如月真琴

文字数 2,140文字

ここは如月真琴の華麗なる犯行現場!

共犯者になりたくなければ立ち去り給え!

心菜はん、ちょっと質問や。

探偵活動に一番必要なのって……何やと思う?

うーんと……犯人を指差す度胸ですか?
人を指差すんじゃありません!


……いや、漫画の探偵とかはよくやってるけどな。

さて、ウチがひょんなことから小さな探偵と暮らすことになってから、

早いもので3日が経過していた。

フィクションでも滅多にお目にかかれない探偵同士の同居生活。

まさに事実は小説より奇妙なり、を地で行ってるのがウチらしい。

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小椿お姉ちゃん、これから探偵アニメやるんですけど、

テレビ付けていいですか?

おう、かまへんかまへん。

『名探偵ソンナン』やろ。


あれ、子供向けとは思えへんぐらい推理のレベル高くてウチも好きなんやわー。

一緒に見よう、な?

いえ、『銀天街飛鳥の事件簿』ですけど。
なんで同じ時間帯に2つもミステリーアニメやってんねん。
えー、私、あっちのほうが好きなんですよー。

名探偵ソンナンはキャラクターが好みじゃないっていうかー。

お前さんに言われとうないわ!

……ったく、かわいげない。

――と、こんな感じで対立することも多いわけだが。


ウチらが共同生活を始めることになったのは、ある事件がきっかけだった……。

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◇ ◇ ◇

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――それで、容疑者は全く見当が付いてないっちゅーわけやな?
あぁ、そうなんだ。

仏様はまるで呪いにでもかけられたように心臓発作を起こして死亡。

――いつもこんな事件に付き合わせてしまって悪いね、名庭さん。

全然かまへんよ。

まぁ、普通に考えて他殺とは思えない事件を

『念のため』調査するのがウチの使命みたいなところあるからな。

死体は確かに、流血一つ起こさずに絶命したようだ。

見たところ誰かに乱暴されたわけでもなく、なるほど、呪いにかけられた……という表現が適切か。とても苦しそうな表情をしていた。

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今日はこの館ですき焼きぱーてーをしていたんやな。

この場に呼ばれたのはキミら、青髪刑事を含めて4人。

……ていうか、あんたも容疑者の一人やな。

そ、それはそうなんだが……。

まぁ公平な推理をお願いするよ。

楽しい食事会の最中、この館のオーナーが泡を吹いて倒れた。

毒を盛られたとか……その線で推理するのが一般的やな。

で、食事会のメンバーだが――。
なんかイカ焼きみたいなものを持ってる少女→
如何にも怪しそうというか背景が黒いおっさん→
住所不定らしい男性。何で呼ばれたんだこの人→
このオーナーの人選が一番の謎やっちゅーねん!
あ、あの……これって、殺人事件なんでしょうか?
おう、まだそうと決まったわけじゃないで。

ウチは『念のため』疑ってるだけや。

じゃ、じゃあ、一つ心当たりがあります!

私見てたんです! あの悪魔みたいなおじさんがオーナーを鬼のような形相で睨みつけてたところ! 絶対怪しいですって!



犯人はあなたです!

え、ぼ、ボクぅ……?
こえちっさ! 見た目に反してすごく気弱そう!
え、ち、ちがいましたか……?
いや、ぼくは彼の幼馴染でね。昔からの借りがあるし、殺したい動機は全くないと断言するよ。
よく聞き取れないけど違うみたいやで!
す、すみません!

――もしかして、お姉さんが犯人ですか?

…………一応、理由だけ聞いておこうかぁ?
だ、だってお姉さん、すごく怖そうで……。
あのなぁ、お嬢ちゃん。世の中怖い人が犯人とは限らんやで。

確かに漫画みたいに『一見善人に見える人が犯人』という先入観も違っとるわけだが、普段はおとなしそうな人が間違うこともある。重要なのは動機や。

ど、動悸……?


あ、分かりました! オーナーさんは不整脈で死亡したんです!

……その線、お前はどう思う? 青髪刑事。
それは何とも言えませんが、倒れるときに声ひとつ上げてませんでしたね。

まるで天寿を真っ当したように安らかな眠りだったというか……。

うーむ……おかしいな。

安らかな眠りと表現するには、オーナーの苦しそうな顔が似合わない。

そ、それもそうですね……。

でも本当に声ひとつ上げてなかったんですよ。

僕らもオーナーが眠りに就いたとしか思ってなかったんです。

それで脈を確認してみたらすでに手遅れだった……と。

そりゃあ驚くわなぁ。

すぐに救急車を呼べば一命を取り留めたかもしれんのになぁ。
いえ、彼はすでに……『死んでいた』のです。

僕はそれを確認する能力がありますから、分かりますよ。

お前、刑事より医者が向いてるっていつも言われるもんな。
つまり……大事なのは『死んでいる』ことより、

『誰が殺したか』ってところなんですね?

まぁ、持病で絶命っていう線が今のところ濃厚やね。

不整脈じゃなくても脳梗塞の可能性もある。ウチらは医者じゃないから、もっと詳しい人に頼めば死亡原因を探ってくれるかもな。

あのぅ……そろそろ家に帰ってもいいですか?
いや――まだ迷宮入りさせるには早いな。

ウチにはとっておきの能力がある。


キミら、ちょっと血を分けてくれへん?

きゅ、吸血鬼ですか……!?
まぁ、そんなところや。
ウチは血を舐めるだけで誰が殺したか、判別できる。
くそっ、こんな屋敷にいられるか! 俺は逃げるぞ!
あ、よく分からないけど容疑者が逃げた! 追えー!
◇ ◇ ◇

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――で、お前はあのオーナーの隠し子だったと。
えぇ。……酷い父親でしたけどね。
そこまでだ!

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登場人物紹介

「ウチが紅《くれない》の魔術師こと名庭ちゃんや。未解決事件は任してぇな。

 ただし――キミらの血液、ちょっといただくで」




吸血探偵

○名庭 小椿(なにわ こはる)

性別:女


西のほうで知らない者は居ない魔人探偵。

包帯の右目は怪物と契約したときの後遺症である。

血を舐めることで持ち主の情報をインプットできる。

行動力と洞察力を兼ね揃えた優秀な逸材。

弱点は、生まれながらの関西弁がガラパゴス化して地元の人からヒンシュクを買っていることぐらいだろうか。あと見た目が幼くて人から信用されづらい。


自身に芽生えた魔人能力は吸血鬼そのもので、定期的に自分以外の血を摂らないとフラストレーションが溜まった状態になり、暴力性が増していく。

勘違いされやすいがウチは中二病とかじゃないんやで。




能力名:真っ赤な真実

血を舐めることで保有者の過去を知ることができる能力。

容疑者の嘘を暴くことはもちろん、被害者の血を舐めれば死亡直前に何があったかを知ることも出来るという、探偵としてはかなり便利《チート》な能力。

ただし知ることが出来る過去は最長で100日まで。あまり全てを知りすぎると頭がパンクしてまうんや。時効になる前に解決したいわな。

探偵活動という建前で血液も摂取できて一石二鳥。




戦う動機:誰かの役に立ちたいから。




イラスト:ゆうひな

作者:如月真琴

「犯人はあなたで……えっ、違うの? ごめんなさ~いっ!?」


名前:心菜(しんな)


性別:女(7才)


特殊能力:三度目の正直

 三回目に指摘した人は必ず真犯人という能力。


 彼女の推理は基本めちゃくちゃ(本人としては大真面目)だが、三回目に指摘する犯人だけは絶対に正解している。

 ただし、動機や証拠は相変わらずめちゃくちゃ。

 この能力に気付いている人はほとんどいない(本人も気づいていない)



設定:

 アニメを見てて探偵に憧れた女の子。

 メチャクチャな推理をしては、そのたびに怒られる。

 能力と偶然によって奇跡的に正しい推理をしたとしても、信じてもらえることは少ない。

 周りの評価は「探偵としてはダメダメだが、根は素直でいい子」

 ちなみに、彼女が本格的な事件に関わったことは一度もない。



動機:なんか、まきこまれた

作者:しゃりおっと

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