5 サピエンス全史?

文字数 1,562文字

こんにちわ~。

デンケン先生、昨日のつづき~

うん、わかったよ。

それじゃ早速、『サピエンス全史』ではないが、人類史の旅にでるとするか

まず、最初の霊長類だが、約6000万年前に現れた。

3000万年前になると新世界ザルと呼ばれるグループが進化で独自の道を歩みはじめ、2500万年前には旧世界ザルも別の道をたどりはじめた。

ヒトに近い大型類人猿は1800万年前にではじめ、まずオラウータンが、続いてゴリラが枝分かれしていく。

600万年前になると、ホミニン(ヒト族)とチンパンジーが、今のわたしたちに最も近いホミニド(ヒト科)の祖先から分かれていった

余談だが、ヒトがチンパンジーから進化した、と誤解している人がときどきいる。そうではなく、ホミニン(ヒト族)もチンパンジーも、600万年前に生きていた共通の祖先から分化していった

200万年前に、ホモ・ハビリスが登場する。脳容量が平均で630cc(それまでの1.5倍)と、急激に大きくなってくる。とりわけ、前頭葉と頭頂葉が拡大したとされる。この部位は意識や心について考えるとき、最重要となる領域だが、それは後でふれたい。

ちなみに、簡単な打製石器も使われるようになった。

ホモ・ハビリスは、石片を使って枝を尖らせたりするなど、道具で道具をつくる行動を示しており、わたしたちに御馴染みチンパンジーの知能を抜いていたと推定されている

180万年前になると、ホモ・エレクトスが現れる。

ホモ・エレクトスはもっぱら地上で暮らしていたとされ、170万年前から70万年前にかけて、アフリカ大陸を離れて、スペインやフランス、ドイツ、イタリア、イギリス、イスラエル、ベトナムや中国、インドネシアなど、地球の半周先にまで移動していった、とされる。

また、遅くとも40万年前には火の使用も広まっていた。槍など、武器の使用も見られ、集団生活していた痕跡もある。

脳の容量は、平均1000㏄で、現代人の平均1350ccにだいぶ近づいている

『神は、脳がつくった』(ダイヤモンド社、2018)の著者であるE.フラー・トリーは、このホモ・エレクトスの段階で、自己認識能力を得たのではないか、と推測している。

自己認識というのは、たとえば、水面や鏡に映った自分を、まさに自分だと認識できる能力のことだ。

自己認識能力のない動物は、鏡に映った自分を敵と思ったり仲間だと思ったりしてしまう

え、なんで「ホモ・エレクトスは自己認識できた」って分かるわけ?


まぁ確かに、あくまで推測の域をでないだろうけどね。

具体的には、まずは脳が大きくなったこと。

というのも、この鏡像を自分だと認識できる能力は、べつに人間の専売特許ではなく、チンパンジーやボノボ、オラウータンでも見られるという。

また、ゾウやイルカ、一部のクジラにもできるらしい

自己認識は人間の専売特許ではなく、脳の割合が身体に比して大きな動物に認められる、一般的な能力なんじゃないかと考えられるわけだ
だから脳が大型化したホモ・エレクトスには、その能力が備わっていた、と?

一つには、そう。

もう一つは、ホモ・エレクトスの頭蓋骨を調べた結果による。

簡単に言うと、現代の脳科学では、自己認識に関与しているであろうとされる脳の領域が確定されているが、その領域(前帯状皮質+島+下頭頂小葉)がホモ・エレクトスにおいては発達していた、とされる。

ちなみに、認知症だと、そこにダメージを受けているケースがある

ところで、自己認識に関与しているとされる神経細胞が見つかっている。

フォン・エコノモ神経細胞(VEN)

鏡像認知能力をもつチンパンジー、ボノボ、オラウータン、ゴリラの脳に、VENの存在が確認されている。

また、ゾウやイルカの脳にもVENが見つかっている。

ちなみに、一部の認知症では、VENが著しく減少しているという

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登場人物紹介

デンケン先生(49)・・・・・・仙人のごとく在野に生きる(自称)哲学者。かつては大学院にいたり教壇に立ったりしていたが、先輩方から「きみが考えてるテーマ(<私>とは何か?とか)じゃ論文書けないでしょ=研究者にはなれないよ」と諭された結果、むしろアカデミズムを捨てて在野に生きることを決断。これには『老子』の(悪)影響もある。べつに大学教授になりたいとは思わない。有名になりたいとも思わない。ただ、考えたいと思うことを考えていたいだけ、の男。ゆえに本業(生活手段)はサラリーマンである(薄給のため未だ独身、おそらく生涯未婚)。

哲学ガール(18)・・・・・・槙野マキ。哲学すること大好きっコ。デンケン先生が大学院で学んでいた頃の友人の一人娘である。哲学好きには親の影響があるだろう。近所に引っ越して来たため、ときどき遊びに来る。独身のオッサンと美少女という組み合わせだが、恋愛関係に発展してしまうのかどうかは、今後のお楽しみである(たぶんならない)。

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