第40話  白竹魔優視点 真夜中の訪問(魔優) 2

文字数 3,141文字

正直に言いなさい。あんた。蓮が好きでしょ?

う、うは。

にゃ、にゃにも。何をおっしゃるのでし?

 チラチラとこちらに視線を送る美樹と、私の顔色を伺う聖奈さん。

 完全にテンパっちゃった美樹とは対照的に、聖奈さんは落ちついた様子を見せながら、どことなしかニヤニヤしてるようにも見えました。

美樹。正直にいいなさい。誰がどう見ても分かるんだから。

私はその、そんなつもりはありませぬ。

蓮くんわ……友達としてその、大事な人なのでございまして、好きとかそういう……気持ちはありません。

 美樹……


 聖奈さんが迫ってても、美樹は認めなかった。

美樹。もう一度言うわっ。好きなんでしょ?

聖奈ちゃん……

聖奈ちゃんは蓮くんのこと。好きなのですよね?

 美樹が逆に質問すると、聖奈ちゃんは黙ってしまう。

 しばらくの沈黙の後「ふぅ」っと溜息を漏らしてから彼女は「好き」と答えた。

私は正直に答えたわ。あんたもちゃんと言いなさいよ。

私は……そんな気持ちはありません。

蓮くんは、お友達。男の子の……お友達です。

…………

 美樹はここまで言われても認めませんでした。


 あなたはそこまで……

 聖奈さんや蓮くんの為に……絶対言わないつもりなの?


 

聖奈ちゃん。だから私は……

蓮くんと仮に付き合うことによって、聖奈ちゃんがイヤなんじゃないかなって思って。

だから私は反対だったのです。

美樹の気持ちも分かってあげてほしい。

本人はずっと悩んでて、聖奈さんとの関係に何かしら蟠りはあってはならないと……


私達はみんなと仲良くやりたいから……

その話は分かったわ。

だけど、私だってあんたたちとは腹を割ってお話したいのよ。


その為には美樹。あんたは正直に喋らないといけない。

私は素直に言ったわよ。じゃあ美樹だって答えなさい。

聖奈。ちゃん……
美樹……

 こちらを伺う美樹にうんと頷いた。

 正直に喋ろう。


 聖奈さんはきっと引き下がらないし、確信じみた感じもする。

 

 美樹はそれ以上何も言わず顔を下げると、私が代わりに口を開いた。 

美樹はあなたとの関係をとても大事に考えてるんです。

好きという感情よりも、聖奈さんとの関係を……みんなとの関係を大事にしてる。そうでしょう? 美樹

ま、魔優っ!

美樹。正直に喋ろう。聖奈さんはきっと分かってくれる。

…………

 美樹は私の後ろに隠れてしまった。だけど……


 とても小さい声で「好きです」と聞こえてきた。

だって! 蓮くんは私のことを……こんな身体なのに、女の子だって言ってくれました!

私の正体を知って、それでも女の子って言ってくれるのはきっと……蓮くんだけです

美樹……

だから私は、蓮くんだけ。

好きになってもいいと思いました

聖奈ちゃん! 魔優。この事は絶対に蓮くんに喋らないで!

この事がバレたら、蓮くんはきっと困るだろうし、聖奈ちゃんだって……


お願い。私は彼には何もしない。そばにいるだけでいいから。

私のせいで誰も嫌な思いはして欲しくないよ。

私は蓮くんが好きになるのは心の中だけでいい。

そうすれば、誰にも迷惑を掛けないから……

美樹。もういい。もう分かったから。

聖奈さん。美樹の気持ちも分かってあげてほしい。

美樹も私も……みんなの関係が良くなる方を優先します。だから……

分かったわ。美樹、魔優。

 ずっと美樹が私の背中にくっついてたけど、ようやく顔を上げました。

……やっぱり入れ替わり体質なのね。

人を好きになるという感情よりも、仲間との関係を重視する。その考え。蓮と一緒ね。


やはり……麗華ママの言った通りだわ。

男と女の性別を持つ人間は、異性に対する執着心が驚くほど低い。

両方の性別を持つだけに、欲望や思考が自己完結していると。


美樹も私も蓮が好き。じゃあそれはそれでいいじゃない。

そこに何も争いがなければいいだけの話。

好きになっちゃったんだからしょうがないでしょ?


私に遠慮しなくていいわよ。その気持ちをあいつにぶつけたらいいじゃない?

好きになるのは心の中だけなんて、そんな事しなくていいから。

聖奈ちゃん……

だからあんたの好きにすればいい。

その代わり。私も好きなようにする。


その中で私達ががっちり意思疎通ができてれば、争いにはならないでしょう?

嫌なことは嫌。それを二人で話せばいいだけのことよ。

 そう言った聖奈ちゃんはとっても笑顔を見せてくれました。

 

 良かった。正直に答えて本音で喋って、本当に良かった。


 だと思ったのに……

はぁん! 聖奈ちゃん! あなたはなんて素敵な心の持ち主なのっ!

ママは感動してあなたも是非、娘達のお嫁さんになってもらいたいわっ!


そう! 美優と魔優と蓮くんと聖奈ちゃんで! 四人同時に結婚すればいいのよっ!

そうするべきだわっ! みんな。それがいいでしょう?

もうっ! お母さんは来なくていいって何度言ったらわかるのよっ!

蓮くんを三人の女の子で攻めるもよし!

聖奈ちゃんを男の子三人で嬲るもよし!


まぁ……なんて素敵な桃源郷でしょう。酒池肉林とはこのことだわっ!

早く出て行って! でてけ~~~!

だけど、ちゃんと相手を気持ちよくさせることが出来るかママはそれが心配だわっ!

もし自信がなかったら、私がちゃんと一から教えて……


あ~~~れ~~~

 ようやくお母さんを締め出すと、美樹と同じく大きい溜息が出ちゃいます。

ほんとあんたたちのお母さん面白いわよね。自分も混ざりたいとか、ふふふっ。あははっ!

 お母さんは家族以外の人にあまり見られたくは無いのですが、聖奈さんが笑ってくれたのは良かった。

 あまりに変態すぎて引いちゃうって思うから……

まぁいいわ。お話が逸れちゃったけど、学校の件は「私と魔樹」「美優と蓮」で行きましょう。

美樹。私のことは気にしなくて良いから。

は、はい! ありがとう。聖奈ちゃん!

本当はずっと悩んでて……どうすればいいか、わかんなくて……

聖奈ちゃんに嫌われたくない。そればっかり考えてて、

 私も聖奈さんもうんうんと頷く。

 美樹は美樹なりに、みんなの気持ちを優先しようとした。


 それはきっと聖奈ちゃんにも伝わったはずです。

本当はね。蓮を好きになる女の子がいたとしたら……私は絶対に譲らない。徹底的に戦うつもりだった。
ひっ!

 めちゃめちゃ怖い聖奈さんでしたが、それだけ蓮くんのことを好きなんだと思う。

 絶対に譲らない。ですからね。


 そう言い放った聖奈さんは、ニコっと笑顔になる。

だけど……美樹。あんただけは特別よ。
え?

だって。あんたたち。蓮たちと一緒で、入れ替わり体質じゃないの。

女の子でも男の子でもあるんだから。


別にあんたと私が普通に付き合ったとしても、何らおかしくはない。そうでしょ?

聖奈さん……

ふふっ。ちょっと前ならこんな風に考えるなんて出来なかったけど……

蓮や凛ちゃん。入れ替わり体質の人間と一緒にいてたら、私も色々と考えさせられる部分があってね。


こんな事でさ、私とあんた達がいがみ合ったら、蓮は間違いなく仲を取り持とうとするでしょう。

なんとなく心配してそうな感じもするし、それなら私達は私達で仲良くしないと。

それは考えてなかった。だけど聖奈さんに言われてすぐに納得した。


そうよね。私達の仲が悪くなれば、蓮くんは必ず止めに入るでしょう。

聖奈ちゃん。ありがとぉです。

そう言っていただけると私。めちゃ嬉しいです。

ねぇ美樹。さっきから気になってたんだけど。

ひやう~!
 そんな声を出した美樹。なぜかというと聖奈さんの手が思わぬ場所に伸びてきたからです。
こんなの付いてるし
やぁんっ! 聖奈ちゃ……
ねぇ。触らせてよ。さっきから気になってたのよ
ま、まってぇ。わたひ。心の準備が……

 ちょっと聖奈さん……


 美樹のドコを触ってるんですか? 断る前から触ってますけど。

――――――――――――――


次回 真夜中の訪問 (魔優) 3 終



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色