第1話 時代の変遷

文字数 531文字

 劣悪な環境でも、人は生きていける。
 生きていく為に、様々な技術を生み出していく。

 経験から始まる推測、推測から成り立つ知識、知識から導き出される予測、予測から想定される現象
 そして、その現象を引き起こす概念とそれを支配する法則の発見――すなわち、科学の誕生である。
 程度は違えど、多くの国々はそのように進化を遂げていた。
 
 そんな中、マゲイアだけは古より続く技術――魔術を持って、劣悪な環境を生き抜いていた。

 他国が熱・水・風・光・蒸気、果ては核分裂まで扱うようになっても変わらない。
 発達も衰退もしないまま、マゲイアは在り続けた。

 運よく、立地的に不便な島国であったので他国は目にもくれなかったのだ。

 また、科学によって発展を遂げた国から見れば、魔術などという非科学的な技術は懐疑的に捉えられていた。
 その為、世界を巻き込んだ大戦の際もマゲイアだけは戦火を免れることになった。

 しかし、世界の在り方は大きく変わり始めていた。

 そうして大戦の覇者が明らかとなった時、マゲイアは初めての対外戦争を強いられる羽目となる。
 それにより、マゲイアは禁忌となって久しい神代の魔術――限定魔術(リミット)の封印を解く羽目となった。
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登場人物紹介

カズマ、22歳。

ハフ・グロウスの軍人だが、忠誠心に欠ける為、左遷される。

支配国からの独立を目論んではいるものの、具体的な計画性は皆無。

拳銃で接近戦をこなす、グリットリア式の変わった銃術を扱う。


リューズ、おそらく16歳。

マゲイアの住民。禁忌とされるリミット《限定魔術》に手を出したフール《愚者》。

長いこと追われる身であるものの、諦めず亡命計画を企てるほど強かで逞しい。

かつて、望んだ願いは『剣の最強の証明』

ゆえに彼女のリミット――白兵戦最強《ソードマスター》は剣を召喚し、遠距離からの攻撃を無力化する。

アルル、12歳。

マゲイアの第16王女でありながらも、リミットに手を出したフール。

もっとも、その立場から裁かれることはなく、軟禁に留まっている。

かつて、望んだ願いは『窓から見える風景だけでも自由にしたい』

ゆえに彼女のリミット――キリング・タイム《カナリアの悪戯》は窓越しの世界を自由に操る。

ロイス、おそらく16歳。トリックファイター《伝統破壊者》の通り名を持つ。

14歳の時に、マゲイアから亡命を果たしたフール。

その為、魔術師でありながらグリットリア式銃術も扱う。

かつて、望んだ願いは『一人でも平気な世界』

ゆえに彼のリミット――プレイルーム《独りぼっちの楽園》は自分にだけ見え、感じ、触れられる空間を具現化する。

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