41.  1st  Enoch より 一部翻訳

文字数 2,124文字

エノク(365歳)は、見た夢について息子のメトセラ(Methuselah)にその内容を語る。

Chapter 84


♂牛が地に現れた。これは白い牛だった。
そのあとに、まだ子を産んだことのない若い♀牛だ。

そして別に若い♂牛が二頭現れた。一匹は黒く、もう一匹は赤い。
その黒が赤を襲った。赤は地に倒れ伏した。その後、赤の♂牛は見なくなる。

しかして、黒の♂牛は群れにおいて幅をきかすようになった。

若い一匹の♀牛が彼と一緒にいる。
多くの牛達が産まれ、この黒♂牛に似たようになり、彼の後に従っていった。

最初の若い♀牛と最初の♂牛が、一緒に赤い♂牛を探している。
でも、見つからない。彼を探している最中、女はとても嘆いていた。
最初の♂牛が彼女に寄り添う。すると彼女は嘆くことをやがて止めた。

その後、彼女は新たに別の白い牛を産んだ。

また多くの牛たちを、そして黒い♀牛たちを産んだ。
この白い♂牛は健やかに成長し、やがて大きな白い♂牛へと育った。
彼に続き、白い牛たちが多く現れた。これらもまた彼に似たものとなっていった。
彼らは、新たな白牛を沢山産み始めた。これらは皆似ており、お互いに助け合っていた。

*白い雄牛(アダム)牝牛(エバ)黒い雄牛(カイン)赤い雄牛(アベル)新たなる白い雄牛(セツ)

Chapter 85

眠りの間、再び注意深く私は見た。そして天空の動静を調べた。

すると、天から星が一つ落ちてきた。
それは牛たちに紛れ、一緒に育てられ、食べ、養われた。
その後、これまでに見なかった黒くて大きい牛たちが群にいるのを見る。
やがて、これらの黒い牛達は、他の若い牛達が互いに嘆き悲しむ中、宿泊地と牧草地を他へと移してしまう。

再び私はお告げたる幻を見つめた。上なる天において顕される徴を事細かに調べた。
今度は、沢山の星々が天から落ちるのを見た。まるで、最初に落ちた星が在るところへと自身らを天から投げ入れるかの様だった。あれらの若きもの達の只中へと。
あの黒牛が皆と一緒に過ごしている間だ。一緒に養われている期間のことだ。

私は目を見開いて、彼らを観察していた。
”見よ!”、彼らは全員、馬のような振る舞いを始めたではないか!。
若い♀牛達に近接し交尾を行った。
(彼らの全員が馬の如き性器を取りだし、♀牛達を抑え込みはじめた)。
全てが妊娠し、その体より”象”や”駱駝”や”驢馬”を産みだした。

これらは互いに、歯で噛みつき合い、飲み込み合い、そして角で攻撃しあっている。
全ての牛達は、これを見て警戒し、恐れ慄いていた。
やがて、彼らは、周りの牛たちをも貪り喰い始めた。
大地にある子達のすべてが、この有様に震え上がる。

彼らの恐ろしさによって、身を震わせながら突然、バラバラに逃げ散ってしまった。

*天から落ちた星(堕天使)象や駱駝や驢馬(後に巨人と呼ばれるネフィリムたち)

Chapter 86

再び私は彼らを見つめる。

彼らが攻撃し合い、そしてお互いを飲み込むことを始めたその時、
大地が叫び声をあげるのを聞いた。

そして私は天を再び仰いで見上げた。

そして幻のうちに、天より白い人の如き方が降りてこられるのを見た。

天から一人が現れて、そして更に三人が彼と共にいた。

その三人は最後に現れて、私の腕を掴んで引き揚げる。

地にて歴られる数々の時代から、私を高みへと持ち上げたのだ。

そして、私は大地にそびえ立つ塔(バベルの塔?)を見た。

全ての丘々が低きものへと変わり果てていた。


そして彼らは私に言った。


『そのまま、これから起こる出来事を貴方が知るまでそこに居なさい。


何が、あれら象や駱駝や驢馬に、あれらの星々にもたらされるか、


そして全ての牛たちの身に何が起こるかを』。



Chapter 87

そして、私は四人の白き人たちの内の、最初に現れた方を見ていた。
彼は、天より落ちてきた最初の星を押さえつけた。
そして腕と足を縛ってしまって、谷へと投げ入れた。

その谷は、狭いが、深く、途轍もなく巨大だ、そして陰気な場所だった。


そして、彼らの一人が彼の剣を引き抜き、それで象や駱駝や驢馬を刺した。
そして幻に、四人の天使のうちの一人が天よりみんなまとめて投げ入れるのを見た。
偉大なる星々、部分的(性器?)に馬達に似ている、を全て取り、
みんな手も足も縛り上げて、大地の洞(うろ)へと投げ入れた。


追記:

ノアの時代の大洪水は、一切を無に戻す、リセットする為のもの。

主は何らかの手を打ったのだろう。

以降、このようなことは二度と行わないと語られている...。

わたしはもはや二度と人のゆえに地を呪わない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、この度したように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない。

( Genesis, Chap.8, 21)

わたしはこれよりのちは、地上に住む者たちにこのようなことはしない。天に印を置く。そしてこれは、わたしと彼らの間の誠実に果たされる永遠の誓いである。天が地の上にある限りに置いて。これはわたしの命令による。

(1Enoch Chap.55)


*変なところが痛く印象に残った。

『人間は墨と筆で信仰を全うするように生まれたのではない』。

これ。

書くことに、言論には、本質的な意味はないと…。



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