パレード潰し~III回目~(3)
文字数 562文字
まただ。いやだ。いやだ、もう。わたしは小象にぎゅっと掴まる。いやだ。
草里……草里!
郡さんが指差す方から、影が来る。うう……本当に、本当に草里なの。草里だ。
うっうう。いやだよ。いやもういいよ。わたしは小象からするりと手を離す。
小象はわたしたちから一歩前へ踏み出す。
前方からは…… ……何も来ない。
白い霧がぐるんぐるんと流れているだけだ。
前方からは…… ……何も来ない。
白い霧がぐるんぐるんと流れているだけだ。
郡さんが前を向いたまま独りごとのように発する。
わたしもじっと前方を見つめる。ずしん、というあの足音は響いてこない。
わたしもじっと前方を見つめる。ずしん、というあの足音は響いてこない。
ちゃりん。草里はすでに鍵を。
草里は何も言わない。
また時間が過ぎる。
何も現れない。
また時間が過ぎる。
何も現れない。
草里が小さく舌打つ。逃げた、か。と言葉を吐き出す。鍵を、廻した。
少しずつ霧が薄れていくなかを、わたしたちはとぼとぼ歩いていく。
もうここは、もとの峠だ。しっかり土を踏みしめているのはわかる。
草里の思いは、一体どこにつながっているの。
すぐ前を歩いている草里との距離が、わたしには掴めない。
小象は、そんなわたしの後ろをただしっかりとついてきてくれている。
もうここは、もとの峠だ。しっかり土を踏みしめているのはわかる。
草里の思いは、一体どこにつながっているの。
すぐ前を歩いている草里との距離が、わたしには掴めない。
小象は、そんなわたしの後ろをただしっかりとついてきてくれている。