予言の地
文字数 849文字
カナタたち『器』は神小島の裏の洞窟にいた。入り口には見覚えがある男がいた。カナタの育ての父親ゲノだ。
「ウサギと蛇の『器』はすでに中にいます。」
再会を懐かしむ間もなく、海から続く洞窟の中に入る。
中はひんやりしていた。松明の明かりを頼りに進むとには4つの祭壇があった。
祭壇には玄武・朱雀・白虎・青龍が描かれている。玄武の祭壇の前に蛇のジャファールと穴ウサギのウトミーヤがいた。
「おれはジャファール。で、こっちがウトミーヤだ。」
ジャファールは手短に名乗った。
カナタたち『器』と案内人のゼノが船から降りて陸に上がると、タホト達は洞窟の外へ出た。
「霊獣の復活には人の知恵が必要だ。まもなく赤い月の日が訪れる。その前に復活の儀式を済ませる。麒麟は、この奥の間で儀式を行う。麒麟が復活した後にそれぞれの霊獣を復活させる。」
ゼノの言葉に用心深いウシクワールは疑問を感じていた。カナタが通訳する。
「なぜ復活させる。」
ゼノは近くの岩に腰掛けると
「まもなく人間たちの間で争いが起こる。『器』を守ってきた人族が滅んだ今、他のものたちもいつ滅ぼされるか疑心暗鬼になっておる。そこに戦の準備を始める国が現れれば、必ずや戦争になるだろう。戦禍は人だけに留まらず、多くの動植物が巻き込まれることになる。大地の意志が出した結論が霊獣の力で止めるということだ。大地の意志はこの大地の上に生きるものにとっては絶対だ。」
「なら、人間だけを滅ぼせばいい。」
ジャファールが水の中からその鋭い歯をちらつかせながら口を挟む。
「わしにはわからん。大地の意志が人間は必要な存在としているのだろう。これ以上は復活した麒麟に聞くがいい。」
ゼノは立ち上がると、カナタとテヘロを連れて洞窟の奥へと進んだ。
麒麟は用意周到だった。復活した霊獣が再び暴走することのないように名前という鎖でつなぐことにした。そして麒麟の知恵を持つ『器』だけが鎖を操れるようにと、復活には人がつける名前を必要としたのだ。
「ウサギと蛇の『器』はすでに中にいます。」
再会を懐かしむ間もなく、海から続く洞窟の中に入る。
中はひんやりしていた。松明の明かりを頼りに進むとには4つの祭壇があった。
祭壇には玄武・朱雀・白虎・青龍が描かれている。玄武の祭壇の前に蛇のジャファールと穴ウサギのウトミーヤがいた。
「おれはジャファール。で、こっちがウトミーヤだ。」
ジャファールは手短に名乗った。
カナタたち『器』と案内人のゼノが船から降りて陸に上がると、タホト達は洞窟の外へ出た。
「霊獣の復活には人の知恵が必要だ。まもなく赤い月の日が訪れる。その前に復活の儀式を済ませる。麒麟は、この奥の間で儀式を行う。麒麟が復活した後にそれぞれの霊獣を復活させる。」
ゼノの言葉に用心深いウシクワールは疑問を感じていた。カナタが通訳する。
「なぜ復活させる。」
ゼノは近くの岩に腰掛けると
「まもなく人間たちの間で争いが起こる。『器』を守ってきた人族が滅んだ今、他のものたちもいつ滅ぼされるか疑心暗鬼になっておる。そこに戦の準備を始める国が現れれば、必ずや戦争になるだろう。戦禍は人だけに留まらず、多くの動植物が巻き込まれることになる。大地の意志が出した結論が霊獣の力で止めるということだ。大地の意志はこの大地の上に生きるものにとっては絶対だ。」
「なら、人間だけを滅ぼせばいい。」
ジャファールが水の中からその鋭い歯をちらつかせながら口を挟む。
「わしにはわからん。大地の意志が人間は必要な存在としているのだろう。これ以上は復活した麒麟に聞くがいい。」
ゼノは立ち上がると、カナタとテヘロを連れて洞窟の奥へと進んだ。
麒麟は用意周到だった。復活した霊獣が再び暴走することのないように名前という鎖でつなぐことにした。そして麒麟の知恵を持つ『器』だけが鎖を操れるようにと、復活には人がつける名前を必要としたのだ。