()いていた。仲間と間違えたか。一瞬の出来事だったが、生涯忘れられない思い出。そのインパクトが強すぎて、他の記憶はまるでない(笑)日にちは違うが、蝉に止まられたこともある。私は、人間以外に好かれるフェロモンの持ち主。

 数え切れないほどの家族ドライブ。夫はその都度、何気ない仕草の子どもたちを写真に撮る。撮りも撮ったり、数百枚。全てプリントされ、写真屋さんでもらったポケットアルバムに入れて本棚にズラリ。私は、昨年の緊急事態宣言下で「いつかは貼ろう」と溜め込んでいた大判のアルバムに日付やコメント、当時のチケットなどを3ヶ月ほどかけて整理した。

 大判のアルバムが足りなくなり、店に行ったら売り切れだったこともありました。コロナ禍はイヤでしたが、集中できる時間を持つことができました。
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