雪の降り積もる島
文字数 748文字
「ノイキュステの方々に話を聞いて回ったが、聖霊に関する話は聞けなかったな」
溜め息を聞いたザウバーは、彼女の方に振り向く。
「目新しい情報は、一年を通して雪が積もっている島が在る事位だもんな」
「だったら、いっそのことディス島に行ってみない? 一年中雪が積もっているっていうのも、面白そうだし」
ダームは仲間の顔を見上げ、にこやかな笑顔を浮かべた。彼の話を聞いたベネットは、左手を顎にあて目を細める。
「確かに、他の手掛かりが無い以上、ディス島も視野に入れた方が良いな。それに、この街では雪を見かけなかった。それなのに、少し離れた島では雪が降り続いている。ならば、ディス島に不思議な力が働いている可能性を否定できない」
ベネットは、そう説明すると軽く目を瞑る。
「だけどよ、島にはどうやって行くんだ? ノイキュステの奴らは、あの島に近付きもしないんだろ?」
「移動手段ならば問題無い。ペガサス種を召喚すれば、ディス島までの距離位なら直ぐに移動出来る」
青年の話を聞いたベネットは、落ち着いた声で説明を加えた。一方、その説明を聞いたザウバーは、微かに顔を強張らせる。
「ディス島に向かうのなら早い時間の方がいい。雪が降る様な島だ、夜になれば寒さはノイキュステの比では無い」
説明を終えたベネットは、何かを確かめる様に空を見上げる。彼女は、数秒空を眺めてから仲間の顔を横目で見た。
「そうだね。島に向かおう、ペガサスも見てみたいし」
「わかった。では、先ずは海岸へ向かおう。街の中で召喚獸を呼ぶのは目立つ」
そう言うと、ベネットは仲間の顔を交互に見た。それに気付いたダームは楽しそうに肯定の返事をなし、ザウバーはしぶしぶといった様子で頷いた。