3-6.ライフル弾

文字数 784文字

(何かしら・・・何か変な気配がするわ。)

美羽は窓からそっと外を確認する。

黒づくめの忍者のような格好をした不審者が数名近づいてくる。明らかにこの温泉宿を狙っている。

その近くに、さっき温泉宿に沖津と美羽を迎え入れてくれた主人が首から血を流して倒れていた。

慌てて美羽はジャボンと湯船に全身をつけた。

(ちょっと、マジ?沖津さん、こんな時にどこ行っちゃったの?)

✳︎

「ぐっ・・・バカな・・・」

「どうした?桂木凛子、この程度でエースを名乗れるほど、今の特殊機動部隊は人材難なのか?」

ギリギリと桂木凛子の右手を逆手に極めた沖津が問いかけた。スキンヘッド2人は口から血を流して倒れ、既に息は無い。

沖津は拳銃を桂木凛子の後頭部に突き付けて問いかける。

「最期に何か言い残すことはあるか?」

「フ・・・フフフ、さすがですね。沖津先輩。
私が特殊機動部隊に入隊した時、12年上の貴方と、貴方の同期鬼頭(きとう)さんは、本当に素晴らしい能力を持っていて、2人共、私にとって眩しい存在でした。
私は、貴方に憧れて、貴方の指導を受け、貴方の背中をひたすら追った。
その貴方に殺されるのであれば本望です!」

「・・・そうか、鬼頭はどうしているんだ?」

「彼は今や特殊機動部隊の隊長です。
彼は本当に恐ろしい男ですよ。目的の為には手段を選ばない。どこか甘さのある貴方とは決定的に違います。
気をつけた方が良い」

「最期に教えろ、こんなことを計画したのは誰だ?やはりあの人なのか?」

「それは・・・」

ガンッ!

何処からかライフル銃の弾丸が飛んできて桂木凛子の眉間に突き刺さると、桂木凛子はそのまま息を引き取った。

チュインチュインとライフルの弾が飛んでくる。沖津は物陰に身を隠した。

しばらくして弾丸の雨が止むと、沖津は崖から、温泉宿に特殊機動部隊の戦闘員が集結しているのを確認した。

(まずい・・・美羽・・・)

沖津は温泉宿に急いだ。
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