第13話 修行道場?な『NOVEL DAYS』

文字数 4,237文字

 どこの投稿サイトにするか。
 皆さんはどうやって選んだのでしょうか?
 サイトによっては、人気作は書籍化されるとか何とか、夢のような話が書かれていることもありますよね。これほどの出版不況を考えると、にわかには信じがたいような気もしますが……私は実態を知らないので、ご存知の方、教えて下さい(笑)。

 さて一般文芸を書いている方は同じじゃないかと思うのですが、いわゆる「なろう系」を覗いた時には、私も目が点になりましたよ。すぐに「駄目だ、こりゃ」と思いましたよ。
 転生? 異世界ファンタジー?
 意味が分からないぐらいなのに、そこへ飛び込んでうまくいくわけがありません。

 じゃあ、このサイトにはどうやってたどり着いたかというと。
 確か「非ラノベ」の条件で検索し、投稿サイト比較記事をいくつか読んでのことだったと記憶しています。比較的、年齢層が高めと紹介されていたような。

 でも今、試しにもう一度同じ条件で調べてみたら……あらら、NOVEL DAYSは誰もおすすめしていないみたい。人気、ないんでしょうか(笑)?
 もちろん、そういう記事をどこまで信用するか、という問題はあります。書き手の方は実際に登録して投稿もし、その体験に基づいて記事にしたと仰っていますが、人によって感じ方はそれぞれ。自分でやってみないと分からないことって、たくさんありますよね。

 だけど私が最初に覗いた時の印象は、紹介記事にあった通りです。NOVEL DAYSには何となく「大人」な雰囲気が漂っているように感じました。
 当時はここでもランキング上位にはファンタジー系が多い印象でしたが、一方で「純文学?」と思われる作品もちらほら。ここなら少なくとも「場違いな奴は出て行け!」とはならないだろうと思ったわけです。

 どのみちダメ元です。まずはやってみようと思いました。
 楽しくなかったら、いつだってやめれば良いのです。あるいは私も(苦手だけど)ファンタジー要素を入れるとか、やっているうちに何か別の道が見えてくるかもしれません。

 そこで私は、以前の落選作からとりあえず『三色旗と私』を選び、ちょっとずつ区切って投稿し始めました。
 最初のうちは誰にも読まれないだろうと思っていたのに。
 早速何人かの方からコメントを頂きました。すごくドキドキしました。反応をもらえることの、何とうれしいことか!(この「初期」の方々の中には、すでにサイトから姿を消された方もいらっしゃるようですが、今でも感謝しています)。
 文学賞に一人で応募していた頃にはなかった感動ですね。

 しばらくすると、サイト内コンテストが行われました。
 これがまた「大人が楽しめる骨太小説」というお題だったんですよね。
 本当なの?と私は半信半疑。いくら大人の投稿者が多いからって、ネット小説の世界で堂々と「大人向け」を目指してもいいの? 蓋を開けたら、やっぱりファンタジーばかりが選ばれるんじゃない?
 でもせっかくの機会なので、これまたダメ元で応募することに。

 ここで佳作に入れて頂けたのは、これまたビギナーズラックだったんでしょう。
 だけど私は何より、このサイトの方向性を示して頂けたように感じました。ここでは文芸もありだと言われたような。ネット小説の世界だからって、無理にファンタジーにしなくてもいいんだよ、とでもいうような(違ったらごめんなさい)。

 なので私の場合、このサイトを選んで正解だったんだと、この時に思えたわけです。

 もちろんこのサイト内コンテストも、思うところはいろいろあります。私もその後は一部書評を除いて苦戦していますし、だんだん応募総数も増えてきた今、入賞は並大抵のことではなくなっていますね。
 特に「2000字歴史」の時には、他サイトで歴史物を書かれていた方がどっと入って来られて……。
 こんなにライバルが増えちゃったら、もう駄目ですよ、ほんとに(笑)。

 それでもこのサイト。自分と同じような人がたくさんいて、皆さん、やっぱり同じ悩みを抱えながら書いていると感じます。であればこそ、自分の欠点に気づくきっかけにもなります。

 自分で腑に落ちるというのは、他人に問題を指摘されるのとは大違い。ここで皆さんの作品を読ませて頂いていることが、自分の成長につながっていると感じられるのです。
 それこそ有料の講評よりも、このサイトに籍を置かせて頂いていることの方が、効果的。
 これ、すごいです。無料なのに!と思います。

 だから私にとって、NOVEL DAYSは優れた修行道場。特にコンテストは出すだけでかなりの訓練になります。つまりここで腕を磨いて、いつかまた文学賞に再チャレンジする所、というのが私の認識です。(これまた違ったらごめんなさい)

 SNSとは違いますが、書き手同士の交流も意味のあることだと感じています。ファンレターのやり取りの中で得られることも多いです。特に、自分の表現したいことが伝わったかどうかの判断には欠かせないものではないかと。

 ファンレターに関しては、あまり良いイメージをお持ちでない方もいらっしゃるのでしょうか。
 確かにコメントではなく、ファンレターという名になっているところが微妙ですね。好意的な内容で送って下さいねと、また一方的な愛情表現であることを承知の上で送って下さいねというニュアンスを感じます。
 過去に攻撃的になってしまう人や、ファンレター返しを要求する人がいたんでしょうか。

 だけど、細かいことを気にし過ぎて沈黙してしまうのは、ちょっと寂しい気もします。相手を傷つけないよう言葉に気をつけるのは当然のことですが、あまりに委縮して何も言えなくなってしまうのも考え物です。

 異論もあるでしょうが、私の場合は辛口コメント大歓迎! 攻撃なのか応援なのかは、読めばわかりますよね。だいたい真剣に読んで下さった方にしか、本当の意味での辛口意見は言えないものかと思います。
 自分の成長につながってこそ、ここで活動する意味もあるというもの。なので問題点を見つけた方には、ぜひ遠慮なさらず、教えて頂きたいと思っています。

 さてこのサイトには、ハイレベルな書き手の方が何人もいます。
 それぞれに私にはない魅力を持っていて、それが作品にも表れています。とても勉強になります。

 だけどこれまた良作を読んだ場合、それが自信喪失につながってしまう危険もあるのです……。
 告白してしまうと、私は人の作品を読んで感動したにも関わらず、悔しくて「いいね」を押せなかったことがあります。本当に、何度も(笑)。

 だけど時間が経つにつれ、短期間で姿を消す人の存在に気づきました。かなりの実力者であるにも関わらず、やめてしまう人がいるのです。
 理由は分かりません。コンテストで落選したのがショックだったのかもしれない。思ったほどのPV数が取れなかったのかもしれない。あるいは単に、気分転換で他のサイトに移っただけかも?
 いずれにしろこのサイトでは「評価されなかった」と感じていた可能性はあるんじゃないでしょうか。

「いいね」ぐらい、しておけば良かった……。

 そんな風に思うことが、だんだん増えてきました。ファンレターを送るとなると、それはしっかり読み込んでいないとできないことだし、場合によってはちょっと勇気のいることだったりもしますが(ファンレター受付をしていても、返信等をなさっていない方だと、やり取りを希望されていない可能性が考えられます)、「いいね」は匿名で、しかも無料なんですから。

 なので今は、「作品お気に入り」や「いいね」は積極的に押すようにしています(もちろん本当に「いい」と思った時のみですよ!)。普段コメントのやり取りをしていない方にも、かなりの「いいね」をしていることだけ、こっそりご報告させて頂きます(笑)。

 ランキング操作とか何とか、本当にそんなことができるのかどうかも、やっている人がいるのかどうかも私は知りません。
 だけどもし、そんな動きが少しでもあるとしたら、誠実な作者さんを応援することが、せめてもの抵抗になるんじゃないでしょうか。良質な作品が評価されるサイトになっていくためには、その「ポチ」が重要だと思うのです。
 なのでちょっとでもいいなと思えたら、どんどん押すべし。ケチっている場合じゃありません(笑)。

 ランキングの話をしてしまったので、ついでに申し上げておきます。
 魅力的かどうかは、実際に作品を読んでから判断すべきです。批判だって、もし本当にやるなら「その作品に対して」すべきでしょう。作者さんに対する批判は単なる攻撃です。

 だけど読者側になってみると、すべての作品に目を通すことはできません。とりあえず魅力がありそうだと感じた作品を読んでみるのが現実ではないでしょうか。
 なのでそれを分かっている投稿者は、まずは「読まれるかどうか」を競うことになってしまうんですね。

 読まれるためには、上位にいなければなりません。あるいは何か他のことで注目されなければなりません。
 たぶん、ランキングを気にされる方は、ここなんだろうなと想像します。でも例えばユーチューバーが再生回数を競ってつい過激な方向へ行ってしまうように、あまりにそこを気にしてしまうと、ここでも何かおかしなことが起きかねないと思うのです。

 どうか、作品の質をおろそかにしないで!
 皆さん、書きたい作品というものが先にあるはず。それで人の心を動かさなくちゃ、作品が死んでしまいます。
 
 なお、受賞歴やランキング、PV数は、参考にはなるので否定しませんが、その方の実力を必ずしも反映していないような気がしています。受賞歴がなくても、数字がゼロに近くても、すごい人はすごいですから(ここをちょっとでも担保するために、コンテストがあるのでしょうね)。

 これからも、皆さんの作品から勉強させて頂こうと思っています。
 このサイトの年齢層は、あれからさらに上がったように感じますが、だからこそ厳しく質が問われているような気もします。生き残るのは、なかなか難しい。私もいつまで投稿を続けられるか分かりませんが、やれるだけのことはやってみたいと思います。

 歴史物というジャンルも、まだまだ不利だと感じます。それでも自分が書きたいものを目指し、ブレずにやっていこうと思っているところです。
 NOVEL DAYSは私にとって、本当に「ヒット作品」だったわけですから。
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