第110話  家庭訪問  3

文字数 2,121文字

お姉ちゃん。ちょっとだけ家の前まで来て欲しいんだ。

 どういう事か分からないまま、凛はももまろをリードに繋げて先生と一緒に家から出てしまう。


 俺はその後を付けると、なにやらマンションの下が騒がしい。


 何事かと思い、階段から下を見てみると……

【魚住】

あっ! お姉さん。


お姉さん~~~!

おねえさん~~~!
え? なにこれ。
お姉さん。下まで降りていただけませんか?
お姉ちゃん! 早くっ!
 マンションの下に子供達がめっちゃ集まってるんだけど。
え? もしかしてクラスの子達?

クラスのみんなが、あなたを一度見てみたいってね。

全員来ちゃいましたよ。

ちょ! なんだって!

何で俺を……

 意味が分からないまま下まで降りると、先生は勝手に自己紹介をしてくれる。


 すると、クラスのみんなにめちゃ見られてるんだが。

 しかも「美人」やら「綺麗」やら、俺の苦手言葉をヒソヒソと話しやがる。

失礼ながらあなたの事は我がクラスの子供達にお教えしました。

今までどのようなことがあったのか、そして黒澤に対する家族の絆や愛情も含めて……クラス内で話し合ったんです。


クラスのみんなにとても参考になり、人間としても……とても大事なことを教えていただいた。

みんなあなたに感謝し、今日……お礼の返事をしにきたのですよ。

そ、そんな……わ、わたしは……

生徒だけじゃない。私も……感謝してます。


このような素晴らしいクラスに成長したのも、あなたのおかげです。

 先生にまで謝られて、俺は一体どうすればいいのか迷っていると、先生は空気を読んでくれたのか 「みんな」と声を掛ける。


 次の瞬間。クラスのみんなが一斉に「ありがとうございました!」と声を張り上げたのだ。

 更には「拍手」と言うと、同じように「パチパチ」とすっげー音が聞こえてくる。


 特にドッジボールでお馴染の三人が張り切りすぎだぜ。



 やがて拍手が鳴り止み、先生はこちらに目線を送ると「何かコメントをどうぞ」と言いたげであった。

あの……みなさん。

凛を……凛をよろしくお願いします……

ううん。凛だけじゃなく、みんなも……ずっと仲良く……いて欲しい。

小学校だけじゃなくって、この先もずっと……


友達を……家族を大事にしてあげてください。

 そう言い放った瞬間、先生の「拍手」の声に再び大音量が響き渡る。

 通り過ぎる人も、こっち見てるから、恥ずかしいって!


 それと三人組の拍手がもう……必死すぎて笑いそうだ。

素晴らしい。やはりあなたは……とても素敵な方だ。

お姉さん。あなたはもっと……自信を持っていい。

もっと自分の意見を、友達に喋ってみてはどうでしょうか?


あなたという人間が分かれば、どんな人間でもきっと仲良くやれます。

もっと自分の意見を……

 何だろう。さっきからこの先生と喋ってると、とても心地が良くて……


 やたらシックリくるんだ。

何かあれば相談に乗りますよ。

では。また。


今日は本当にありがとうございました。

 先生が挨拶すると共に、生徒達も一気に声を張り上げる。


 「よし。先生とみんなで帰ろう」と言うと、ようやくマンションから離れていくのであった。

 もっと自分に自信を持っていい。か……

 先生は何故そんな風に思ったのだろうか。

お姉ちゃん……
僕……あんな先生みたいに……なりたい。そう思っちゃった。
そりゃ奇遇だな。俺も今……なんとなくそう思った。

 先生は笑顔を見せ、みんなに囲まれ楽しそうに離れていく。


 あの先生はきっと……今、すごく幸せなんだろうなって、俺にはそう思えた。

 

 さぁ家に戻ろう。


 凛と手を繋ぎ階段を登ろうとすると、その時スマホがブルった。

ん? 親父?

 突然だったので、少しだけ間を開けて通話ボタンを押す。

 

 久しぶりだったけど、あいも変わらず普通に接していると、向こうは「連絡しなくてすまんな」と返してくる。


 いつもそうだから。別に今更何とも思わない。

あのな。来週の日曜日には家に戻る。

 しかも突然。

 だけど……これだっていつもの事だ。

そっか。で? いつまで家に居れるんだ?
楓蓮。長らく家を空けてすまなかったな。これからは当分。家にいるから。
親父……
そー言って、またどこかに行くんだよな。

……今までごめんな。

どこかに行くかどうか。それはずっと家にいてて証明する。

 親父……


 親父が家に帰ってくる!

華凛にも言っておいてくれ。

来週からはずっと家にいるからって。

 親父は用件だけ済ませて通話を切る。

 

 すぐに凛がどんな話なのかを聞いてくると、素直になれない俺は……

来週。親父が帰ってくるってよ。

今度はずっと家にいるとか言ってるけど……信用なんてでき「

ほんと? やった! 


お父さんが帰ってくる……

やっと帰ってきてくれる……

凛……
お姉ちゃんは……嬉しくないの?
いいや。嬉しいに決まってるじゃないか。

 俺はあいつに裏切られてばっかりだからな。信用しきれない部分もあるけど、

 凛の嬉しそうな顔を見ちまうと、こっちだって素直にならざるをえない。

ああ、やっと家事から開放されるぜ。

あいつに全部任せちまおう。

 嬉しくない訳が無いだろ?

 

 親父が帰ってくる。やっと……帰ってくる!

――――――――――


7章終わり 

8章前に登場人物3があります

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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