飛び込めサクセスLOVEその1

文字数 1,357文字

ちょうど3ヶ月前の出会いのあの日から今日までのサクセスストーリーについて。

ドアが無いせいの寒さなんて忘れながら。

見つめる先の燃えるような赤毛に胸をときめかせて。

「いらっしゃいませ」

って言ってみたけど、

どこか滑ってるようで。




そのパターンで何人ものイケメンのお客様と何の実りも無く見送るっていう失敗は、

今日ばかりは許されないって思って。

滑りの気配に根負けして、ただ大人しく会計を受けて何も無いなんてホントに無理な気がして。

猫が獲物を捕まえるかのように
「お兄さんこんばんはー!遅い時間によく来てくれましたねー!」と夜の9時過ぎだからって
お気遣いの言葉を口走ると、

「あーもうこんばんは」

ってさらって笑顔で返事をくれた。

途方も無い可愛らしい笑顔にまたうっかり見惚れてしまう私。

「てゆーかお姉さんニット帽ほしいんだけどここに出てるだけ?」

って質問されて、

「あっ、ニット帽はこの場所とあと、こっちの下の棚にもありまーす!」

って心良くご案内してあげたところ、

「ありがと」

って言ってどれを買うか選びはじめたようだった。


私は20歳(ハタチ)で専門卒で、

目の前のイケメン様はちょっと年上くらいなのかなって思わされる感じ。

童顔たけど、どこか落ち着きがあって
タバコの匂いがして...。

なぜか落ち着いてその人を眺めてられる不思議さを感じていた。

まじまじとその人をみていると、

商品選びは終わったみたいで、
1つのニット帽を持ってレジのカウンターまで持ってきた。

「これちょーだい。」

って後ろ側の私に目配せで言った。

シンプルな黒のニット帽だけど、パンサーすなわちヒョウのロゴがイケてるもので。

「すぐ被りたいからタグ外して」

ってお願いされて値札タグを切って。

商品代お金2000円をちょうど置いた後、

私がタグを切ったニット帽を被ってみせて、

「すごい似合ってる!何でそんなに可愛いの!」

って私に感動させて、素直にそう言わせた。

その言葉に「お世辞ならいいよ」って苦笑いしながら返したその人。

それから少し話し込む事になって。


名前を聞かれた私は、

偽名など使わずに

「咲知(さち)だよ」

って教えて、

「俺はジンヤっていう。」

って教え返してくれた。

ジンヤは、

「ほんとこのお店気に入りそうだわ。
お洒落な方だと思うー。よく考えてディスプレイしてるよね。」

って関心しつつ、

「女物とか特に並べてあるとどこかメルヘンな感じじゃん?
おとぎの国のお店みたいー。雪の夜のだよね」と言った。

「それにしても俺これから仕事行かなきゃなんだ。バイトだからー」

って更に言うと、

「夜中にバイトだなんて大変だね!」

って私が言うと

「時給良いから」

ってジンヤは言う。


「あっ、てか、もう俺行かなきゃ。遅れるかもしれねーから。俺んところ時間に厳しいんだー」


とジンヤはハッとして腕時計を見た後名残惜しそうにも言った。
「俺また来るわー。この店気に入ったから。咲知可愛いし。」


「嬉しいなー!」

って私が素直に喜んでると、

「それに、俺の聖地この場所の近くだから。ライブハウスのスパイダーボックスだから。俺バンドやってっから。良かったから来て!」

ってジンヤは更に言った。


私は目を丸くして、それで胸はトキめいていた。

バンドやってるだなんでマジでカッコイイー!!



「行く行くっ!絶対行くっ!!」って、はしゃぐように私は返した。












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