(二)

文字数 289文字

 兄が継いだ実家には、もう母しかいない。だから実家は実質的に母と俺のものとなる。
 しかし、俺の生活の基盤はもう大阪にある。逆に母の生活の基盤はこちらだ。
 母は自動車の運転免許証は持っておらず、持病の高血圧の通院のため片道一時間かけて町営のバスに乗っている。
 山がちで坂も多い実家の周辺にはスーパーはなく、一番近いコンビニまでも車で一〇分程かかった。足腰の弱っている母が一人で買い物に行くのは事実上無理であった。今までは兄がいたからなんとかなっていた。しかしこれからはもはや

いかなくなる。
 ということであれば、今まで通り母を実家に置いておくのは問題がある。

(続く)
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