絶体絶命! 囚われた変身ヒロイン!

文字数 988文字

……。
人ひとりがやっと収まる程度の大きさの直立カプセル。その中にハルカは閉じ込められていた。

全裸であるのは眠らされているせいだ。

彼女のパワーの源であるJPLブーストは、正義と情熱、そして愛という精神のエネルギーによって発動する。

すなわち、意識を失っていてはその身を守る《スピリチュアル・レオタード》もまた発現しないのだ。
戦いとなれば猛々しいこやつも……こうしてしまえば小娘と変わらぬな。
閉じ込められている容器を満たす不気味な蛍光色の溶液に、水中花のように咲き乱れる少女の長い髪。

向かい合い、ハルカの裸身を鑑賞していたゾギーマが感慨深げに呟く。

負の精神によって形成される生命体(ネガティブ・スピリッツ)たちの巣くう負の次元界。ここは、その王たる彼の居城の中心部である。
人間界への侵略……それが幾度、この女──ジャスティス・パッション・ハルカによって邪魔されてきたことか……。
だが、それもこれで終わる。

最終決戦を挑みに乗り込んで来た彼女を罠にかけ、虜囚とするのに成功したのだから。
……。
ハルカの整った顔立ちは、儚さ、あどけなさを残しつつ、どこか自立した大人の女も感じさせる。

それは、女子高生ながらも孤児院でボランティアをしているせいか、あるいは、JPLブーストを託されて以来、たった一人の戦士としてゾギーマら《ネガティブ・スピリッツ》の魔手から人々を守り続けた闘いの日々がそうさせたのか。

身体つきの方も、同じ年頃のハイティーンと比べて発育が良い。

背丈こそ標準的であったが、カプセル内に漂うしなやかな白い肢体は、男なら誰もが見惚れてしまうほど見事なものだった。
さて…楽しませてもらうぞ、ハルカ。
ゾギーマが含み笑いを漏らす。

憎悪、卑怯、傲慢、嫉妬……負の精神が正なる精神に敵うことはない。捕らえることはできても、ハルカを殺すことや消滅させることは不可能だ。

かといって、憎き敵をそのままにしておくつもりはなかった。

なんといっても彼はあらゆる邪(よこしま)な想念の王なのだ。
(嬲りつくしてくれる……)
ゾギーマの身体から何本もの触腕が出現した。

男性器の形状をしたおぞましいその先端が、なんの抵抗も受けずにカプセルの表面を通過していく。

《スピリチュアル・ペニス》。
彼ら負の精神生命体に備わる器官は思念で形成され一切の物理制約を受けない。

それが、少女の頭部へ次々に潜り込む。
うっ……ん、んんっ!
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登場人物紹介

ハルカ
孤児院「ジャスティスホーム」でボランティアをしている心優しい女子高生。
ジャスティスパッション ハルカに変身して人類の為に戦う。その力の源は「正義」「情熱」「愛」という正の精神エネルギー。

ゾギーマ
人類を侵略する「ネガティブ・スピリッツ」の王。
「妬み」「憎しみ」「傲慢」などの負の精神による生命体。

ナオト
ハルカの恋人。「ジャスティスホーム」の留守を預かる。

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