人喰い熊 7

文字数 542文字

「都市ぐるみで熊を捕まえては虐待に調教、猛烈な恐怖を与えて、人を襲わせて賭けていた。悲し過ぎます」

マルは視線を尖らせる。

「次の熊さん、どうぞー」

レアが懸命に治療に専念している。

「マル、レアを手伝ってくれるか?」

「はい」

「頼んだよ」

「行くんでしょ?」

「ああ、まだ、この問題は解決していない。主宰者が居る限り、この人の過ちは続く」

「絶対に危なくなったら逃げてくださいね。助けに行きますから」

「ありがとう、マル」

マルはレアへ駆け寄った。

ジュは仲睦まじい二人を見て、ほっと頬が緩む。

「ジュの胸の中に入ってね、心音を聞きながら寝てたんだよ」

マルはレアを茶化している。

レアは訝しそうに目を細めて、ジュの顔をじーっと見る。

ジュを見つめて逸らさない。

「おいおい、誤解を招くような事を言うな」

「寝た?」

「違うよっ」

ジュは困惑しながらジェスチャーも入れて、レアをなだめようとする。

「寝たんだ」

「マル、何とか言ってくれよ」

「確かにジュの心音を子守唄にして寝てました! 無かった事にするんですか? 酷いです!」

マルはそう言って、大袈裟に泣き真似をする。

「ふんっ」

レアはぷいっとそっぽを向いた。

「困ったな」

ジュは頭を掻く。

レアは治療を再開する。

「大きなお仕事。行かないの?」

レアは冷ややかな口調でぼそっと言う。
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