(三)-3

文字数 267文字

 妹が出っぱった木の根に足を取られて倒れた。妹は小さく悲鳴を上げた。僕は腕を引っ張って立ち上がるように促した。
 彼女も息が上がっていた。
「ちょっと……、待って……、休ませて」
 彼女は息を荒くしながら小さく言った。
「ダメだ、追いつかれる。いそがなきゃ」
 僕は彼女の腕を引っぱり上げて、引きずって行こうとした。そのとき、近くで草木がこすれる音がした。僕はとっさに倒れている妹に覆い被さった。
 気がつくと黒ずくめで背の低い人影が、ナイフを僕が立っていた位置に突き立てていた。僕がとっさに避けたものだから、ナイフは空を切ったのだった。

(続く)
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