第一話「はじめてのおつかい……もとい、初任務」
文字数 1,427文字
氷室護は大学生であり、カミガカリである。
カミガカリとして実戦経験はなく、専ら睦月達雄の”訓練”を受ける日々であった。
この日、護は達雄に呼び出され、
達雄の家——バイクショップ「ムツキ」へと向う。
いつもの“訓練”は週末であり、達雄の「話」とはなんだろうかと思案しながら。
そう言ってセーラー服を着た中学生くらいの女の子は走り去っていった。
不思議に思いながらバイクショップ”ムツキ”に到着する護。
出迎えたのは護の師匠である睦月達雄であった。
先に隣の喫茶店へ行くよう指示される護。
喫茶 ムツキの中に入ると店番としてサツキが食器を洗っているところだった。
店内はがらんとしていて今はサツキだけのようだ。
クソガキだと思ってたが、いつの間にかお前ももう20だ。
クソガキにかわりはねえが、仕事はもう一人前にできるはずだ。
どんな能力のカミガカリを派遣しろって指示も、特対からは聞いてない。俺はお前を推薦する。やるか、護。
こっから先、俺の補助輪はもうねえぞ
ニヤリと笑った達雄は喫茶店を出て、バイクショップに戻っていく。
残ったアイスコーヒーを飲み干した護は初めての任務に心を躍らせていた。
嬉しそうに店を出ていく護をサツキは微笑ましく見送るのであった。