ガンマディオラ(2)
文字数 968文字
ラオはロギアについて甲板を歩いた。
『ガンマディオラ』は三本マストの帆船だ。
一番前にあるフォアマスト、真ん中のメインマスト、最後尾のミズンマスト、それぞれに帆が張られている。
ロギアはミズンマストの横を抜けて階段を上がる。
他の甲板より高い位置にあるそこが船尾甲板と呼ばれている。
船尾甲板には大きな椅子があり、そこに男が身を沈めていた。
船長は痩せていて顔色も悪かった。
目は半開きで、とても眠たそうに見える。
ラオは右手に意識を集中し、炎を纏わせた。
紫炎が手を包んでゆらゆらと揺れる。
ラオは、さっきロギアに話したことと同じ説明をした。
姉の復讐であることは特に強調した。
それだけ言うと、船長はがっくり頭を下げてしまった。
スー、スーという音が聞こえてくる。
どうやら眠りに落ちたようだった。
ラオは差し出された手を握り返した。
とても久しぶりに、人の体温を感じたような気がした。