【随時更新】■登場人物紹介という名の「妖怪名鑑」■

文字数 28,836文字






【はじめに】
「妖しい、僕のまち」の登場人物の詳細です(※ネタバレ注意)
本編をお読みになり、気になったら読んでみてください(作者の備忘録も兼ねておりますので、読まなくても問題はありません)
本作品に登場する「妖怪」は、能力こそ本作品オリジナルですが、日本古来の妖怪を中心に登場させようと思っています
また、本作品の妖怪達は基本的に人間と変わらない容姿をしていますので、それを念頭にお読みください
※話が進むにつれて、随時更新していきます


十乃(とおの) (めぐる)
種族:人間
性別:男性
年齢:24歳
 物語の舞台となる「降神町(おりがみちょう)」にある、降神町役場勤務。
 特別住民支援課保護班に所属で、妖怪との渉外(しょうがい)(交渉)および庶務担当。
 主人公。
 生まれも育ちも降神町の青年。
 祖父母、父母、妹の美恋と暮らしている。
 保育園から大学まで地元で過ごしたため、基本的には降神町の外に出たことが無い。
 役場には、周囲からの勧めに流されるように就職、現在1年が経過している。
 特別な能力は無く、まったくの一般人だが、何故か妖怪に好かれる体質。
 美男子ではないが、童顔で歳より若く見える。
 また、幼い頃、祖父母に聞かされた妖怪の話に惹かれて、山に入り、神隠しに遭った過去を持つ。
 お人好しで、人畜無害な性格。
 また、多数の女性(主に人外)に想いを寄せられているが、一向に気付かない朴念仁。
 一方で「人間と妖怪が共存できる社会をつくる」という目標を持っており、それに対してはとても真剣で、折れない心を持つ。
 同僚の面々に振り回されながら、懸命に仕事をこなそうとする苦労性でもある。
 趣味は釣り。
 休日は釣果も気にせず、延々と釣り糸を垂らしている。


黒塚(くろづか) 姫野(ひめの)
種族:妖怪(鬼女)
性別:女性
年齢:不詳。ただし、伝承通りなら1200歳以上(見た目は20代後半)
 降神町役場勤務で、特別住民支援課の主任。
 人間社会に順応しようとする妖怪をサポートする「特別住民支援課」のエースで、通称“鬼の黒塚”。
 その正体は悪名高い“安達ヶ原の鬼婆”こと“鬼女・黒塚”。
 永く塚に眠っていたが、復活し、人間界に紛れている。
 かつては、残虐な食人鬼として悪行の限りを尽くしていたが、現在はその影はなりを潜めており、厳しいながらも部下思いの好人物である(とは言え、鬼女の迫力は健在で、怒るととても怖い)。
 文武両道の才媛で、常に冷静沈着なクールビューティ。
 堅実な人柄もあり、上層部からの信任も厚い。
 おまけにパリコレモデルも顔負けの、ナイスバディを誇る。
 妖力は【鬼偲喪刃(きしもじん)
 詠唱と共に、自らの伝説の舞台となった「鮮血原野 安達ヶ原」を再現。
 同時に、自分の能力(ステータス)を上昇させ、取り込んだ相手の力を大きく削ぐ領域として展開させる大妖術。
 領域内は血溜まりが広がり、無数の大出刃包丁が突き立つ血生臭い荒野で形成される。
 この領域は相手に恐怖状態を付与するほか、妊婦を狙ったという逸話から、同性 (即ち、女性または雌)には効果が倍増する。
 強大だが、長時間の展開は難しく、また完璧な発動には条件があり、
①草原の様に開けた場所であること
②相手が「安達ヶ原の鬼婆」の伝説を知っていること
③黒塚の慟哭が深い状態にあること
 以上の三つが揃って、初めて100%の効果で発動させる事が可能となる(満たしていなくても発動は可能だが、効果は低下する)。


間車(まぐるま) (りん)
種族:妖怪(朧車)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代前半)
 降神町役場勤務の巡の同僚。
 特別住民支援課保護班に所属(送迎・運転担当)。
 ショートパンツにジャケットのラフな格好を好み、常にトレードマークのキャップを被ったボーイッシュな女性。
 その正体は“朧車(おぼろぐるま)
 かつて、貴族の牛車同士の諍いが原因で、その恨みから生まれた妖怪。
 現代ではその能力を活かし、宅配便やタクシードライバー、ヤバ目の筋の運び屋などを行っていたが、黒塚にスカウトされ、降神町役場に就職した。
 姉御肌で気風(きっぷう)が良い性格。
 本人は否定しているが、巡にほのかな好意を寄せている模様。
 妖力は【千輪走破(せんりんそうは)
 一輪車から戦車まで、どんな乗り物も、車輪がついていれば自在に操る妖力で、耐久性、積載運搬力など、その能力も向上させることも可能。
 乗り物がない場合は、ローラーブレードによる高機動力を駆使した戦法を駆使する。
 酒豪で、以前、飲酒運転未遂を黒塚に咎められ、以降「(あね)さん」と呼び、恐れている(本人曰く「鬼婆伝説の再現になるところだった」とのこと)。


砲見(つつみ) 摩矢(まや)
種族:妖怪(野鉄砲)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は10代半ば)
 降神町役場勤務で巡の同僚。
 特別住民支援課保護班に所属(保護担当)。
 その正体は“野鉄砲(のでっぽう)”。
 山中・谷間に潜み、通りがかる人の視界を奪って生き血を吸う妖怪で、蝙蝠(こうもり)を操る能力も持つ。
 以前は人も通わぬ深山で、マタギをしていたが、間車同様、黒塚にスカウトされ、人里に下りてきた。
 長い間、人と接したことが無いため、基本的に会話は片言のみ。
 黒髪を無造作に結った、とても小柄で無口な少女。
 服装には無頓着な性格で、見た目はくノ一かマタギ風。
 狙撃の達人でもある。
 自然をこよなく愛し、人工の街が少し苦手で夜型体質。
 あまり表面には出さないが、巡に対する好意のようなものが見え隠れすることも。
 妖力は【暗夜蝙声(あんやへんせい)
 射撃もしくは投擲(とうてき)した物体に、任意で追尾機能を持たせる。
 降神役場の地下倉庫をねぐらにしている。


三池(みいけ) 宮美(みやみ)
種族:妖怪(猫又)
性別:女性(メス)
年齢:50歳以上 (見た目は10代後半)
 降神町に住む妖怪(=特別市民)。
 正体は“猫又(ねこまた)
 年を経た猫が妖力を得て、妖怪になったもの。
 変化の術を使いこなし、人間を惑わすとされる。
 元々、普通の猫だったが、独居老人だった飼い主の死気を吸って猫又になった。飼い主の老婆が「都会で華やかな生活をしてみたかった」という無念を持っていたため、本人も無意識に「東京できれいな服を着て、イイ男引っかけて、人生の勝ち組になる」という野望を持つに至る。
 そのために特別住民支援課の人間社会適合プログラムを受講していたが「ツマラナイ」「面倒くさい」といった理由から、サボり魔と化していた。
 猫ゆえに好奇心は旺盛だが、惚れっぽく飽きっぽい気まぐれな性格。
 妖力は【燦燦七猫姿(さんさんななびょうし)
 伝承どおりの「変化術」で、姿はおろか生物なら声まで完全に変身できる。
 無生物への変化も可能だが、極端に大きさが違うものへの変化は、長時間維持することができず、消耗も激しい。
 また、彼女自身が若い猫又のため、その完成度も発展途上にある。


妃道(ひどう) (わだち)
種族:妖怪(片輪車)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 走り屋達が開催する私設レース“スネークバイト”における無敗の女王。
 正体は“片輪車(かたわぐるま)
 夜な夜な炎を伴った片輪の車に乗り、徘徊する女性の妖怪。
 見た者に災いをもたらすという。
 人間社会に馴染むことができずにドロップアウトし、自暴自棄になっていたところで“スネークバイト”に参加。
 元来持っていたドライビング技術を活かし、不敗神話を築く。
 一方で自らに比肩する対戦相手がおらず、退屈を持て余していた。
 粗暴な口調と対戦相手をおちょくる態度で誤解を生み易いが、元来面倒見が良く、情が深い。
 妖力は【炎情軌道(えんじょうきどう)
 乗り物に乗った状態限定だが、走行エネルギーを炎に変えて操ることができる。
 その破壊力はかなりのもので、走り続ける限り無限に発動が可能。
 知り合って以降、巡の事が気になっている様子。
※「片輪車」の呼び名は、資料に忠実な呼び名を採用しており、作者に差別的な意図はございません。


樹御前(いつきごぜん)
種族:妖怪(彭候)
性別:女性
年齢:2000歳以上(見た目は20代半ば)
 降神町(おりがみちょう)郊外に広がる“北無(きたなし)の森”を守護する、精霊に近い存在。
 正体は“彭候(ほうこう)
 千年以上経った木に宿り、犬のような姿をしているとされる妖怪。
 生じてからの年齢は古く、少なくとも平安時代から存在する。
 “北無(きたなし)の森”に隣接する古多万(こだま)神社の祭神と同一存在とされ、地元の信仰を集める。
 姿や言葉遣いは平安貴族の姫君そのもので、玉虫色の光沢を放つ黒髪と人外の美貌を持つ。
 樹木やそれが根付いた大地と結び付くことが可能で、森そのものが彼女であると言っても過言ではない。
 穏やかな性格で、人間には友好的。
 時には身を削って守ることもある。
 人間観察や神楽観賞が趣味で、少し茶目っ気を見せることも。
 妖力は【樹奏輪唱(じゅそうりんしょう)
 祝詞(のりと)によって樹木を意のままに操り、木霊(こだま)による音響催眠 (幻惑や方向感覚の喪失など)や、一定の条件下では治癒力向上などを促すことができる。
 巡に対しては、親しい感情を持つようになり、助力することもある。


二弐(ふたに) 唄子(うたこ)
種族:妖怪(二口女)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代前半)
 降神町役場勤務。特別住民支援課窓口班に所属。窓口・相談担当。
 腰まである長い黒髪と清楚な顔立ち、柔らかな人当たりの良い「ゆるふわ美人」
 その正体は妖怪“二口女(ふたくちおんな)
 後頭部にもう一つの口を持つ女性の妖怪で、伝承では長く強靭な髪を自在に操り、後頭部の口から食べ物を食べる。
 民話「飯を食わない嫁」などで、語られているのが有名。
 本人も大食いの気はあるが、必死に隠している模様。
 また、やや両性愛(バイセクシャル)の気がある。
 話す時は前にある普通の口と後頭部の口で間断なく喋り、慰めと叱咤、建前と本音を使い分け、巧妙な話術で職員・町民両方から人気がある。
 非常に地獄耳で、情報通でもある。
 また、黒塚以上の豊かなバストの持ち主で「発禁寸前」と称される程のプロポーションを持つ。
 妖力は【両咀双嚼(りょうそそうしゃく)
 長い髪の毛を二筋の蛇状に変化させて対象を持ち上げ、後頭部の口を開口し、噛み砕く。
 蛇状の髪は起重機並みの機能を持ち、相当な重量の物でも持ち上げることが可能。
 後頭部の口も大きく開口することが可能で、強靭な歯で何でも噛み砕くことが出来る。
 物騒な威力を持ってはいるが、本人が「荒事は苦手」と公言している通り、普段重い荷物を運ぶ時くらいしか使用されない。
 降神町役場における巡の初めての先輩で、弟のように思っている。


釘宮(くぎみや) (りく)
種族:妖怪(赤頭)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は5歳ぐらいだが成人)
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講者の一人。
 その正体は妖怪“赤頭(あかあたま)
 子供のような外見だが、非常な怪力の持ち主で、指先だけで五寸釘を柱に抜き差し出来るとされる(一説には、この子供のような妖怪と遭遇した力自慢の男を「赤頭」と呼ぶ)。
 赤毛の可愛い少年で、愛称は「りっくん」
 性格は穏やかで、気も優しい。
 頼まれ事も快く引き受けるため、基本的に敵を作らない。
 巡とは仲が良く、よくなついている。
 役場の人間社会適合セミナーにおいては優等生で、上位のステージまで進級している。
 悩みは外見が子供のため、成人扱いされないこと。
 反して、年上の女性からは絶大な人気を誇る。
 妖力は【仁王遊戯(におうゆうぎ)
 伝承通りの怪力を発揮することが出来る。
 本気を出した場合、どのくらいの腕力を振るえるのか不明だが、一説には剛力(ごうりき)で知られる鬼族とも渡り合えるのではないか、とされる。
 前述の通り、優しい性格だが「チビ」「ガキ」等の外見に対する悪口には容赦がない。


飛叢(ひむら) 隼人(はやと)
種族:妖怪(一反木綿)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講者の一人。
 その正体は“一反木綿(いったんもめん)
 夕暮れ時に出現し、一反(約10メートル強)もの白い木綿の姿をしている。
 そして、その長い身体で人を襲い、首を絞めて窒息させるという。
 メジャーだが、恐ろしい妖怪。
 モデル顔負けのイケメンで、ナチュラルに「女性殺し」
 外見に反して気性が荒く、好戦的な問題児。
 人間とは敵対こそしないが、売られた喧嘩は人妖問わず漏れなく買うほど喧嘩っ早い。
 何故か子どもになつかれやすく、本人も扱いに困ることもしばしばである。
 巡や釘宮とは気さくに接するが、同じセミナーの鉤野とは決定的に相性が悪く、常に喧嘩が絶えない。
 人が集う場所やイベントが好きで、頻繁に顔を出す祭り好きでもある。
 妖力は【天捷布舞(てんしょうふぶ)
 空中浮遊・高速飛行を可能とし、両腕に巻かれたバンテージ(木綿)を自在に操る能力。
 これを生かした空中戦・高速戦を得意とする。
 バンテージは妖力を増すことで伸縮・硬化が可能で、これを応用し、刀剣の様に物体を切断したり「ゲゲゲの○太郎」同様、多人数を空輸することもできる。
 “鎌鼬(かまいたち)”の太一(たいち)とはセミナーの同期であり、正反対の性格ながら親友同士。


鉤野(こうの) (しず)
種族:妖怪(針女)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講者の一人。
 その正体は妖怪“針女(はりおなご)
 見た目は普通の女性だが、夜道で男に微笑みかけ、笑い返した者をどこまでも追いかけてくる執念深い妖怪。
 その際、髪先の(かぎ)で捕らえて、どこかへ連れ去ってしまうとされる。
 着物が似合う和服美人。
 気品にあふれ、上品な物腰の女性だが、気が強く、曲がったことが大嫌いな性格。
 あと、本人の自覚は無いが、嫉妬深い。
 そのため、何人もの男性とお付き合いはするものの、振られることがほとんどで、いまだ恋愛成就には至っていない悩める淑女。
 手先が器用で、裁縫・刺繍が得意。
 普段着が着物なので目立たないが、黒塚を越えるナイスバディの持ち主でもある。
 また、実業家として成功した珍しい特別住民(ようかい)で、自身の服飾ブランド「L'kono(ルコノ)」を経営しており、少なからぬ業績を誇っている。
 そのため、かなりの富裕層(セレブ)
 飛叢とは同じセミナーに属するも犬猿の仲で、事あるごとに衝突している。
 妖力は【恋縛鉤路(れんばくこうろ)
 長い髪を自在に操り、相手を捕縛することができる。
 髪先は鉤状の針に変化させることが可能で、凄まじい力と強度を誇る。
 加えてこの妖力は、異性(即ち、男性や雄)に対しては特に効果が上がる上、彼女が対象に執着すればするほど拘束力も倍増する。
 日頃仲が悪いため、口にはしないものの、飛叢には信頼を寄せており、時折、異性として気になる様子も見せる。


■エルフリーデ=ゲオルグ=ポラースシュテルン
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年26歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』を率いる司令官(コマンダント)
 その正体は、恐怖の死霊集団“七人ミサキ”の頭領リーダーである。
 “七人ミサキ”は、四国地方などに伝わる死霊集団で、海や災害で死んだ人間の霊とされる。
 常に七人組で現れ、出会った人間は憑り殺されて仲間にされてしまうが、入れ替わりに一人が成仏するとされている。
 ちなみに、本作の“七人ミサキ”は、出会ったが最後、退ける(すべ)もない天災の様な存在となっている。
 美しい金髪に白磁の肌、片眼鏡(モノクル)をかけた軍服姿の美人。
 軍人気質で高潔な性格だが、自分が気に入ったものは手に入れたくなる悪癖の持ち主。
 父親はヨハネス=ゲオルグ=ポラースシュテルン博士。
 優秀な霊科学者であった彼は、総統の勅命の下『不死兵士計画(ウン・シュテルプリッヒ・ソルダート)』を秘密裏に進めていたが、終戦間際に日本へと亡命した。
 来日後、病魔に倒れた彼女は、存命を望んだ父の手によって“七人ミサキ”の呪いと同化。
 システム『Sieben(ズィーベン) geists(ガイスツ)』により、呪いそのものを掌握し、死後も意識を持つ霊魂となるが、反作用によって入れ替わり成仏が出来なくなってしまった。
 妖怪ではないため、妖力は持たない代わりに、システム『七怨霊将(ズィーベン・ガイスツ)』という能力を持つ。
 これは対象の魂を拘束し、自分の制御下に置くほか、自分を含めた“七人ミサキ”の能力を大幅に増大させることもできる特殊能力である。
 この能力があるため、彼女の指揮の下、状況に応じて多彩な戦陣を組む“七人ミサキ”は、強力無比な軍団となる。
 また、彼女達は霊体であるため、物理的な力の影響はほぼ受けない。
 補足すると、本編第五章の『SEPTENTRION(セプテントリオン)』は、町の不良達を拘束して編成した仮設部隊に過ぎない。
 彼女が真に統率する本当の『SEPTENTRION(セプテントリオン)』は別に存在し(後述参照)、その戦闘力は、仮設部隊を遥かに凌ぐものとなっている。
 巡を大層気に入っており「自らの伴侶」と公言してはばからない。


(あまり) 見三(けんぞう)
種族:妖怪(精螻蛄)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は30代前半)
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講者の一人で、ずんぐりとした体型のオタク。
 正体は“精螻蛄(しょうけら)
 庚申(こうしん)伝承に名を残す妖怪とされる。
 古来、人間の体内には「三尸(さんし)」という虫がおり「庚申(かのえさる)」の夜に天へ昇って天帝にその人の罪を報告し、天帝はそれによりその人の命を奪うとされていた。
 そのため、庚申の夜は三尸を体外に出さないよう眠らずに過ごす行事…「庚申講(こうしんこう)」が実際に行われていた。
 精螻蛄は、この夜に天窓から家の中を覗く姿で描かれており「人間たちが規則を守っているかどうかを監視している」との解釈もされている。
 また、その規則を破る人間に対しては、精螻蛄が3本指の鋭い爪で切り裂いてしまうともされている。
 カメラオタクで、独特の口調で喋る。
 本人の性格なのか、はたまた「精螻蛄」としての(さが)がそうさせるのか、盗撮(本人いわく「刹那の芸術品」)やノゾキ(本人いわく「美の探究」)を好み、それが原因で周囲の女性陣には、かなり危険視されている。
 とはいえ、義理堅い面もあり、全くの悪人ではない(…としておく)。
 妖力は【爬這裸痴(ぱぱらっち)
 「覗く」という行為に際し、神憑(かみが)かり的な幸運判定が作用する常時発動型妖力。
 例えば彼がPCで「~という情報を覗きたい」と強く考え「そうかな? 」と思いながら行った操作が、()()正しい方法となる。
 そして、目的の情報を相手に気付かれることなく閲覧することが可能となるのである。
 ネット社会である現代では、特に万能の力のように見えるが、欠点もある。
 それは対象に向けて、本人が「覗きたい」という強い欲求が沸かなければ全く機能しない点。
 これは「覗く」という行為の上位に「覗きたい」という願望がまず存在するためである。
 また、対象を覗くだけで、さしたる攻撃力は発揮しない上、情報の分析も出来ず、成功率も100%ではない。
 いずれにしろ「警察に通報するなら今のうちしかない」妖力。
 未確認だが、見た目に反して、つきあっている彼女がいるらしい。


海桐(かいどう) (なぎ)
種族:妖怪(磯撫で)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 降神町南部の港町、白神(しらかみ)に住む特別住民(ようかい)
 魚の妖怪“磯撫(いそな)で”がその正体。
 西日本の近海によく現れたこの怪魚は、波間を撫でるように泳ぎ、船に近付くと、鋭い針のついた尾鰭(おびれ)で船乗りを撫でて針に引っ掛け、海に落として食い殺したとされている。
 漁師にしてみれば「釣るべき魚に逆に釣られる」という恐怖もあった。
 浅黒い肌と足元まである長髪を束ねた凛々しい若者で、飛叢と並ぶ程のイケメン。
 真面目で義理人情に厚い性格で、地元では若い妖怪達の相談役になっており、人望も厚い。
 後述の(かがり)鏡冶(きょうや)とは幼馴染みの関係。
 普段は船を駆り、漁師として働いている。
 人間とも友好的に接していたが、五猟一族との確執が生まれると、人間不信になった(現在は元に戻っている)。
 そんな中でも、民宿「しおさい」を営むおばあちゃんと孫娘とは懇意にしており、時折、魚を届けることもある。
 妖力は【潜波討艪(せんはとうろ)
 自前の長髪の髪先を鋭利で巨大な釣り針に変化させ、攻撃する。
 針は迷彩化が可能で、まるで波間に溶けるように大気に透化し、音も無く相手を襲うことが可能。
 奇襲戦法としてはまさしく最上クラスの妖力といえる。
 針自体の力も高く、かなりの重量の物でも首の動きだけで釣り上げ、更に数百メートルもの射程を誇る。
 巡や飛叢達とは強い友情で結ばれている。


焔崎(えんざき) (かがり)
種族:妖怪(牛鬼)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 降神町南部の港町、白神(しらかみ)に住む特別住民(ようかい)
 その正体は“牛鬼(うしおに)
 各地に伝承を持つ妖怪で、頭が牛、首から下は鬼(または蜘蛛)の胴体を持つ。
 海岸の他、山間部、森や林の中、川、沼、湖にも現れ、特に淵に現れることが多い(実際に、近畿地方や四国には「牛鬼」の名がつく淵が多く残っている)。
 非常に獰猛な性格で、毒を吐き、人を食い殺すことを好むとされる。
 金髪に浅黒い肌、大柄な体型のパワフルな女性。
 伝承通りの武闘派で「拳で語り合う」を地でいく性格。
 が、根は単純で、素直な面もある。
 (なぎ)鏡冶(きょうや)とは兄妹の様な関係。
 凪と共に漁師をやっており、仲間の人間の漁師達とも仲が良い。
 妖力は【狂角牛王(きょうかくごおう)
 全身の部位を任意で硬化させることで、防御力を飛躍的に向上させるだけでなく、突進力をも強化し、初速で最高速に達する脚力を発揮できる。
 また、鬼族の一種であるため、怪力の持ち主でもあり、正面きっての殴り合いには殊更(ことさら)強い。
 一方で、絡め手に弱く、知略を用いた戦法が天敵でもある。
 逆神(さかがみ)の浜を誰よりも愛しており、一人でこまめに浜の掃除をしたりしている。


影流(えいりゅう) 鏡冶(きょうや)
種族:妖怪(影鰐)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 降神町南部の港町、白神(しらかみ)に住む特別住民(ようかい)
 正体は“影鰐(かげわに)
 その伝承は島根県は邇摩郡 温泉津(ゆのつ)町に伝わっており、姿は鮫に似ているとされる(古来より「(わに)」は「(さめ)」を指す)。
 「影鰐」は、波一つない凪ぎの日に船を出す者の前に現れ、海面に映った船乗りの影を飲み込んでしまう。
 言い伝えでは、これに影を飲まれた者は死ぬとされている。
 黒い服に身を包んだ耽美系の美青年。
 冷静沈着で、状況判断に優れた参謀役。
 (なぎ)(かがり)より年上で、ともすれば熱くなりがちな二人をたしなめるブレーキ役でもある。
 一方で、二人のことは弟や妹のように思っており、常に陰から見守っているお兄さん。
 二人とは違い、美容師としての資格を持ち、地元の美容院「影流(エル)」で働いている。
 妖力は【転影錨牙(てんえいびょうが)
 影を操り、影を通じて別の影へと移動することが出来る。
 またその(きば)を用い、相手の影を“喰らう”ことで金縛り現象を起こすことも可能。
 直接的な攻撃力は持たないものの、組む相手にとってはこの上ない強力な支援役になることが出来る。
 そのメイク術には定評があり、結婚式にも呼ばれることが多く、別名「(シャドウ)の魔術師」。


五猟(ごりょう) 沙槻(さつき)
種族:人間(戦斎女)
性別:女性
年齢:400歳以上
 白神に根差す「五猟(ごりょう)一族」が擁する“戦斎女(いくさのいつきめ)
 たおやかな雰囲気の少女で、常に白衣(びゃくえ)緋袴(ひばかま)といった巫女の衣装を身につけている。
 “戦斎女(いくさのいつきめ)”は、神に仕える“斎女(いつきめ)”の発展形で、史実にその名は残っていない(※完全創作です)。
 彼女達は、太古より魔に脅かされた人間達が、その強迫観念によって生みだした存在である。
 膨大な時と古くからの血筋、人の道を排した修法により、遂に生まれた彼女達は、退魔に特化した人間…というよりは、むしろ「退魔兵器」に近い。
 その機能は破格で、人間ながら、その身体は「死」を含むあらゆる(けが)れを寄せ付けない(そのため、非常に長命。但し、不老不死ではない)。
 また、呼吸をするように無尽蔵の霊気を生成し、古今東西の魑魅魍魎(ちみもうりょう)についての知識を備え、常軌を逸した霊力と強靭な彼女達の肉体は、神霊クラスの存在をその身に降ろすことすら可能とされる。
 普段は、一族の拠点となる「五猟神社」の奥の杜、結界の中に一人で生活をしており、魔と戦うときのみ結界の中から出ることが許されている。
 そのため、世俗に触れる事が少なく、世事には(はなは)(うと)いポンコツ娘。
 性格は少し気弱で、一途でおとなしく、従順な大和撫子(やまとなでしこ)
 とある出来事を通じて知り合った巡に惹かれて、降神町役場に出向という形でやってくる。
 目下の目標は巡との間に子供をもうけること(但し、作り方はよく分かっていない)。
 妖怪の持つ「妖力」に抗する「霊力」の使い手で、使用術式は「神道」。
 現存する退魔師の中ではトップクラスの実力を持つ。
 最近、高所恐怖症であることに気付く。


乙輪姫(いつわひめ)
種族:神霊(天毎逆)
性別:女神
年齢:不詳(神代から存在。見た目は10代半ば)
 「八岐大蛇(やまたのおろち)」退治で有名な「素戔男尊(すさのおのみこと)」が体内にたまった猛気を吐き出し、それが形を成すことで誕生した妖怪神“天逆毎(あまのざこ)”。
 “天邪鬼(あまのじゃく)”と“天狗(てんぐ)”の起源ともされる。
 伝承では獣面人身で、高い鼻と長い耳と牙を持つ。
 また、物事が意のままにならないと荒れ狂い、その力は例え強力を持つ神でも千里の彼方へと投げ飛ばし、どんな武器でもその牙で噛み壊す。
 そして、物事をあべこべにしないと気の済まない性格で、前のことを後ろ、左のことを右などと言ったとされている。
 見た目は薄く化粧をし、お洒落に盛った茶髪に天女のような衣をまとったJKギャル。
 伝承通りの天邪鬼な性格で、真逆のことを言って相手を惑わし、ほくそ笑む小悪魔。
 しかし、これは想いを寄せていた人間…ヤクモ(後述参照)の死を切っ掛けに神性(ほんしつ)が変わってしまったためで、本来は自然を愛する素直で優しい性格の娘である。
 その出自から純然たる神霊(神)ではないものの、現時点ではその力は作中でもほぼ最強クラス。
 猛気を自在に操り、妖怪をも凌ぐ身体機能を発揮する。
 特に、所有する権能(けんのう)(神霊として有する力)である【万象反転(ばんしょうはんてん)】は、炎を氷へ、若木と朽木へと森羅万象に至るまで、あらゆるものを反転させる強力なもの。
 現在は、樹御前が管理する“北無(きたなし)の森”で、マシロソウの花園を守りながら静かに暮らしている。


日羅(ひら) 秋羽(あきは)
種族:妖怪(天狗)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代後半)
 国家機関「内閣府特別住民管理室」に属する特別住民(ようかい)の一人で、役職は戦士長。
 正体は“三尺坊(さんじゃくぼう)”と呼ばれる高位の天狗神で、正式な名前は“秋葉三尺坊大権現(あきはさんじゃくぼうだいごんげん)
 一般的には四肢に白蛇が巻きついた白狐に乗り、剣と羂索(けんさく)を手にした烏天狗(からすてんぐ)の姿で表されることが多い。
 七十五の眷属を持ち、火伏せの加護で有名な天狗の一人である。
 長身で黒髪を結い上げ、切れ長の瞳が特徴的な日本刀を連想させる怜悧(れいり)な雰囲気の美女。
 聡明で実直、かつ冷たいイメージに隠れがちだが義理人情に厚く、女性らしい面もある。
 その実力は非常に高く、武芸十八般を修め、神通力をも使いこなし、配下の「木葉天狗(このはてんぐ)衆」と共に主に要人警護や対特別住民専門の特殊任務を担当する。
 また、相棒の霊狐「火納天(かなで)」に跨り、超高速で移動も可能。
 まさに完全無欠の美女だが、古く強大な妖怪に多い「機械オンチ」で、報告書の類はパソコンを使えず、全て巻き物などに筆でしたためるため、上層部からは少し変わり者扱いされることも。
 妖力は【三千焦土(さんぜんしょうど)
 火伏せの力を応用し、炎を自在に操る。
 また、その際に温度をも自在に変化させることも可能で、最大開放時には地殻に穴をあける程の熱量を発現させることができる。
 同時に、その信仰から炎に対する防御に優れ、火を操る相手とはすこぶる相性がいい。
 沙槻とはとある出来事を通じて知り合ってから懇意にしており、何かと気にかけている。


風限(かざきり) (はやて)
種族:妖怪(木葉天狗)
性別:男性
年齢:210歳(見た目は30代前半)
 国家機関「内閣府特別住民管理室」に属する特別住民(ようかい)の一人で、秋羽率いる直属部隊「木葉天狗(このはてんぐ)衆」の一人。
 正体は“木葉天狗(このはてんぐ)
 様々な伝承が各地に伝わる中、静岡県の大井川で夜間に大勢で魚を捕らえていたとされる話がある。
 それによると、大きな鳥のような姿で、翼は(とび)に似ており翼長が6尺(約1.8メートル)もあったとされる。
 一説には、人に似た顔と手足を持ち、(くちばし)と翼、尾羽を備えているともされる。
 鍛えられた肉体と精神を持つ、精悍な顔立ちの偉丈夫で、秋羽の眷属でもある。
 主に似て、質実剛健かつ実直な性格の好漢。
 修験道に通じた術者で、得意な武芸は棒術。
 また、その名の通り、飛翔能力にも長ける。
 妖力は現時点では不明。
 主同様に機械オンチでもある。


■アルベルタ
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年27歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の一人で、副司令官を務める。
 エルフリーデより背が高く、銀髪のショートヘアーと眼鏡が特徴的なクールビューティー。
 見た目通り、常に冷静沈着で、体裁より効率を重視する現実主義者(リアリスト)
 司令官のエルフリーデに心酔しており、彼女の傍らで勝利を提供し続けることに己の存在意義を見出している。
 また、狙撃のスペシャリストで、愛銃はブレイザーR93カスタムモデル「Rip van Winkle」(リップ・ヴァン・ウィンクル。英語で『眠ってばかりいる人』の意)。
 どんな状況でも射撃にベストなコンディションを作り、百発百中の腕前を持つ。
 また、ゲルトラウデとコンビを組むことが多く、彼女の支援砲撃時には、射撃指示を担う。


■バルバラ
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年27歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の一人。
 隊の前衛を務め、常に先陣を切る突撃隊長。
 隊で一番大柄で、鍛え抜かれた肉体(霊体?)の持ち主。
 赤毛で、頬に傷跡がある威勢のいい熱血タイプ。
 気分屋で面倒くさがりなところもあり、戦闘では弱い相手は見向きもしないが、強者には嬉々として立ち向かっていく。
 戦闘時以外はフラットであけすけな女性で、酒の席で脱ぐくらいは平気でやる。
 戦闘時では、特殊戦闘手甲「Hänsel und Gretel」(ヘンゼルとグレーテル)を拳に装着しての格闘戦を得意とするパワー(タイプ)


■カサンドラ
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年17歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の一人。
 隊の前衛を務める剣士。
 銀髪をツーサイドに分けた小柄な体格の少女。
 勝気で常に相手を見下すことが多い反面、涙もろいところもある。
 個性の強いメンバーの中でも比較的常識人だが、周囲の評価はいわゆるツンデレならぬ「ツンデ(れい)
 本人は隠しているつもりだが、エルフリーデにぞっこんで、故にエルフリーデのお気に入りである巡には冷たい態度をとる。
 戦闘時には、組み合わせることで(はさみ)にも変形する二振りの曲刀(カトラス)「Aschenputtel」(灰かぶり)を振るう二刀流の使い手で、素早い速攻を得意とするスピード(タイプ)


■ディートリント
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年20歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の一人。
 隊の前衛を務めるトリックスター。
 黒髪を一本のおさげにまとめ、右目に眼帯をしており、常に愛用の軍刀(サーベル)を抱きかかえ、ブツブツと独り言を言っているアブない目をした女性。
 その言動は常時中二病。
  特に愛用の軍刀「Fáfnir」(ファフニル)は、彼女の設定では「“悪竜王”の牙から削り出された呪われた闇の魔剣。抜く者と歯向かう者に死をもたらす冥界からの使者」で「時間経過と共に使用者の意識を闇へ飲み込んでいく」となっており、戦闘時にはその設定を忠実に再現しようとする。
 戦闘時は軍刀「ファフニル」を操るが、空中に浮遊する軍刀をまるで指揮棒(タクト)を振るうように手を動かして操る(目下、原理は不明)。
 見た目とは違い、意外にもバランスのとれた万能型(オールラウンダー)


■フリーデリーケ
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年19歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の一人。
 隊の後衛を預かる衛生兵。
 どこにでもいそうな、ごく普通の長い茶色い髪の少女。
 柔和な顔立ちで、誰にでも分け隔てなく接する優しい性格。
 のんびり屋で、家事好き、世話好きな面もある。
 また、意外にノリがいい。
 戦闘では後衛で負傷者の救護に当たるが、戦闘もこなすことは可能で、他のメンバーと共に戦陣を組む事も多い。
 救護の腕は超一流で、彼女の存在が『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の防御の要になっているともいえる。
 波長が合うのか、自分と同じような性格の巡が、ちょっとだけ気になっている。


■ゲルトラウデ
種族:死霊(七人ミサキ)
性別:女性
年齢:享年5歳
 ドイツ第三帝国が誇る精鋭部隊、第339独立部隊『SEPTENTRION(セプテントリオン)』の一人。
 隊の後衛の要となる砲撃兵にして、マスコット的存在。
 だぶだぶの軍服に、クマのぬいぐるみを抱えた白金髪(プラチナブロンド)の可愛らしい少女。
 無口で人見知りな性格なため、必要最小限の言葉以外は喋らないが、気質には軍人魂が叩き込まれている。
 ポジション関係上なのか、主にフリーデリーケに懐いており、その後ろに隠れることも多い。
 反面「最大火力幼女」の異名を持ち、戦闘時には「機甲師団(パンツァーディヴィジョン)」と呼ばれる玩具の戦車隊やヘリ部隊等の機械化部隊を指揮し、本物さながらの支援砲撃を繰り出す、隊でも最強の攻撃力の持ち主である。


■ヤクモ(弥空媽)
種族:呪物(反魂香)
性別:男性
年齢:享年24歳
 神代に生きた薬師で、穏やかで心優しいごく普通の人間の若者。
 乙輪姫と出逢い、心を通わせるも、病気の母親を救うためにある薬草を求めて険竣な山に分け入り、瀕死の怪我を負った。
 そして、それが元で命を落とすこととなる。
 しかし、死後も乙輪姫を案じ、魂のみが現世に残る。
 現在は、死者の魂を呼び戻す“反魂香(はんごんこう)”の原料となる霊草『マシロソウ』(別名『ミタマガエシ』)の力により、存在している。
 彼の魂は、神代から『マシロソウ』の力を受け続けたため、いわば存在自体が“反魂香”そのものとなっており、死してなおも、現世に留まり続けている。
 生者と変わることなく意思を持っており、霊視能力を有する者が見れば、姿も見えるし、その者を介せば会話も可能。
 呪物であるため、妖力は持たないが、本人は薬師だけに薬草などに詳しく、現代の名医を凌ぐ医術知識を有している。
 基本的に『マシロソウ』の花園内のみにしか存在出来ないが、恋人の乙輪姫がそこから離れることは決してないため、全く問題ない。
 また、姿は見えないが、彼自身も常に乙輪姫に寄り添い、彼女を見守っている。
 巡とは魂レベルで相性が良く、性格も似ている模様。


沙牧(さまき) 美砂(みさ)
種族:妖怪(砂かけ婆)
性別:女性
年齢:不詳(調べた人間が目下、行方不明)
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講者の一人。
 正体は“砂かけ婆”
  神社等の近くの人通りの少ない場所を通る人間に、突然砂を浴びせかける妖怪とされる。
 長い髪を一房にまとめ、右肩に流した和装美人で、チャームポイントは口元の黒子(ほくろ)
 常に穏やかな微笑みと口調を絶やさず、男性を魅了する「薄幸の未亡人」系美女。
 しかし、男に騙されやすそうな外見に反し、その実態はドSで守銭奴、毒舌家。
 その色香と外見に騙され、廃人と化した男性は数多い。
 ドSながら仲間を大切にし、敵対者には容赦しない一面も。
 普段はマンションやアパートを多く経営しており、飛叢や他の妖怪にとっては大家でもある。
 経営手腕はかなりのもので、かなりの資産を有する。
 また、船舶免許を持っていたり、過去に挑んだ大冒険の話をするなど、謎の多い女性。
 妖力は【砂庭楼閣(さじょうろうかく)
 任意で砂を操る能力で、相性の良い砂地では凄まじい力を発揮する。
 ちなみに本編で彼女が「第○楼“○○○”」と言っているのは完全なハッタリで、全ては【砂庭楼閣】の派生技に過ぎない。
 鉤野には散々な評価を行うものの、互いに認める親友同士。


柏宮(かしみや) 千尋(ちひろ)
種族:妖怪(機尋)
性別:女性
年齢:116歳
 鉤野が社長を務める服飾ブランド「L'kono(ルコノ)」の会社員で、降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの卒業生。
 正体は“機尋(はたひろ)
  織り手の女性の怨念が(はた)で織られた布に憑りつき、蛇の姿と化したもので、外に出たまま帰らぬ夫の行方を探し回るという。
 中学生のような見た目をしており、髪の毛を頭頂部でシニヨンにしている。
 妖怪としてその性質上、編み物の腕は達人級で、鉤野も舌を巻くほど。
 努力家で決して諦めない根性(ガッツ)の持ち主。
 反面、執念深く、過去には浮気をしていた彼氏を自らの妖力で探し当て、拘束したこともある。
 社長である鉤野は尊敬しているが、その友人である沙牧がちょっと苦手。
 妖力は【執縛蛇帯(しゅうばくじゃたい)
 自らの妖力(状況によって怨念も)を込めて作成した布類にかりそめの生命を与え、任意の対象を探索、或いは捕縛する能力を持たせる。
 戦闘には向かないが、その探知範囲は驚異的で、正確に対象の居所を突き止めることが出来る。
 季節を問わず首にマフラーを巻いており、自身は「“機尋”である自分で決めたアイデンティティーみたいなもの」としている。


神無月(かんなづき) 翔舞(しょうま)
種族:妖怪(紙舞)
性別:男性
年齢:不詳
 民間企業「mute(ミュート)」主催の特別住民(ようかい)向け人間社会適合セミナー「Knowledge and Innovation」(知識と革新)…略して「K.a.I(カイ)」の受講生。
 自称“便利屋”を名乗る謎の多い男。
 正体は“紙舞(かみまい)
  神無月(10月)にのみ起こり、風も無いのにひとりでに紙が一枚ずつ舞うとされる現象(「妖怪」というよりは「怪事」に近い)。
 小柄な体型をしており、愛用のポークパイハットを被り、マントのような黒い外套コート、手には常に分厚い本を持つ。
 常に無愛想で、慇懃無礼。
  相手を名前ではなく妖怪名や「人間」とただ呼び捨てる。
 極度の愛書家(ビブリオフィリア)らしく、人の話を聞きながら、手にした分厚い本をめくっていることもある。
  そのためか、知識と経験は豊富。
 妖力は【無間書獄(むげんしょごく)
 手にした本のページを宙に舞わせ、対象を幻惑したり、動きを封じたり出来る。
 その性質上、本が無くては機能せず、ページが無くなれば事実上の弾切れとなる。
 また、火に弱く、水に弱く、風に弱く、金(刃物)に弱いという欠点もある。
 本人いわく「俺は無害な妖怪」を体現した妖力といえる。


弓弦(ゆづる) 早矢(はや)
種族:妖怪(古空穂)
性別:女性
年齢:不詳
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講生。一時的に「K.a.I」にも参加していた。
 正体は“古空穂(ふるうつぼ)
 付喪神(つくもがみ)…即ち、古びた器物が変化した妖怪の一種で、輝かしい武功を上げた武者が所有していた(うつぼ)(矢を収納する武具)が、年月を経て、かつての栄光を忘れ去られる無念により妖怪と化したものとされる。
 結い上げた黒髪に胴着、黒袴に朱塗りの大弓を担いだ大和撫子。
 武道精神を愛し、礼儀を重んじる武士娘で、弓術の腕は「弓神」と称される程の腕前。
 妖力は現時点では不明。
 狙撃の名手である摩矢を密かにライバル視している。


相馬(そうま) 駿平(しゅんぺい)
種族:妖怪(馬の足)
性別:男性
年齢:不詳
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講生。一時的に「K.a.I」にも参加していた。
 正体は“馬の足”
  夜道に出現する妖怪で、木にぶら下がった馬の足の姿をしており、不用意にその下を通る者は蹴り飛ばされるとされる。
 面長で愛嬌のある容貌と、流暢な英単語と妙なイントネーションを織り交ぜて話す男で、誰にでも気さくに接する陽気者。
 空気を読めないところがあるのがたまに傷だが、基本憎めない性格で、喧嘩の仲裁が上手い。
 妖力は現時点では不明。
 どうやら俳優志望らしい。


夷旛(いば) 大雪(だいせつ)
種族:妖怪(鬼熊)
性別:男性
年齢:不詳
 「K.a.I」の受講生で「プロジェクト・MAHORO(マホロ)」のテストプレイヤーの一人。
 正体は“鬼熊(おにくま)
  年を経た熊が妖怪になったもので、二本足で立って歩き、山から人里にやって来ては家畜をさらい、食らう。
 非常に力が強く、力持ちの男が十人がかりでも動かない巨岩も楽々と動かすとされている。
 大柄でひげを生やした山賊のような風貌の男。
 怪力の持ち主で、外見通り豪快かつ荒っぽく、喧嘩っ早いが、似た者同士の飛叢とは妙にウマが合う。
 妖力は【呀熊剛神(がゆうごうしん)
 任意で獣化し“鬼熊”としての本性を再現する妖力。
 獣化しても知性は残るが、獣性が高まるため輪をかけて凶暴になる。
 筋力・耐久力・生命力が特に向上し、その剛腕は正に凶器と化す。
 太市とは喧嘩はしたものの、同じ獣系妖怪同士、純粋に親交を深めたいと思っていたらしい。


大間(おおま) (ひとし)
種族:妖怪(大入道)
性別:男性
年齢:不詳
 「K.a.I」の受講生で「プロジェクト・MAHORO(マホロ)」のテストプレイヤーの一人。
 正体は“大入道(おおにゅうどう)
 名前の通り、巨大な姿をした人型の妖怪で、日本各地の伝承に名を残し、狐や狸、時に古い石塔が化けたともされるが、そのほとんどが正体不明とされる。
 特筆すべきはその身体の大きさで、2メートルから山程の大きさのものまで伝承に残っている。
 どこにでも居そうなごく平凡な容姿の青年で、特徴という特徴が無いのが特徴。
 そのためか、非常に影が薄い。
 性格も可も無く不可も無く、人付き合いもそこそこという、正にモブキャラの鏡。
 妖力は【俯瞰巨躯(ふかんきょく)
 巨大化する妖力で、大きさは2メートルから山脈を超えるほどまで大きくなれる。
 動きが鈍くなる上、身体能力も特段強化されないため、戦闘力の向上にはならないが、単純な質量差で相手を駆逐することが出来る。
 本編中、三池との戦闘ではいい所無しだったが、使いどころによっては大変強力な妖力。
 また、巨大化中は何故か「にゅうどう~」しか喋れなくなる。
 あだ名は名前をもじって“大魔神(だいまじん)
 なお別段、進撃はしない模様。


海尊(かいそん)
種族:妖怪(貝吹き坊)
性別:男性
年齢:不詳
 「K.a.I」の受講生で「プロジェクト・MAHORO(マホロ)」のテストプレイヤーの一人。
 正体は“貝吹(かいふ)(ぼう)
  備前国(いまの岡山県)和気郡に伝わる妖怪で、熊山城という城跡の堀に棲んでいたとされる。
  法螺貝(ほらがい)を吹く音のようなという声をあげるものの、その姿を見た者はいないとされる謎の多い妖怪。
 厳めしい僧形の大男で、常に法螺貝を携帯している。
 実際に僧籍を持っており「K.a.I」には修行の一環として参加していた。
 「余計な弁舌は真理を歪める」と考え、四字熟語しか喋らない。
 変わり者だが、仏門に対する思いは真摯であり、慕う妖怪も多い仁徳の持ち主。
 妖力は【響鳴浄土(きょうめいじょうど)
 法螺貝を吹くことで指向性の振動音波を発生させ、対象を破砕する強力な妖力。
 また、追加効果で抵抗(レジスト)に失敗した相手の聴力を一時的に麻痺させる効果を有する。
 沙牧との戦闘のせいで、少しMっ気が増したらしい。


愛野(あいの) (あきら)恋ヶ窪(こいがくぼ) (ひかり)
種族:妖怪(じゃんじゃん火)
性別:明…男性、光…女性
年齢:不詳
 「K.a.I」の受講生で「プロジェクト・MAHORO(マホロ)」のテストプレイヤーのカップル。
 正体は「じゃんじゃん火」
 奈良県各地に伝わる空飛ぶ怪火で「じゃんじゃん」と音を立てることがその名の由来。
 心中した男女などの霊が、火の玉に姿を変えたものとされている。
 二人で一組の妖怪で、明は茶髪のチャラ男で、光はギャル系少女。
 共に口が悪く、常に騒々しいため、あまり人に好かれない。
 また、TPOをわきまえずにいちゃつくため、独り身の妖怪達からは特に嫌悪されている。
 ちなみに本作では男性の明が蒼い鬼火、女性の光が紅い鬼火を使いこなす。
 妖力は【愛焔ラブラブ…】…もとい【愛焔恋火(あいえんれんか)
 お互いへの恋慕により双方の鬼火を激しく燃え上がらせ、相手を焼き尽くす正に“愛の業火”。
 その威力は非常に高く、恋人のいない相手には特に効果が増す。
 反面、二人のこだわりで発動プロセスが長く、まず命中が望めないという問題を抱えている。
 また、二人が喧嘩をすると威力が著しく低下する。
 嫌われ者の二人だが、お互いへの思慕はとても深く、とても純粋。
 明は「~ジャン」、光は「~じゃん」と語尾につけるのが口癖。


風峰(かざみね) 太市(たいち)
種族:妖怪(鎌鼬)⇒妖魔(鎌鼬)
性別:男性
年齢:不詳
 降神町役場が行う人間社会への適合セミナーの受講生で、一時的に「K.a.I」にも参加。
 正体は“鎌鼬(かまいたち)
 「カマイタチ現象」の名でも知られる通り、非常に有名な妖怪。
 その伝承は中部・近畿を中心に全国に伝わっているが、多くは山間部に出現し、風の中に潜んで、人を襲い、出血や痛みを伴うことなく傷を付けていくという。
  伝承の中には三人一組の形で伝わるものもある。
 長い髪を束ねた柔和な顔立ちの青年。
 とても穏やかな性格で、気が優しい。
 セミナーでは飛叢と特に仲が良く、正反対の性格ながらよくつるんでいた。
 華流(かる)という気丈で明るい姉と、舞織(まおり)という病弱な妹がおり、妹の治療費を稼ぐため、人間社会で働く姉を一刻も早く支えようと、熱心に人間社会の勉強をしていた苦労人でもある。
 伝承通り、三姉弟で組むことが多く、まず姉の華流が相手を転ばせ、太市が切り裂き、妹の舞織が薬を塗るというフォーメーションを得意としていた。
 太市は、その性分から「二番手(=斬り役)」を躊躇(ためら)っていたが「姉や妹に押し付けるのは忍びない」と考え、あえてその位置についた。
 妖力は【無血斬刃(むけつざんば)
 相手に痛みを感じさせない程の鋭い切れ味を誇る真空の刃を起こし、自在に操る妖力。
 もっとも、現在の彼はある原因から「妖怪」から進化した「妖魔」を自称し、神霊級に近い力を得ており、瞬間移動のように素早く動き、真空の刃を蹴り放ち、飛来する巨岩を切り刻んで風化させるなど、元来の“鎌鼬”が有さない能力を持つに至っているため、事実上使われない妖力となっている。
 「絶界島(トゥーレ)」での一件以来、現在消息不明。


墨田(すみだ) 二八(すみだ)
種族:妖怪(灯無蕎麦)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は70代半ば)
 降神町に住む特別住民(ようかい)の一人。
 正体は“灯無蕎麦(あかりなしそば)
 本所(東京都墨田区)を舞台とした「本所七不思議」と呼ばれる奇談・怪談の1つ。
 江戸の昔、夜になると本所南割下水付近には蕎麦の屋台が出たが、そのうちの一軒は常に店の主の姿がなく、夜明けまで待っても現れない。その間、店先に出している行灯(あんどん)の火が常に消えているという。
 これが“灯無蕎麦”という怪異である。
 この行灯に迂闊に火をつけると、家へ帰ってから必ず不幸が起るとされ、そのうち、この店に立ち寄っただけでも不幸に見舞われてしまうという噂すら立つようになった。
 白髪混じりでしかめっ面の老人で、職人気質で「下町の雷オヤジ」の様な頑固さの持ち主。
 特別住民(ようかい)の中でも屈指の蕎麦・うどん打ち名人で、降神町役場と契約し、週一回食堂に出張している。
 頑固な彼に怒鳴られた客は数多いが、厳しさの中にも温もりがあり、逆にそこが蕎麦やうどんの味と共に人気になっている「町の名物お爺ちゃん」。
 妖力は現時点では不明。
 町内でも有名な老舗の蕎麦店「玄風(げんぷう)」の代々の主人達とは同じ蕎麦屋という事で盟友でありライバルでもある。
 現当主の打本(うちもと) 面一(めんいち)とは師弟関係にあり、豪快で怖いもの知らずの打本も、彼だけには頭が上がらない。
 また「屋台」にこだわりを持っているため、個人の店舗は持たない主義。


火納天(かなで)
種族:妖怪(宙狐)
性別:女性
年齢:10歳(見た目は4、5歳)
 「秋葉山三尺坊大権現」こと、秋羽の従臣。
 その正体は、純白の毛並みをした妖狐(ようこ)の一種“宙狐(ちゅうこ)”であり“地狐(ちこ)”とも呼称される。
 いわゆる日本や中国でも伝承・昔話で知られる「化け狐」で、人を化かしなどの変化術を使い、人を惑わすとされる。
 漫画や小説、アニメなどのサブカルチャーでは誤解されがちだが、もともと「妖狐」という呼称は「化け狐」の総称であり、個別に「妖狐」という妖怪は存在しない(『人間』という氏名の人物がいないのと一緒)。
 諸説あるが「妖狐」は“野狐(やこ)”“宙狐(ちゅうこ)”“気狐(きこ)”“空狐(くうこ)”“天狐(てんこ)”の順に位が高くなり、その分、力と尾の数が増加していく。
 ちなみに、最上位の“天狐”は神霊と同格となり、天変地異すら操る力を持つに至る。
 雪の様な白髪をポニーテールにし、平安時代の純白の童子水干(どうじすいかん)姿を身に付けており、クリクリとした大きな目と、顔を走る赤い隈取(くまど)りが特徴的な女の子。
 「狐火(きつねび)」や高熱の炎を操る事を得意とし、駆け出しの身ながら、妖狐としての才能は高く、彼女の母親が秋羽のお付きを引退した際、自ら主である秋羽へ「ぜひ後任に」と推薦した。
 反面、おしゃまな性格で、自分の才覚を自覚しているため、何かと背伸びをしたがる事がままあり、その度に秋羽にたしなめられたりしている。
 妖力は現時点では不明。
 好物は勿論、油揚げで、とりわけ稲荷寿しには目がない。
 現在、尾の数は三本。この年齢の妖狐では、破格の数である。


(つぶら) (れん)
種族:妖怪(目目連)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 内閣府所属の特殊機関「特別住民対策室」の室長付け秘書官にして情報統括官。
 その正体は“目目連(もくもくれん)
 目だけの姿で描かれる妖怪で、荒れ果てた家などに現れ、障子などに目が生じてこちらを見詰めてくるといわれている。
 妖力は【万照冥眼(ばんしょうみょうがん)
 任意の場所に「視覚」となるポイントを設定することで、そこからの映像を自分の周囲に転写させる事が出来る。
 「視覚」は同時に百以上も設定でき、自身が有する「超映像分析力」により、複数の映像を並行作業でチェックする事も可能である。
 例えるなら「たった一人で百機以上の防犯カメラの映像を転写・分析できる」という能力で、彼女一人がいればあらゆる重要施設の監視を一手に引き受ける事が可能。
 常に制服に身を包み、肩で切り揃えられたボブカットの髪の下の目は、白い刺繍で単眼の模様が縫い込まれた紫地の布に覆われている。
 常に冷静かつ現実的な意見を述べる機械の様な女性だが、時折、秋羽からかうような言動をとったり、割とお茶目な部分も。
 反面、室長の雄賀(おが)に心酔しており、彼の指示を受けて巡の妹である美恋(みれん)を監視するなど、暗躍している。
 同僚である秋羽とは、概ね良好な関係を築いているが、圓自身の本心は不明。


■リュカオン=ガルナー(リュカ)
種族:??(犬神?)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 「特別住民対策室」とは異なる外部の特殊部隊の新米隊員。
 “犬神(いぬがみ)”の一種…と自称しているが…?
 一応説明すると“犬神”は主に西日本に最も広く分布する犬霊の()(もの)である。
 近年まで、大分県東部、島根県、四国の北東部から高知県一帯においてなお根強く見られ、その歴史も古く、平安時代にまで遡る。
 これに憑かれると、身体の不調が起こり、急に肩をゆすったり、犬のように吠えたりすると言われる。人間の耳から体内の内臓に侵入し、憑かれた者は嫉妬深い性格になるともされる。
 妖力は現時点では不明。
 但し、妃道のバイクに余裕で追い付くなど、物凄いスピードの持ち主。
 また「無流(むりゅう)」と呼ばれる謎の流派の継承者で、剣術・体術などで破格の戦闘力を有する。
 見た目は均整のとれた、長い金髪の白人女性で、着物に身を包んでいる。
 性格は陽気で賑やか、お祭り好きで日本大好き。
 武士道(ブシドー)はもっと好き。
 怪しげな日本語を使うなど、ステレオタイプの「日本を勘違いしている外国人」である。
 本気を出すと、犬の様な耳と尻尾が飛び出す。
 愛称は「リュカ」
 愛用の日本刀の銘は「狼一文字(おおかみいちもんじ)

※リュカの詳細については、拙作「Halloween Corps!-ハロウィンコープス-」をご覧ください。


■フランチェスカ(フラン)
種族:??(雷獣?)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は10代半ば)
 リュカの同僚で「特別住民対策室」とは異なる別の特殊部隊の隊員。
 “雷獣(らいじゅう)”の一種…と自称しているが…?
 一応説明すると“雷獣”は東日本を中心とする日本各地に伝説が残されており、江戸時代の随筆や近代の民俗資料にも名が多く見られる。
 落雷とともに現れるといわれており、その姿は(諸説あるが)オオカミに似た六本足の獣として記録されている。
 雷が鳴ると、火の玉と化して空に駆け上がり、雷鳴の中で猛るとされる。
 見た目は小柄な黒髪の外国人の少女で、華美な装飾を排した古風なメイド姿をしている。
 目元は前髪で隠れており、その感情が読みにくい。
 普段の表情も極めて乏しく、発する言葉も極めて事務的かつ機械的(時折、僅かだが感情を覗かせる事はある)。
 基本、リュカのツッコミ役を立ち位置としている。
 妖力は現時点では不明。
 但し、怪力を誇る篝の体当たりを真正面から受け止め、殴り合いにも応じるなど、恐ろしいまでの怪力・耐久力の持ち主。
 また、雷(電撃)を操る力があり、自らを避雷針として極大の落雷を誘発させる「天轟雷針(ハウリングボルト)」を必殺技に持つ。
 台詞や行動などからロボットじみた印象を受けるが…?
 また「虚空の心臓(ファクーム・ヘルツ)」と呼ぶ謎の機関を有する。
 愛称は「フラン」

※フランチェスカの詳細については、拙作「Halloween Corps!-ハロウィンコープス-」をご覧ください。


三ノ塚(さんのづか)  (ともえ)翔燃(ともえ)凍若衣(ともえ)
種族:怨霊(舞首)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 内閣府所属の特殊機関「特別住民対策室」の実務部隊隊員。
 しかし、裏の顔は暗殺・スパイを本業とする「闇のエージェント」
 その正体は“舞首(まいくび)
 怨霊“舞首”の伝承は、その血生臭さと深い業で知られている。
 昔「小三太(こさんた)」「又重(またしげ)」「悪五郎(あくごろう)」という三人の男がおり、ある時、(いさか)いを起こした。
 反目し合う三人の怒りは次第にエスカレートし、遂に争いは刃傷沙汰になる。
 そして、それぞれの首を刀で切り落とすという結末を迎えた。
 しかし、三人の首は死してなお争い続け、憎しみの炎を吐き散らしながら、海上を舞い飛んだという。
 妖力は【三形変生(さんぎょうへんじょう)
 一定の条件、もしくは任意でその身に宿る三つの個性(パーソナリティ)を入れ替える妖力。
 最も表面に出ている「一の首」の「巴」は、小柄で黒髪のシニヨンが特徴的な女性。
 気は優しいがいつもオドオドしている小心者。
 取り立てて何の能力もないが、何故か(ラック)の値が突出して高く、幸運判定時に有利な結果を招き寄せる事が多い(任意では不可能)。
 小心者ゆえ、些細なショックで失神する事が多く、その度に翔燃や凍若衣に身体の主導権を譲り渡している。
 「二の首」である「翔燃」は燃えるような紅い短髪とスレンダーな体型が特徴。
 性格は非常に好戦的で男勝り。
 体力や瞬発力といった身体機能が高く、体術や武器戦闘など戦闘能力に長じている(特別住民対策室に採用されたのは、彼女の身体能力の高さによるところが大きい)。
 戦闘時には特に可変式の三節混を好んで用い、口から吐く「業火の吐息(ファイアーブレス)」を必殺の武器としている。
 「三の首」の「凍若衣」は凍りついた滝の様な長い銀髪とアイスブルーの瞳が特徴的な眼鏡美人。
 理知的で冷静かつ冷酷な性格。陰陽道を修めており、呪符を用いた符術や、方位印による戦闘補助的な術に長じている。
 「CERBERUS(サーベラス)」(ギリシャ神話に登場する三つ首の魔犬『地獄の番犬(ゲルべロス)』のラテン語読み)の異名を持つ女スパイで、依頼を受け、暗殺・諜報などの裏稼業に就く時はこの姿を用いる(用心のため、普段は滅多に表に出ないことにしている)。
 「人間は誰かに憎悪され、誰かを憎悪しなければ生きる事が出来ない愚かな存在」という考えの持ち主で、巡のように無害な人間をも「偽善」とし、特に嫌悪している。
 彼女達はお互いに独立した人格を持ちながら、趣味・嗜好や行動原理は全くの別人である。
 人間でいう、いわゆる「多重人格」に近いが、彼女達には「根幹(ベース)になる人格」が全く存在せず、生まれながらにしてお互いに相反する部分を持ち、本来はお互いの存在すら知覚しない。
 即ち、深層意識レベルから完全に分立した個性(パーソナリティ)とそれぞれ異なる技能(スキル)を有している「複合同時存在」の生命体と言った方が正しい。
 なお、三人の中では凍若衣のみが「自分の内に潜む異なる個性(パーソナリティ)」を知覚するに至り、自らの術によって他の二人の思考などをを密かに統括している。
 そのため、彼女は巴と翔燃が知り得た経験や情報を共有し、任意で表に出る事が出来る。


十乃(とおの) 美恋(みれん)
種族:人間…?(時折、鬼化)
性別:女性
年齢:17歳
 降神高校に通う女子高生で、巡の実の妹。
 祖父母、父母、兄の巡と暮らしている。
 容姿端麗、文武両道の才女で「神童」「十乃家、希望の星」ともてはやされる完璧超人。
 高校では勉学・運動共に全国トップレベルの記録を打ち立てており、それなりに有名人である。
 教師・学友からの信頼も厚く、ある女生徒に陰湿な嫌がらせをしていた教師を級友と結束・告発して学校から追い出すなど、カリスマ性も高い。
 そんなスーパー高校生の彼女だが、実は重度のブラコンで、兄の巡を恋愛対象として見ており、将来は巡と結ばれる事を夢見ている。
 そのため、巡を取り巻く降神町役場の女性達については常に目を光らせており、その動向に戦々恐々とする日々を送っている。
 とは言え、ある事件を経てからは彼女達の人となりに触れ、親交を深めつつある。
 巡と血を分けた実の妹で、人間として生まれたが、巡が他の女性と接近している場面に出くわすと角が生えて「鬼化」し、信じがたい程の身体機能を発揮する。
 こうなった美恋は「狂戦士(バーサーカー)」状態になり「物理的な干渉を受けない筈の霊体を蹴り飛ばす」「巨蟲型式神を素手の一撃で殴り飛ばす」など、怪物じみた能力を発揮し、巡に近付く女性を排除しようとする。
 この「鬼化」は目下、原因不明であり、本人も気付いていない。
 神霊である乙輪姫とも仲が良く、女子トークで盛り上がるなど、人外の存在にも垣根が低く、兄に劣らない順応性を持つ。


森住(もりずみ) 力也(りきや)
種族:妖怪(山男)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は40代)
 降神町北部の山間で宿屋「深山亭(みやまてい)」を営む特別住民(ようかい)
 正体は“山男(やまおとこ)
 深山に棲む大男の妖怪で、時折、木こりや旅人の前に現れては、煙草や食べ物と交換で荷を担いだり、山仕事を手伝ったりするとされる。
 伝承通りの大男で、顔は髭を蓄えた、まさに「山男」といった風貌をしており、力も強い。
 人間とは親しい関係を築いていた伝承を持っているせいか、現代の人間や人間社会に対しても、好意的かつ柔軟な思考を持っており、降神町役場の人間社会適合セミナーでも、比較的初期に課程を修了し、卒業後、宿屋経営を始めた。
 一方で、特別住民(ようかい)の商売人としての誇りも持っており「特別住民(ようかい)だから、人間と同じことは出来ない」という偏見を嫌い、どんな相手でも公平に接客する度量も持っている。
 妻は“山女(やまおんな)”の愛梨(あいり)で、彼女が人間社会に触れようとする際、巡と共に説得に当たった。
 その時から、巡とは懇意にしており、巡の特別住民(ようかい)に対する姿勢を評価している。
 妖力は目下、不明。
 特技は山仕事と料理。
 愛梨が狩猟で仕留めた獲物や山菜と併せて調理を行い、彼が山の幸として振る舞う野趣あふれる料理の数々は絶品である。



早瀬(はやせ) 水愛(みあ)
種族:妖怪(コサメ小女郎)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は20代前半)
 降神町役場の職員で、福祉課に所属する特別住民(ようかい)
 巡やその悪友、七森(ななもり) 雄二(ゆうじ)とは同期。
 親友は人間で、同じく同期の織原(おりはら) 真琴(まこと)
 ボブカットの小柄な女性で、控えめなプロポーションをしている。
 また、耳の裏に突き出た魚類が持つえら状の器官が特徴。
 正体は“コサメ小女郎”
 紀州日高郡龍神村(現・和歌山県日高郡田辺市)に伝わる妖怪。
 「龍神村小又川の二不思議」といわれる怪異の一つで、年を経たコサメ(魚=ビワマス或いはヤマメ)の妖怪。
 龍神村にある「オエガウラ淵」に棲んでいたとされており、人間の美女に化けては人間を誘惑し、水中に誘い込んで殺して食らっていたとされる。
 恐ろしい伝承とは異なり、本人は物静かで従順、無口で気弱な性格の持ち主。
 しかし、いざとなると芯の強いところも見せる。
 巡の悪友、雄二に思いを寄せているが、告白まで出来ないでいる。
 妖力は【清流淵舞(せいりゅうえんぶ)
 身体の部位を任意に魚化し、水中活動に特化した機能を発現させる。
 その水泳能力は高く、激流の中でも自由に泳ぎまわることが可能。
 苦手なものは、カワウなどの水鳥(本人曰く「目が怖い」)。


六堂(ろくどう) 那津奈(なづな)
種族:人間(錬金術師)
性別:女性
年齢:25歳
 西洋魔術界で「天才」の名を欲しいままにする錬金術師(アルケミスト)
 また「五猟家」などが連なる退魔の名家一門「斉貴十仙(いっきとおせん)」の一派「六堂家」の現当主でもある。
 六堂家は元来、薬学に精通した薬師(くすし)の一族だったが、国内における霊草や霊石の枯渇により、その能力が減衰。
 そのため、那津奈の数代前の当主が、西洋の錬金術に目をつけ、海外に進出した。
 那津奈も現在も拠点を海外に置いているが、ごくたまに仕事などで日本へ帰郷する。
 錬金術師としての能力は後進ながら破格で、本来「神秘」とは相反する「科学」を自らの術式に取り入れ、まったく新しい錬金術(アルケミー)系統を開発し、それまでの“魔動人形(ゴーレム)”を凌駕する“高機能魔動人形(ハイゴーレム)”を生み出すに至る。
 栗色の髪に、肉付きの良いプロポーションを持ち、常時眼鏡をかけている。
 聞く者を脱力させるイントネーションで喋るため、一見、おっとりしているように見えるが、その実したたかで、抜け目がない。
 また、研究者肌で、自らが興味を持ったものに対してはとことん打ち込むタイプ。
 普段は研究資金の調達のため、裏の世界で怪異専門の傭兵として暗躍しており、その腕を見込まれて「K.a.I」の烏帽子と知り合い、以後、ビジネスパートナーとして組んでいた。
 使用術式は「錬金術」
 甘いものに目がない上、引きこもり気味の生活を送っていたので、ポッコリした体形が気になっている。


■イヴ
種族:魔動人形(高機能魔動人形)
性別:女性型
年齢:不詳(見た目は20代半ば)
 「天才錬金術師(アルケミスト)」六堂 那津奈によって鋳造された“高機能魔動人形(ハイゴーレム)
 “魔動人形(ゴーレム)”は、ヘブライ語で「胎児(たいじ)」を意味し、本来はユダヤ教の伝承に登場する自分で動く泥人形のことを指す。
 創造主である主人の命令だけを忠実に実行する召し使い、もしくはロボットのような存在で、運用上の厳格な制約が数多くあり、それを守らないと狂暴化するとされる。
 イブは、その“魔動人形(ゴーレム)”を遥かに凌駕した“高機能魔動人形(ハイゴーレム)”であり、自由意志を持ち、特殊技能「限定機能解除(オープンリミット)」により、固有機能【韋駄天足(モード・スカンダ)】を介した高速機動を可能にしている。
 背が高く、ダークスーツに身を包んだ「男装の麗人」で、褐色の肌に銀色の瞳を持つ。
 プライドが高い反面、創造主である那津奈のことを心の底から崇拝しており「我が王(マイロード)」と呼んでいる。
 「限定機能解除(オープンリミット)」を最大限に開放した【水星神話(ヘルメス・トリスメギストス)】が必殺技。
 これは、超高速で移動するイヴが三体の残像(その密度は本体と遜色ないもの)を発生させ、足部から魔力による「光の翼」を放出。
 その後、三体同時に攻撃し、対象を光の翼で薙ぎ払う大技である。
 その姿が、ギリシャ神話に語られるヘルメス(羽の生えたサンダルを持つ伝令神)に似ていることから名付けられた。
 普段は、那津奈の身の回りの世話をする執事のような役割を果たしている。


■アダム
種族:魔動人形(高機能魔動人形)
性別:男性型
年齢:不詳(見た目は巨大ロボ)
 「天才錬金術師(アルケミスト)」六堂 那津奈によって鋳造された“高機能魔動人形(ハイゴーレム)
 イブと対をなす存在として鋳造された広域殲滅型“魔動人形(ゴーレム)”で、全長200m近く、見た目は岩肌と変わらない外殻を有し、動かなければ山と見間違うほど。
 移動時は、地中を移動することが多い。
 性能もイブとは対極にあり、その能力は、攻撃力・耐久力に特化している。
 反面、動きはとても鈍重。
 「限定機能解除(オープンリミット)」は目下、不明。
 普段は那津奈の研究施設の守護(ガード)を務めている。


◼️西心(さいしん)
種族:怪異(石塔飛行)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は二十代後半)
 「夜光院(やこういん)」を守護する妖怪「四卿(しきょう)」の一人。
 その正体は“石塔飛行(せきとうひぎょう)
 妖怪というよりは、怪異とされるもので、その伝承は武蔵国(現在の東京都)多摩郡本郷村に伝わる。
 それによると、本郷村の田園地帯の東側に小高い丘があり、そこに夜な夜な火の玉が現れ、向いの山との間を飛び交っていた。
 そのため夜になると人は恐れて近寄らなかったが、村に身を置く仏道の修行者が、火の玉の話を聞き、その調伏を行うことになった。
 そしてその火の玉が出ると 修行者は大きな筍笠を持ち、火の玉を笠で叩き伏せたところ、火は消えて、大きな石塔が落ちていたという。
 錫杖を持った眉目秀麗な青年僧で、長髪と閉じられた双眸が特徴。
 生真面目かつ頑固な性格で、まんま「石頭」
 そのため、冗談などが通じない。
 また、夜光院に害をなす存在として那津奈の所在を把握すると、単身で奇襲を仕掛けるなど、意外にタカ派。
 妖力は【石塔飛行(せきとうひぎょう)
 伝承通り、飛行する石塔を自在に操る能力。
 ただ飛行させるだけでなく、多数の石塔による上空からの絨毯爆撃など、質量兵器の如く驚異的な威力を発揮できる。
 反面、多数の石塔を操るのは、本人曰く「疲れる」らしい。
 なお、本体は常時搭乗している石塔であり、人間体は消滅されても本体である石塔が無事であれば、何度でも再構成が可能。
 趣味は彫刻で、使用する石塔群は全て本人が制作したもの。


南寿(なんじゅ)
種族:妖怪(古庫裏婆)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は30代前半)
 「夜光院」を守護する妖怪「四卿」の一人。
 その正体は“古庫裏婆(こくりばばあ)
 伝承では、元々は人間で、とある寺の住職の妻だった老婆が、夫の死後、寺の庫裏(くり)(=台所)に住み着き、檀家が寺に供える食べ物や金銭を盗み取り、さらには墓地に葬られた屍を掘り起こし、皮をはいで死肉を喰らう魔媼(まおう)(「媼」は老婆の意)になったものとされる。
 容姿こそ妙齢の婦人だが、口を開くと「俺言葉」で会話する、ヤンキー尼僧(にそう)
 俊敏で腕力に優れ、格闘能力では並みの人妖では相手にならない。
 本気の戦いでは、巨大な(なた)を愛用する。
 常に喧嘩腰かつ好戦的だが、仲間に対しては女性らしい思いやりを見せる。
 妖力は【魔媼食膳(まおうしょくぜん)
 伝承通りの悪食を発揮し、鋭い歯で無機物・有機物構わず貪り食う。
 その捕食速度は凄まじく、人間の頭部程度の大きなのものなら、すれ違いざまに一瞬で食い尽くす。
 また、その伝承から「対人間」時においては、捕食速度・捕捉範囲も増加する。
 尼僧の位にはあるが、本人曰く「夜光院の台所番」
 本人はその待遇に不服を訴えているが、夜光院の妖怪達にとっては彼女の作る料理が命綱になっており、やむなく、おさんどんに従事している。
 実際、妖怪達からは好評で、和食ならばプロ級の腕前を誇る。


北杜(ほくと)
種族:妖怪(野寺坊)
性別:男性
年齢:不詳(見た目は五十代)
 「幽世(かくりょ)」に存在する異界寺院「夜光院」を守護する妖怪「四卿」の一人にして、彼らをまとめ上げる宗主。
 その正体は“野寺坊(のでらぼう)
 伝承では、荒野の廃寺に現れる妖怪で、村人の布施が無くなり、廃寺に追い込まれた住職の怨みが妖怪として化けて出て、夕暮れ時、無人の寺で寂しく寺の鐘を鳴らすとされている。
 野寺坊が鳴らす鐘の音は遠くまで響き渡り、近隣に寺などが無いにも関わらず、聞こえる場合がある。
 見た目は長い癖っ毛とボロボロの僧衣、無精髭を蓄えた冴えない感じの浮浪僧。
 性格は飄々としており、常に泰然とし、ユーモアを理解する浮世人。
 いい加減な性格にも見えるが、その実、軍略・計略に優れ、何百年も夜光院を仲間と共に守護し、押し寄せる人妖をことごとく退けた「切れ者」
 その理由は、偶然手にした幻獣“(ぬえ)”の卵を「乱れた人の世から遠ざけ“鵺”の孵化をふせぐため」
 “鵺”の誕生の原因が、人間にあるにも関わらず“鵺”の復活で世が乱れ、美しい自然や素朴な人間が傷つくことを良しとしなかったが故の行動だった。
 妖力は【武経僧都(ぶきょうそうず)
 発動すると、幻の寺院「夜光院」を形成し、物理法則すら意のままになる自己の領域(テリトリー)として展開する。
 攻撃力は一切持たないものの「夜光院」の中にいる者は、北杜の意思でその能力を増大されたり、削がれたりする。
 また「夜光院」内の構造物も北杜の意のままにすることが可能で、僧坊を迷宮に変えたり、寺の梵鐘を防犯ベルや音響武器に変えたりも出来る。
 そのため、事実上「夜光院」の中で、北杜は「無敵の宗主」と化す。
 趣味は囲碁や将棋、酒。
 弱き者が涙することを是としない武侠心を持ち、騒乱を嫌い、花鳥風月や平穏をこよなく愛する。


東水(はるな)
種族:妖怪(遣ろか水)
性別:女性
年齢:不詳(見た目は5~6歳)
 「夜光院」を守護する妖怪「四卿」の一人。
 その正体は“()ろか(みず)
 愛知県、岐阜県の木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)流域一帯、特に木曽川流域に伝わっている妖怪。
 伝承では、激しい雨が降り切る中、川が増水すると、不意にどこからか「やろうかやろうか」と声がする。
 その声に「寄越さば寄越せ」などと答えると、たちまち大洪水となり、周囲を鉄砲水で押し流してしまうとされる。
 この“遣ろか水”は、実際に木曽川周辺で出現したとされ、声に応えた結果、やはり大水が発生し、甚大な被害をもたらしたと記録にある。
 見た目は幼く可愛らしい少女で、日本人形のような髪型をしており、青い着物に身を包んでいる。
 普段は無口で、ほぼしゃべらず、普段の会話は筆談を用いている(これは後述の妖力に関わるため、意図的に言葉を発しない)。
 しかし、外見通り同世代の少女と変わらず、喜怒哀楽が豊富で、好奇心も旺盛。
 巡の印象では「少しおませさん」な女の子。
 妖力は【水嘯問答(すいしょうもんどう)
 伝承通り、東水が「あげましょうか?(やろうか)」と相手に問い掛け、相手が「寄越さば寄越せ(または、同義の回答)」をすると、一帯を押し流すほどの鉄砲水を召喚する「無差別型広域殲滅妖力」
 災害レベルのその攻撃力は「四卿最強」とされ、発動さえすれば、周囲一帯を敵味方関係なく巻き込んで一掃する(この強大過ぎる妖力を持つが故に、東水は「夜光院の最奥」といわれている)。
 ただし、発動には、

 ①付近に水があること
 ②相手が東水の問いに受け答えること

 以上2点がそろうことが条件(そのため、普段、東水はしゃべることを控えている)。
 また、鉄砲水としての特性のため、飛行可能な相手とは相性が悪い。
 本編では、初対面で優しくしてくれた巡のことを大層気に入っており、ほのかな想いを寄せつつ、積極的なアピールを見せ始める。

【以下、随時更新】
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登場人物紹介

■十乃 巡(とおの めぐる)

 種族:人間

 性別:男性

 「妖しい、僕のまち」の舞台となる「降神町(おりがみちょう)」にある降神町役場勤務。

 主人公。

 特別な能力は無く、まったくの一般人。

 お人好しで、人畜無害な性格。

 また、多数の女性(主に人外)に想いを寄せられているが、一向に気付かない朴念仁。


イラスト作成∶魔人様

■黒塚 姫野(くろづか ひめの)

 種族:妖怪(鬼女)

 性別:女性

 降神町役場勤務。

 人間社会に順応しようとする妖怪をサポートする「特別住民支援課」の主任で、巡の上司。

 その正体は“安達ヶ原の鬼婆”こと“鬼女・黒塚”。

 文武両道の才媛で、常に冷静沈着なクールビューティ。

 おまけにパリコレモデルも顔負けの、ナイスバディを誇る。

 使用する妖力は【鬼偲喪刃(きしもじん)】


イラスト作成∶魔人様

■間車 輪(まぐるま りん)

 種族:妖怪(朧車)

 性別:女性

 降神町役場勤務。

 特別住民支援課保護班に所属(送迎・運転担当)。

 その正体は“朧車(おぼろぐるま)”

 姉御肌で気風が良い性格。

 本人は否定しているが、巡にほのかな好意を寄せている模様。

 常にトレードマークのキャップを被ったボーイッシュな女性。

 使用する妖力は【千輪走破(せんりんそうは)】


イラスト作成∶魔人様

■砲見 摩矢(つつみ まや)

 種族:妖怪(野鉄砲)

 性別:女性

 降神町役場勤務。

 特別住民支援課保護班に所属(保護担当)。

 その正体は“野鉄砲(のでっぽう)”。

 黒髪を無造作に結った、小柄で無口な少女。

 狙撃の達人でもある。

 自然をこよなく愛し、人工の街が少し苦手で夜型体質。

 あまり表面には出さないが、巡に対する好意のようなものが見え隠れすることも。

 使用する妖力は【暗夜蝙声(あんやへんせい)】


イラスト作成∶魔人様

■三池 宮美(みいけ みやみ)

 種族:妖怪(猫又)

 性別:女性(メス)

 降神町に住む妖怪(=特別市民)。

 正体は“猫又(ねこまた)”

特別住民支援課の人間社会適合プログラムの受講生の一人。

 猫ゆえに好奇心は旺盛だが、サボり魔で、惚れっぽく飽きっぽい気まぐれな性格。

 使用する妖力は【燦燦七猫姿(さんさんななびょうし)】 


イラスト作成∶きゃらふとを使用

■妃道 軌(ひどう わだち)

種族:妖怪(片輪車)

性別:女性

 走り屋達が開催する私設レース“スネークバイト”における無敗の女王。

 正体は“片輪車(かたわぐるま)”

 粗暴な口調とレースの対戦相手をおちょくる態度で誤解を生み易いが、元来面倒見が良く、情が深い。

 使用する妖力は【炎情軌道(えんじょうきどう)】


※「片輪車」の呼び名は、資料に忠実な呼び名を採用しており、作者に差別的な意図はございません。


イラスト作成∶Picrewを使用

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