2020/08/31 21:26

文字数 751文字

遠い異星の革命の魔女
と、いうわけで、書いたファンレターからの抜粋です。

遠い異星の革命の魔女

この作品は、SFファンタジー作品である。神学的なSF的設定で世界観が出来ている。その上で、ダークファンタジーである。ファンタジーは大別するとハイファンタジー、ロウファンタジー、ヒロイックファンタジー、ダークファンタジーの四つがあり、ファンタジーのサブジャンルの人気はその四つをぐるぐると周回することになる(なお、ロウファンタジーとは僕、成瀬川るるせが書くタイプの作品などを指す)。その中の、正真正銘のダークファンタジー。ただ、そのSFやファンタジーというのはカテゴリでしかない。とよねさんの描く小説の特徴は、世界観を踏まえた上で〈末端/現場〉を丹念に描くのに重きを置くという点にある。設定も世界観も練り込まれているので、上層の諍いで終始しても小説は成り立つが、とよねさんは〈市井の人々に寄り添った〉視点の描写をしつつ、且つ、彼ら彼女らは各々〈ハードボイルドな価値観〉でその世界を時に残酷にサヴァイヴする。この、作者の視線・目線をロバート・A・ハインライン風に呼称すれば〈月は無慈悲な夜の女王〉となるだろうか。男性の僕が読んでも登場人物に痺れるのは、人物同士のやりとりの軋み合いが、最高にポリフォニーを奏でているからだ。文学は人間を描き、SFは人類を描く。この作品は、SFでありファンタジーであり、同時に文学である。信念を持った理想主義の作者は、モノローグでも十分通用しそうな強度(インセンシティ)を持ったこの作品群を、パイプオルガンのように重層的に、しかし冷徹に奏でる。未読の方は、ぜひとよねさんのアースフィアシリーズに触れてみて欲しい。

2020/08/31 21:26 コメント(-)| 随想遊戯
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