17 ろくでもないプレゼント

文字数 7,223文字

 特務小隊の船も補給隊の船も、それぞれに揚力装置を起動して船体を浮上させる寸前まではいきましたが、結局それ以上はいかなる動きも見せることなく、状況を冷静に呑み込んだ潔さをもって、その身を静止させました。
 親の仇でも見つけたかのように驀進(ばくしん)する一機の〈バディネリ〉は、そのまま王国軍の二機の直上をまっすぐに通過すると、速度を落とさないまま大きく旋回しました。そして空から素早く狙いを定めて、二機を見おろす丘陵の頂上に降下しました。
 ついに王国軍一行の前に姿を現したコランダム軍の飛空船は、着陸と同時に出撃口から一体のカセドラを吐き出しました。
 〈フィデリオ〉の名で推測されるその青い鎧の躯体は、まるで棒高跳びの選手のように槍を両手に構えて、今はもう船体の迷彩機能を解いてしまった二機のもとへ一瞬のうちに駆け降りてきました。
 王国軍側に、もはや騒ぎたてる者はいません。それぞれの操舵室に控える全員が、惜しげのない殺気を放つ巨大な鬼の姿を、真正面から見据えています。
 特務小隊のなかでただ一人その姿を目視することのできないミシスにも、船外でなにが起こりつつあるのか、音と振動でありありと伝わってきています。アリアナイトの光に包まれながら、少女は嘆きのためとも覚悟を決めるためともつかない深い息を、一つゆっくりと吸って吐きました。
 ぐるんと槍を打ち振ったフィデリオは、その鋭い穂先(ほさき)を特務小隊の船の操舵室に向けて突きつけます。
「全員動くな」カセドラの操縦者が鉱晶通信に乗せて言葉を発しました。「動いたらその瞬間にこの刃が血に濡れることになる」
 その一言を受けて、密かにカセドラに乗り込んで出撃の機会をうかがっていた王国親衛隊の兵士たちも、一斉に身動きを止めました。
「一カ月ぶりだね」操縦者が語りかけます。「ずいぶん探したよ、マノン・ディーダラス博士」
「ライカ・キャラウェイだね」マノンが応します。
「おや。名乗った覚えがあったかな」
「それくらい調べはつくさ。それに前に会った時、きみの妹がはっきりと名前を口にしていたじゃないか」
 ライカはそれにはなにもこたえません。
「妹のレンカは、今日は一緒じゃないのかな?」マノンがたずねます。
 彼女のかたわらで息を詰めているグリューとノエリィは、ひやひやしながら青い仮面と赤髪の張りつく横顔を交互に見やっています。レスコーリアはカネリアの鉢の影に身を潜め、なにか秘策があるようにも、すっかり観念したようにもとれる澄んだまなざしで、目の前の状況を静観しています。
 フィデリオが半歩前進すると、それに合わせて槍の刃がぎらりと月を反射させました。
「……一緒に来ているとも。妹も」
 王国軍の一行は一斉に望遠鏡を取り出して敵機の操舵室を確認します。レジュイサンスをそっくり模して造られたバディネリも、操舵室の壁は透明のガラス張りになっていて、その内部を容易に見通すことができます。
 頭にかぶったフードの両脇から銀色の髪をこぼれ落としている歳若い女性が、それまで座っていた車椅子を押しのけてよろよろと腰を上げ、松葉杖にしがみつきながら操縦席の横に立つのが見えました。
 望遠鏡を手にしたグリューが、より仔細に相手の様子を観察します。
 以前エーレンガートの丘で彼女の姿を目にしていた青年には、それがまちがいなくレンカ・キャラウェイその人であることがわかりました。彼女が体を支えている松葉杖、そしてその顔面に刻まれた大きな傷跡に至るまで、青年は目を逸らすことなくしっかりと見つめました。
「その青いのが、前に言ってた〈フィデリオ〉かい?」マノンがたずねます。
「さすがの記憶力だな」ライカが面白くもなんともなさそうに微笑します。
「あの赤いの、〈コリオラン〉とか言ったか。あれはどうしたんだい? さすがに修理できなかった?」
 一瞬にしてライカの顔から表情が消滅します。
「コリオランは廃棄処分になった。それに、もう……」
 マノンは相手に気取られないよう、そっと喉を上下させて息を呑みます。
「レンカも…‥私の妹も……もうカセドラには乗らない」操縦席のなかで人知れずうつむいて、ライカは声を絞り出します。「それにもう、剣も、槍も、振るわない。レンカは非戦闘員になった」
 槍の柄を握る巨兵の手から、ぎりぎりと鈍く不穏な音が(したた)ります。
「妹は片脚の自由を失った」ライカが言いました。
「……姉さん」
 しおらしくこぼれ出されたレンカの声は、この一帯の通信器の前にいる全員の耳に届きました。もちろん、リディアの内部で待機しているミシスの耳にも。
「よくも妹を傷つけてくれたな」腹の底からライカが息を吐きます。「ミシス・エーレンガート!」
 突然呼びかけられたミシスも、それに他の非戦闘員の面々も、その憎悪に満ちた声の気迫に圧倒され、思わず身をすくませました。
「貴様、あの新型に乗って、その船のなかに隠れているんだろう」ライカがさらに続けます。
 ミシスはしかし、なにも言葉は発しません。リディアに搭乗する直前に、マノンからきつく注意されていたからです。決して不用意に口を開かないように、と。
 そこでとつぜん、クラリッサから直通の通信が届きます。
「マノン。敵はもう増援を呼んでるはずよ。お喋りしてる暇はないわ」
「わかってるさ」マノンは額に汗を光らせます。
 口を閉ざし続けていたレスコーリアがふいに飛び上がり、ごく小さな声でマノンに耳打ちしました。
「もう手遅れよ、マノン。この距離じゃ、国王親衛隊の人たちも動けない。ここはひとまずミシスとリディアに頼るしかないわ」
「でもよ」聴き耳を立てていたグリューが、通信器から顔を遠ざけて唸ります。「もしまたあれが暴走したら……」
「……ああ、もう」苦々しげに顔を歪めて、マノンは嘆息します。
「マノンさん」まるで冬の湖面のように静まり返った声で、出し抜けにミシスが呼びかけてきました。「ごめんなさい。やっぱりわたしにも、お話しさせてください」
「ミシス……」マノンはがっくりと肩を落としました。
「やぁ、お嬢さん! 私のこと覚えてるかな?」(せき)を切ったようにレンカが声を弾けさせます。
「もちろんです。レンカさん」
「覚えててもらえて光栄だよ、ミシスちゃん」レンカはまるで年の離れた親戚の子と久しぶりに再会したかのような調子で語りかけます。「ねえ、じゃあさ、あんたが私にしたことも、ちゃんと覚えてる?」
「……あの。本当に、ごめんなさい」ミシスは唇を震わせます。「わたしは、友だちや学校を守ることに必死で、あなたのことを傷つけようなんてつもりは、これっぽっちも――」
「そんな釈明はどうでもいいんだよ!」通信器が割れかねないほど強烈な怒号を、レンカが張り上げました。「なめるなよ、小娘。私はこれでも軍人だ。武器を手に、常に敵と切り結ぶ覚悟を固めて生きてきた人間だ」
 誰もが口をつぐんで彼女の言葉に耳を傾けます。周囲の岩や山までもが、臆して沈黙しているように感じられます。
「ミシス、あんたは私に勝った。私はあんたに負けた。そして無様にも、私はこうして生き延びてしまった。この事実は認めるよ」いくらか冷静さを取り戻したレンカが続けます。「腹立たしいが、あんたの動きは大したものだった。それも認める。だが、

は――

?」
 特務小隊、そしてリディアの秘密を知る数少ない人間である補給隊の面々も、ふいに息を止めます。
「あれ、って……」ミシスが小さく首をかしげます。
「とぼけるな」レンカがにこりともせずに一喝します。「あれはあんたが乗ってた新型の仕業だったんだろ」
「あの、わたし――」
「もういい。そこまでだ。なにも喋らないで、ミシス」マノンが厳しく遮ります。
「おや」レンカが鼻で笑います。「じゃ、博士が直々にご教授してくださるのかしら?」
「冗談じゃない」すかさずマノンが切り返します。「おまえたちになにかを話してやる義理も教えてやる道理も一切ない。太陽がどっちから昇ってどっちへ沈むのかだって、教えてやらない」
「ははっ」レンカが乾いた笑みをこぼします。しかしその両目の奥は、火のように燃えています。「ま、そうすんなり口を割るわけないよね。でなけりゃこんなに必死こいて逃げ隠れもしなかっただろうし。ねぇ、ミシス!」
「……はい」息を整えて、少女は返事をします。
「お外に出ておいで。操舵室に姿がないってことは、もう乗ってるんだろ? あの碧いやつに」
「あの……」
「出てこいって言ってるんだよ!」松葉杖を思いきり床に叩きつけて、レンカが怒鳴ります。
「うっ……」少女は肩を震わせて、きつく下唇を噛みしめます。唇を持たないリディアは、ただ黙してわずかに首を揺らすばかりです。
「だめだぜ、ミシス」通信器をじっと睨んで、グリューがささやきます。
「私はミシスと話してるんだ。他のやつは黙ってろ」レンカが声を荒げます。「ほら、さっさと出てきて、もう一度あの奇術を見せてみろ!」
「聞かなくていいよ、ミシス!」マノンが相手より大きな声をかぶせます。
「ごめんなさい!」意を決してミシスは叫びました。「ごめんなさい、レンカさん。わたし、前の時に自分がしたこと、覚えてないんです」
「は?」レンカが目を点にします。
 フィデリオの操縦席のなかにいるライカもまた、いぶかしげに眉をひそめます。
「だから、わたしにできることは、なにもありません」ミシスは慎重に言葉を選びます。
「呆れた」レンカが嘲笑します。「そんなわけのわからないあやふやな技術を運用してるのか、天下の王国軍は」
 それを耳にしたマノンとグリューは揃って拳を握りしめました。
「たしか前回は、私がそこに姿の見えてるあんたのお友達に手をかけようとした瞬間に、あの碧いのが奇妙な力を発揮したんだったね」物思いに耽るように、レンカが首をかしげます。
 鉢植えのそばに身をかがめていたレスコーリアが、なにかを察して舌打ちをしました。
「どうしようかな」レンカが笑みを滲ませます。「……ライカ姉さん。頼めるかしら?」
「ふん」フィデリオは操縦者の吐く息に合わせて背筋を伸ばし、刃の切っ先をさらに一段階前へ突き出しました。「そうだな。試してみるか」
「ミシス、敵は攻撃態勢に入った」マノンが歯を食いしばって告げました。
「だめ!」ミシスが声を振り絞って懇願します。「やめてください!」
 じっと槍の先端を直視したまま、グリューが密かに緊急発進の準備を整えます。
 フィデイオが一歩踏み込んで、深く膝を落とします。
 直後、レスコーリアがマノンの首筋に飛びつき、耳のなかに顔を埋めるようにして小さく叫びました。
「ここまでよ、マノン!」
「わかってる……わかってるけど……!」
 続いて小さな少女はグリューの耳に飛び移ります。 
「出撃口を開けて! ミシスなら、ミシスとリディアなら、きっと……」
 青いカセドラがのっそりと頭をもたげ、得物の隅々(すみずみ)まで闘気を行き渡らせると、今にも飛び出しそうな姿勢を取りました。
 両手で前髪をかき上げて、ついにマノンが叫びました。
「ええい、くそっ! 助手くん、出撃口を開けろ! すまないミシス、なんとかあいつを迎撃し――」
「その必要はなくってよ」
 突如クラリッサが一言告げました。
 次の瞬間、大気を激震させる轟音と共に、巨大な閃光が夜空に炸裂しました。
 状況をまるで理解できない特務小隊の一行は、口々に悲鳴をもらして身を伏せます。そして外に立ち込める白煙の隙間から、フィデリオの足もとの地面に大きな穴がいくつも穿(うが)たれているのを発見します。どの穴も真っ黒に焼け焦がれ、もうもうと砂煙を立ち昇らせています。
「なっ……」マノンが絶句します。
「なにが起きたんですかっ!?」今にも泣きだしそうな顔でノエリィが叫びます。
「しっ、師匠!」グリューが思わずマノンの手を握りしめました。「あれを!」
 青年が指差す先には、補給隊が乗ってきた飛空船の姿があります。
 今、その船の甲板には、先程までは影も形もなかったはずの四基もの大砲が出現し、月の光の下で悠然と整列しています。いずれも華々しい黄金色に輝くその砲身からは、まるで猛獣の吐息のような熱く濃い煙が漂い出ています。
 その場にしゃがみ込んでいたフィデリオは慌てて立ち上がり、みずからの周囲に生じた爆撃痕を呆然と見おろします。
「な、なっ……」マノンが目を回します。「クラリッサ! 僕がいないあいだに、レジュイサンスに大砲なんて積んだのか!?
「物騒な世のなかになったからね」まるで市場の野菜や魚の値段が上がったのを嘆く婦人のような調子で、クラリッサが吐息をつきます。「これくらいの武装はして当然でしょ。新型のレジュイサンスは、もうただのカセドラを載っけるだけのお船じゃないのよ。火力の方は……うん、ばっちりみたいね」
「なんてこった……」自覚のないままマノンの手を握り続けているグリューが、ぽかんと口を開けて固まりました。
「そんな情けない声を出すことなくってよ、グリュー」クラリッサが隣の船から手を振ってきます。「あなたを守るためなら、あたしあんなやつら百回でも千回でも蜂の巣にしてやるんだから。ほらほら、次弾用意~!」
「なんだよあれ! ただの補給船じゃなかったのか!?」レンカが目をむきます。「やばすぎるよ、いくらなんでもあの威力は! 姉さん、退()がって!」
「退がれん!」ライカが即応します。「やつらの照準は私に向けられている。退がって船ごと撃たれたらどうする」
「でも……!」
「美しい姉妹(きょうだい)愛ね」片方の耳に携帯型の鉱晶通信器を装着したクラリッサが、ぱちぱちと拍手を送りました。「その愛に免じて、次弾発射は待ってあげる。このまま黙って立ち去るなら、今日のところは見逃がしてあげるわ」
「おのれ……」ライカが操縦席のなかで地団太を踏みます。
「はあ」生気を抜かれたように、レンカが車椅子に沈み込みました。「こんなとこで終わったら馬鹿みたい。いったん退()こう、姉さん」
「……了解、した」
 なす術もなく構えを解いたフィデリオが、しずしずと自軍の船へ引き上げていきます。
 特務小隊の一行も、互いに顔を見あわせてほっと息をつきました。一連の会話と物音に耳を傾けていたミシスも、事態の終息を感じ取って肩の力を抜いていきました。
 その一方で、クラリッサは少しも表情を変えないまま、おもむろに甲板へ出ていきました。じゅうじゅうと音を立てている砲列のあいだを通過し、船首の突端に立つと、生温い夜風に髪を揺らせながら敵の挙動を凝視します。
 身をかがめたフィデリオは、まず長い槍を寝かせてそっと船のなかに差し入れました。そしてさらに大きく背を丸め、這うようにして格納庫へ戻っていきます。
 しかしその刹那――
 瞬時に体を起こしたフィデリオは、船のかたわらに転がっていた大きな岩を両手でわしづかみにし、数歩の助走をつけてそれを全力で投げつけました。
「きゃあああっ!」ノエリィが喉を全開にして絶叫します。
 荒野の空を猛進する巨岩の描く軌道は、いささかの狂いもなく、砲台を備える船の甲板に吸い込まれていきます。
「クラリッサ――――っ!!
 グリューが声を振り絞ったまさにその時、巨岩は容赦も慈悲も救いもないままに、彼の許嫁のもとに到達しました。
 外でなにが起こっているのか知るべくもないミシスは、ただひたすら聴き耳を立てていました。
 けれど、いくら待っても、なんの物音も、誰の声も、それきり聴こえてきません。
 ()も言われぬ不気味な空気に(おのの)きながら、少女は静寂の扉にノックをするように、そっと口を開きます。
「……ノエリィ? グリュー? みんな……いったい、なにがあったの」
「あ……あ……」呼びかけられたノエリィは、半分腰を抜かして、操舵室の床にへたり込んでいました。
 マノンも、グリューも、そしてレスコーリアも、息をすることさえ完全に忘れて、眼前の光景に目を奪われています。
 青いカセドラが放った岩は、狙われた船のぎりぎり手前の空中で、ぴたりと静止しています。
 その岩にあと一息で触れる位置に、片手を前へ突き出したクラリッサが、顔色一つ変えずに立っています。
「よいしょっと」
 少女が軽やかに手を振るうと、巨大な岩はごろりと地面に落下しました。
 マノンたちも、そしてライカたちも、誰もなにも言葉を発することさえできず、ただ目だけをぎょろぎょろさせて押し黙っています。
 やがてレンカが、ぽかんと口を開きました。「なんだよ、あれ……。ミシス、あんたがやったのか?」
「え?」ミシスは首をひねります。「あの、わたしは、なにもしてませんけど……」
「こんなろくでもないプレゼントを贈られたのは初めてだわ」クラリッサが腕組みしながら楽しくもなんともなさそうにほほえみます。「でも今日だけはとくべつに許してあげるわ、下っ端ども。あたしは優しいから、この

までは見逃がしてあげちゃう。だけどもしまた調子に乗ってこっちを振り返ろうものなら、おまえら全員、一人残らずばらばらにしてやる」
「…………」すっかり戦意を失ったライカが、みずからの操る躯体から一瞬で殺気を引っ込めます。
「ほらほら、いつまでもぼけっと突っ立ってるんじゃないわよ。もうその辛気くさい青っ(つら)は見たくないわ。とっとと行っちゃいなさい。これ以上あたしの機嫌を損ねない方がよくってよ」その言葉遣いとは裏腹に、クラリッサはますます恐ろしい眼光を放ちます。
 キャラウェイ姉妹はそれきり完全に沈黙し、言われたとおりに巨兵を格納して船を浮上させると、糸のもつれた(たこ)のように哀れな影を落としながら、おとなしく星空の彼方へ飛び去っていきました。
 機影が遠ざかるのを見届けて、クラリッサはせいせいしたといった様子で吐き捨てました。
「ふん。あんな小物どもがあたしのグリューに手を出そうなんて、百万年早いのよ」
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登場人物紹介

◆ミシス・エーレンガート


≫主人公。エーレンガート家に家族の一員として迎え入れられ幸福な日々を過ごしていたが、思わぬ形でコランダム独立の騒乱に巻き込まれ、ノエリィと共に丘の家から旅立つことになった。

◆ノエリィ・エーレンガート


≫ミシスの親友であり家族でもある心優しい少女。望まぬ形で軍に連行されるミシスを独りにさせまいと、ほとんど押しかけるようにして〈特務小隊〉の一員となる。

◆マノン・ディーダラス


≫本職は科学者であり発明家だが、カセドラ〈リディア〉を守護するため急造された部隊〈特務小隊〉の隊長を務めることになった。同隊が移動式拠点として利用する飛空船〈レジュイサンス〉も、彼女の発明の賜物。

◆グリュー・ケアリ


≫マノンの腹心の助手。彼女に付き従い、ホルンフェルス王国軍極秘部隊〈特務小隊〉に所属する。飛空船での暮らしにおいては、もっぱら料理係と操縦士の役割を務めている。

◆レスコーリア


≫マノンたちに同行するがまま、〈特務小隊〉に加わることになったアトマ族の少女。相変わらず自分流に気ままな日々を過ごしながらも、密かに隊の皆を見守っている。

◆クラリッサ・シュナーベル


≫世界最強の顕術士一族として知られるシュナーベル家の長女。優れた顕術士ばかりで構成される王国騎士団〈浄き掌〉の副団長を務める。グリューとは許婚どうしで、マノンやレスコーリアとも旧知の仲。

◆ゼーバルト・クラナッハ


≫新生コランダム軍を率いる将軍。統一王国からの離脱と祖国独立の宣言を発し、全世界に対し戦後最大級の衝撃を与えた。

◆ライカ・キャラウェイ


≫新生コランダム軍に所属する軍人。エーレンガートの丘での失態の後、妹のレンカと共に小部隊を率いてミシス一行を追撃する。

◆レンカ・キャラウェイ


≫エーレンガートの丘で勃発したカセドラどうしの戦闘によって重傷を負い、その後しばらくのあいだ治療に専念していた。

◆ヤッシャ・レーヴェンイェルム


≫国王トーメ・ホルンフェルスの名代として、マノン一行に〈特務小隊〉としての任務を与えた。以後さまざまな手段を用いて、先の見えない困難な日々を送る同小隊を遠く王都より支援する。

◆ハスキル・エーレンガート


≫愛する娘たちと離ればなれになり、我が子同然の学院校舎が損傷してもなお、決して希望を失うことなく毎日を前向きに生きている。

◆ピレシュ・ペパーズ


≫幼少時より人知れず抱えていたカセドラ恐怖症の劇的な発作により、長期に渡って入院生活を送っていた。恩師ハスキルに護られながら、徐々に回復へと向かう。

◆ドノヴァン・ベーム


≫十年ほど前に王都から忽然と姿を消した、伝説的な大科学者。レーヴェンイェルム将軍の幼馴染みにして、マノンの恩師。現在の彼の動向を知る者は極めて少ない。

◆プルーデンス


≫ベーム博士と共に暮らすアトマ族の少女。博士とおなじくアルバンベルク王国の出身。幼い頃から過酷な環境を生き抜いてきたためか、非常に気立てと面倒見が良い。

◆〈リディア〉


≫ホルンフェルス王国軍が極秘裏に開発していた最新型のカセドラ。本来ならカセドラが備えるはずのない、ある極めて特異な能力をその身に宿している。操縦者はミシス・エーレンガート。

◆〈フィデリオ〉


≫コランダム軍が新たに開発した特専型カセドラ。操縦者はライカ・キャラウェイ。

◆〈コリオラン〉


≫フィデリオと同一の鋳型を基に建造された姉妹機だったが、リディアとの交戦の末に大破した。かつての操縦者はレンカ・キャラウェイ。

◆〈□□□□□〉


≫???

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