【episode10-一途の望み】
文字数 250文字
そんなある日のことだ。
ーーー密会していたことが樹にバレた。
別れ話の結果、沙楽を手放したくない樹が許す形で事態は終焉した。
涙に濡れる樹の前で『もう会えない。』と、魁人にメッセージを送りSNS も全て切った。
これでもう魁人に連絡もできないし、会うこともできない。
だが、身を切られるような決断の中にいても、沙楽はなぜか希望を捨てきれずにいた。
『きっと、また会える』
沙楽の心には何故か確信めいたものがあったのだ。
その日から、樹に内緒で残した魁人の電話番号だけが、沙楽のお守りであり一途の望みとなったのである。