第2話 「告白」

文字数 1,111文字

── 12:30 教室 ──

よっちとタイチは自分の席に座ったまま、ぐっぴんと野球ボールでキャッチボールをしている。

タイチはさ、いつからなるの事を好きになったの?

去年の夏かな…

一緒に放送委員やっててそれで好きになった…
やっぱ、その様だとよっちもなるっちのこと好きみたいだな!

はぁ?

別に…俺は…

素直になれって!

せやで、口に出せば叶うこともあるんや!

よっちはぐっぴんからボールを受け取り下を向いてボールを見つめる。

ちょっとだけ好き…

んじゃあ勝負だな!

よっちはタイチにボールをパスする。

勝負?

あぁ!

先に告白して付き合えた方が勝ちだ!いいな?

おう!

よーし、そうなったらまずは腹ごしらえだ!

焼きそばパン食って頑張るぞー

タイチは、勢いよく走って教室を出る。


キャッチボールが終わり、ぐっぴんはタイチの席に座りよっちと話す。

よっち!

お前は今日、放課後に告白しな!

きょっ…今日?

あぁ、大丈夫やて!

幼馴染なんだし仲良くやってるんやからいけるて!

遠くで冷たそうな目で見ているいっちーとりっちゃんはたまごサンドと焼きそばパンを食べながら話している。

よっちとぐっぴんは一定の距離に離れキャッチボールを再開する。

男子って本当にバカね、張り切っちゃって…

ほんと…

あんな奴らに告白されても嬉しくないわ!

── 教室近くの廊下 ──

タイチは階段を上っている。

焼きそばパン…

売り切れだった…はぁ…

なるは廊下にある水飲み場で水を飲んでいる。


タイチはなるの方を立ち止まった状態で見ている。


微笑みながら歩き出す──。

なるっちだ…

なるはハンカチを取り出し、手を拭きながら廊下を歩いている。


タイチはなるを後ろから抱き耳元でそっと話す──。

だ~れだっ?

なるは目を泳がせながら話す。

んも〜

タイチくん?

タイチはなるの肩に触れ、なるを振り向かせた。

正解!……。

なるっち…俺…

いっちーとりっちゃんが話しながら教室から出てきた。


タイチはいっちーとりっちゃんの会話に気が付き、慌ててなるの腕を掴み音楽室へと入る──。

んもーマジ、最悪…

いっちー大丈夫?

ほんと、あいつら許さない!

そもそも教室でキャッチボールなんかする?外でやれっつーの!

よっちには私から注意しとくね!

── 音楽室 ──

タイチはよつんばい状態でなるを見つめる。


なるは両手を後ろに付き座った状態でタイチを見つめる。

ゴメン…勢いよく引っ張っちゃって…

うんうん…

それよりどうしたの?

好きだよ!

えっ…

またじょうだっ…

タイチは勢いよくなるの右の手の甲にキスをする──。

本気だから…

これが俺の気持ち…

タイチくん…

いつも、冗談で言ってないから…

なるは下を向き浮かない表情をしている。

タイチは恥ずかしそうに目を逸らす──。



つづく

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