遺体

文字数 623文字

 人を殺して、マンションの浴室で遺体の処理をしている。
 どういう理由で、殺人を犯したのかは定かでない。
 
 ノコギリで、遺体を細かく切っている。
 遺体は若い女だ。
 
 腕、足、首と、次々と切っている。
 死後数日経っているのか、遺体が固くなっている。
 ノコギリで切るのに丁度良い。
 
 細かく切った遺体を大型のキャリーバッグに入れて、夜中にマンションから運び出した。
 ワゴン車に乗せていると、寄って来た野良犬が吠えだしたので、誰かに気付かれそうで冷や冷やした。
 
 遺体を郊外の山中に埋めた。
 その後、女の事を何度も何度も繰り返し夢に見た。
 何度見ても生きた心地がしない。
 
 数年後に、女の遺体のことが気になり始めた。
 遺体を埋めた場所が山の裾野だったから、掘り起こして樹海に捨てようと思った。
 樹海に捨てれば、発見されることはないだろうと思ったのだ。

 埋めた場所の土を掘り起こすと、女の遺体が出てきた。
 驚くことに、女の遺体が元のように繫がっている。
 遺体は白骨化しておらず、腐敗もしていない。
 
 運ぼうとして持ち上げるも、石のように重たくびくともしない。
 仕方なく、遺体を又ノコギリで切断しようとするも、硬くて切ることが出来ない。
 ハンマーで遺体を粉砕しようとするも、砕くことも出来ない。
 
 諦めて遺体を元のように埋めようとすると、女が立ち上がり抱き付いてきた。
 女に抱き付かれたまま倒れた。
 上になった女の重みで、ビクとも動くことが出来なくなった。
 
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