幕間霞む

文字数 365文字

 朝はぽつぽつと降っていた雨だったが、昼までには大きな雨雲を呼んでどしゃぶりになっていた。好物のハンバーグを食べる僕の手が進まない。
「明日晴れるかな。」
「そうねぇ。明日も雨だと灯篭流しできないし。」
窓の外を見るおばあちゃんが、頬杖をつきながら心配そうにつぶやく。天気予報では、明日の天気は曇りのち晴れだそうだが、今日の天気を外した辺り信用できない。この天気では今日も山に行くことは叶わないだろう。僕は、雨の中神社の縁側で屋根から滴り落ちる雨粒を眺めながら、僕を待つ彼女を想像して、胸が締め付けられた。ハンバーグを食べ終わると、僕は母屋を出て離れにむかった。山の方に目を向けると、いつもはクッキリ見える稜線が雨でぼんやりと霞んでいた。雨でびしょぬれになった身体は、僕の心を支配する嫌な胸騒ぎが安易に像を結び、客体化されるのを拒んだ。
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