第48話 ハッキングを外注
文字数 752文字
黒木さんって、成り行き上、仕方なく「シェルター」に引き取っていただいたんすよね～。
監視に手間がかかるから、「京橋テクノサービス」から年間お預け料を払ってます。
コー君、また口が軽い。
あっ、すんません。「シェルター」の用心棒してる慧子さんとアオイさんの前で話すことじゃなかった。
「シェルター」って金持ちだなって思ってたけど、そういうところで稼いでるのね。
他にも、私たちが知らないところで、色々と資金集めをしているのでしょう。コータローさん、気にしないでちょうだい。今の話は聞かなかったことにするから。
う～ん、あの人、ハッカーとして天才だけど、池辺先生以上に人間性が壊れてるからな。「天才」と一「天災」は紙一重みたいな……
コータロー、今のも聞かなかったことにするぞ。あたしたちは、警護対象になる人間以外は「シェルター」がどんな人を匿ってるかも知っちゃいけないことになってる。
コータロー、お前、診察室に行って謹慎してろ。
なに言ってんすか？ 最初に黒木清左衛門って名前を出して、「シェルター」に匿われてるっと付け足したのは、池辺先生っしょ。機密の漏洩元は、先生です。
内アオイと私が診察室に行きますから、みなさんは内輪もめしないで、仲良く段取りつけてください。「Ｍ」に口添えしてもらう必要があれば、おっしゃってください。佐伯警視正から情報を盗むのは、私たちのためでもあるのですから。
いいえ、慧子さんたちと「Ｍ」さんのことは一切伏せて、ハッキングを発注します。警察庁生活安全局の動向を把握するのは、私たちの日常ビジネスの範囲内です。
だが、今回は、あんたとコータローの名前も出すわけにいかないぞ。あんた達は、公式には「京橋テクノサービス」の社員じゃなくなってるんだからな。
そこは池辺先生の交渉力で、よろしくお願いします。
