5 サピエンス全史?
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まず、最初の霊長類だが、約6000万年前に現れた。
3000万年前になると新世界ザルと呼ばれるグループが進化で独自の道を歩みはじめ、2500万年前には旧世界ザルも別の道をたどりはじめた。
ヒトに近い大型類人猿は1800万年前にではじめ、まずオラウータンが、続いてゴリラが枝分かれしていく。
600万年前になると、ホミニン(ヒト族)とチンパンジーが、今のわたしたちに最も近いホミニド(ヒト科)の祖先から分かれていった
200万年前に、ホモ・ハビリスが登場する。脳容量が平均で630cc(それまでの1.5倍)と、急激に大きくなってくる。とりわけ、前頭葉と頭頂葉が拡大したとされる。この部位は意識や心について考えるとき、最重要となる領域だが、それは後でふれたい。
ちなみに、簡単な打製石器も使われるようになった。
ホモ・ハビリスは、石片を使って枝を尖らせたりするなど、道具で道具をつくる行動を示しており、わたしたちに御馴染みチンパンジーの知能を抜いていたと推定されている
180万年前になると、ホモ・エレクトスが現れる。
ホモ・エレクトスはもっぱら地上で暮らしていたとされ、170万年前から70万年前にかけて、アフリカ大陸を離れて、スペインやフランス、ドイツ、イタリア、イギリス、イスラエル、ベトナムや中国、インドネシアなど、地球の半周先にまで移動していった、とされる。
また、遅くとも40万年前には火の使用も広まっていた。槍など、武器の使用も見られ、集団生活していた痕跡もある。
脳の容量は、平均1000㏄で、現代人の平均1350ccにだいぶ近づいている
『神は、脳がつくった』(ダイヤモンド社、2018)の著者であるE.フラー・トリーは、このホモ・エレクトスの段階で、自己認識能力を得たのではないか、と推測している。
自己認識というのは、たとえば、水面や鏡に映った自分を、まさに自分だと認識できる能力のことだ。
自己認識能力のない動物は、鏡に映った自分を敵と思ったり仲間だと思ったりしてしまう
まぁ確かに、あくまで推測の域をでないだろうけどね。
具体的には、まずは脳が大きくなったこと。
というのも、この鏡像を自分だと認識できる能力は、べつに人間の専売特許ではなく、チンパンジーやボノボ、オラウータンでも見られるという。
また、ゾウやイルカ、一部のクジラにもできるらしい
一つには、そう。
もう一つは、ホモ・エレクトスの頭蓋骨を調べた結果による。
簡単に言うと、現代の脳科学では、自己認識に関与しているであろうとされる脳の領域が確定されているが、その領域(前帯状皮質+島+下頭頂小葉)がホモ・エレクトスにおいては発達していた、とされる。
ちなみに、認知症だと、そこにダメージを受けているケースがある