言霊
文字数 496文字
神小島の洞窟の祭壇の周りを調べた。崩れた入り口を爆破した埃で壁が白くなっている。祭壇の裏の埃を丁寧に掃う。どこにもそれらしいものはない。
父なら大事なものはどこに隠すだろう。そうだ、よくへそくりを神棚に隠してたっけ。ここなら神様が守ってくださるとかいって。でも、いくら隠したか覚えてないらしく、母さんが抜き取っても気付いてなかったなあ。わざと忘れたふりをしていたのかもしれないけど。
島の中央に事玉神社という社があった。この地には古くより、人の言葉、とくに名前には言霊という力が宿ると信じられてきた。言葉に乗せて漁の安全や大漁を祈願したという。その社に神が住むという祠が祀られていた。
一礼をして扉を開けた。中に真新しい紙が入っている。カナタは恐る恐る持ち上げると広げた。そこには父、ゲノの字で復活の儀式について書かれていた。
「『器』の真の名を呼び、鎖を得たものが魂の欠片の主だ。鎖を断つには魂を別の『器』に移しその名前に変えよ。」
とあった。
やつが城で見せた儀式を思い出した。もはや、これに賭けるしかない。やつがすべての主になるか、自分がなるか。互いに名はわかっている。
父なら大事なものはどこに隠すだろう。そうだ、よくへそくりを神棚に隠してたっけ。ここなら神様が守ってくださるとかいって。でも、いくら隠したか覚えてないらしく、母さんが抜き取っても気付いてなかったなあ。わざと忘れたふりをしていたのかもしれないけど。
島の中央に事玉神社という社があった。この地には古くより、人の言葉、とくに名前には言霊という力が宿ると信じられてきた。言葉に乗せて漁の安全や大漁を祈願したという。その社に神が住むという祠が祀られていた。
一礼をして扉を開けた。中に真新しい紙が入っている。カナタは恐る恐る持ち上げると広げた。そこには父、ゲノの字で復活の儀式について書かれていた。
「『器』の真の名を呼び、鎖を得たものが魂の欠片の主だ。鎖を断つには魂を別の『器』に移しその名前に変えよ。」
とあった。
やつが城で見せた儀式を思い出した。もはや、これに賭けるしかない。やつがすべての主になるか、自分がなるか。互いに名はわかっている。