第31話  美神聖奈視点。特別な存在 2

エピソード文字数 2,124文字

対応に困っているようですな。


ならば平八から黒澤家についての七不思議。その一つを教えて差し上げましょう

 そう言われると妙に期待しちゃってワクワクしてしまう。


「まずは聖奈お嬢様に質問です」と言うと、メガネの中央を抑えながら、少しトーンの低い声を出した。

聖奈お嬢様には、楓蓮お嬢様はどちらに見えますか?


男性ですか? それとも女性ですか?

え? そんなの……男に決まってるでしょ? あいつだってそう言ってるし
 即答で答えたものの、それを聞いた平八はどことなしか表情が柔らかくなった気がした。
ふふっ。残念ですが。それは間違いでございます
どうしてよ! 本人が男だと、そう言ってるのに間違いも何も無いじゃない
 その答えにもショックだったけど、平八がふふっと笑った事も驚きだった。

あの様子では昔の麗華さんと同じでしょうな。ここまでそっくりとは……


これは楓蓮お嬢様本人も気付いていないでしょうが……

すると平八らしからぬ真剣な目が私に突き刺さると、とても丁寧な口調でこう言った。


「女性です」と。

彼女は紛う事なき乙女。純真無垢な少女。


言うなれば普通の女性よりももっと……女らしい。と申し上げた方がよろしいかと

ま、待ってよ。でも本人は男だと言い張ってるのよ!

気付いておられないのですよ。つまり無自覚とでも申しましょうか。


男として振舞っておきながら、心の奥底にある深層心理は女性そのもの。

とても優しい聖女のようなお方達なのです

そんな……

無自覚だからとても始末が悪いと言いますか……この平八めも麗華さんには色々と誤解をしてしまいましてな。


経験者は語るといいますし……この話は頭の片隅にでも入れておいてください。必ずや納得できる部分が出てくると思います

無自覚って……

俺は男だ。決して女性だと認めない。

それなのに心の根底にある感情は……女性そのものなのですよ。


ふふっ面白いお話でしょう?

あ、でも、楓蓮もそう言ってたわ。心の中は男だって
ふふっ。まるで麗華さんの生き写しですな。彼女との過去が鮮明に思い浮かぶようですぞ

昔は麗華さんも……決して女とは認めませんでしたからな。


縦横無尽に暴れるおっぱいを目の当たりにしながら「男だ」とか言ってましたからね。

 確かに楓蓮も……自信を持って答えてたわね。

 それなのに、女の子っぽい性格で無自覚って……面白すぎるじゃないの。

それって、とんでもなくツンデレって取れるんじゃない?
一般的に言うとそうなりますが……少し違いますな
 そこまで言うと、平八は椅子から立ち上がった。

彼女の本当の素顔を見れば分かるでしょう。


ただのツンデレではないと。言うなれば……デレッデレです

 でれっでれ……

 何かそう言われると……そんな気がしてくる。

その姿を見たものは全て。恋に落ちる。麗華さんがそうでしたからな。


知り合う人間全てが彼女に惚れてゆく。

まさに魔性の女と言いましょうか。とんでもない魅力を持っているのです

 その姿を見ると惚れる?
じゃあ……平八。あなたはどうなのよ?
すると平八は私に背を向け、暫くしてからこう言った。
勿論。今でも彼女をお慕いしておりますぞ
へ、平八?
平八めはずっと昔から。彼女を愛しておりますゆえ
いきなりだった。
待ちなさい! お、男でしょ? 男同士? あれ?
違いますな。麗華さんは女性です
 淡々とした口調だったけど、その顔はまるで……今でも恋心を抱いていると、その瞳も真っ直ぐと私を捉えていた。

ここからのお話ははいくら聖奈お嬢様といえども、ご容赦下さい。


平八めのつまらぬ恋物語ゆえ

……わ、わかったわっ

私が素直に返事したのは、その平八の表情はとても真摯で、尚且つ寂しげでもあったから。


返事をした瞬間、平八はいつもの口調で続ける。

とんでもない話を暴露したのに、無表情は殆ど変わらない。

黒澤家は入れ替わり体質ゆえに、男女共に惚れられる。

そんな宿命なのです。聖奈お嬢様もお気をつけ下さい。一度彼らの素顔を知ってしまうと、平八のようになってしまうかもしれませんぞ

 平八のように? それは私が楓蓮に惚れるって事?


 そ、それはまだ……

 そんなの分かんないよ。


 今はまだ。もっと楓蓮や華凛ちゃんと仲良くしたいだけ。


 でも……




《聖奈は特別な存在だから》





 ああっ、もう!


 あんな事言われたら……

 誰だって勘違いしちゃうじゃない。



聖奈お嬢様。その様子はもしや……既に見られましたかな?
そんなの……分かんないわよ

 だめ。さっきから何かがおかしい。

 頭の中で楓蓮の表情が浮かんでくると……


 楓蓮は女の子なのに……

 でも本当は男なのに…… 


 でも、男だと思ってるのに……本当の性格は女の子?

 なによそれ! 男か女か分からないじゃない!

ですがもし……楓蓮お嬢様に気があるのでしたら、早めに行動に移す事です。


その内、彼女の周りはライバルだらけになりますぞ

 固まる私に一礼する平八。「ではおやすみなさい」と言い残し立ち去ってしまう。




 ライバルって言われても、蓮はその気はないし、付き合う気も無いって言ってたけど、


 でももし、この先に……


 私達みたいに気を許す人間が出てきたら……

 その人と仲良く付き合うようになったら……


 


 楓蓮が他の人と付き合うなんて……

 そんなの……見たくない。

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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