第7話 田中宮司と田所さんの霊感カンファレンス

文字数 973文字

 土曜日の昼下がり、食事を終えた田中宮司と田所さんが俺の前の席に座った。
二人して俺をジッと見たので少し身構えた。今日は岬だけが、窓際のテーブルでうたた寝をしている。

「成田君と村瀬さんはね、姉と弟みたいなものなんだよ」
 田所さんは、いつも前置き無しに話し出す。
「似ているから、しゃべらなくても気心が知れるっていうか、一緒にいて落ち着くだろ?」
「まぁ……はい」

「いいときはいいんだよ。でも落ち込むときは、二人してズーンって真っ逆さまに落ち込んじゃう」
 田所さんは人差し指を下に向けた。
「はぁ」

「だから繊細な村瀬さんには、ああいう百川みたいな強引な男が丁度いいんだ」
 はいそうですか、なんて言えないよ。
「そういうもんですか? あんな無神経そうな百川と合いますか?」

 田所さんはほうじ茶を飲み、一息ついて、
「あのね、タイプが違うから、いい意味で深刻にならないで済むんだよ。だから君もタイプが違う子を、例えば開ちゃんみたいな」

 そのとき宮司が口を挟んだ。
「天宮さんは服部ファミリーに引っ張られちゃったよ」
「そうなのかい?」

「服部君のことはお祖母ちゃんが超心配していてね、お祓いに無理矢理引っ張ってきたのもお祖母ちゃんだったもん。天宮さんと引き合わせたのは、お祖母ちゃんの一念が大きいと思うよ~。お祖母ちゃんのサイキックパワーがハットリグループの屋台骨だよ、ありゃ」

「服部がこぎれいになったり、花を持ってきたりしたのも、お祖母ちゃんの入れ知恵なのかい?」
「それは違うと思う。それぞれ誰か別の人間のアドバイスっぽい」

 服部の話なんてどうでもいいんだけど。
そんな俺の気持ちを察したのか、田所さんは、
「成田君、あんたは今、進みたくても進めないような閉塞的な気持ちだろうけど辛抱しな。もう少したてば川を渡れるから。それには誠実に準備することが必要だがね」

「そうそう、そうすれば状況は変わります、それからえーっとね、北、北に行ってください」
「北ですか?」

「調整に調整を重ねて、出会う人がいるはずだから、スルーしないよう自分の感度を磨いておいてね~」
「そうだよ、出会いはプレゼント、試練もプレゼントだよ、成田君」

「出会いって、彼女ができるってことですか?」
 2人は笑い出した。「さあ、それはどうだか」「焦っちゃダメよ~」
俺へのアドバイスを終えた二人は雑談を始めた。

 北?

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登場人物紹介

成田 宗也(なりた そうや)


高専生 アイドル顔だが、失踪した父親と似ているため、自分の顔が好きじゃない。

米澤 広樹(よねざわ ひろき)


オオツボ模型に来るようになった小学生 発達障害

小泉山 紗弥(こいずみやま さや)


雲間温泉境リハビリセンター勤務

村瀬 芽依(むらせ めい)


たんぽぽ食堂で学習支援を行っている泉工医大生

本郷 明音(ほんごう あかね)


同じクラス エロマンガを描くのが趣味 兄がレンコン


岬 悠生(みさき ゆうせい)


たんぽぽ食堂の常連 工業高校 道の駅ラップバトルの常連

田中 秀一(たなか しゅういち)


符丁神社の宮司 霊能力者 独身

二宮 治子(にのみや はるこ)


たんぽぽ食堂のオーナー 資産家

畑中 麻美(はたなか あさみ)


たんぽぽ食堂の調理師 優しく穏やか 節約料理が得意で手際がいい


近藤 優名(こんどう ゆうな)


第1章 参照

近藤 彩(こんどう あや)


近藤優名の叔母にあたる 化粧品工場の技術職 

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