1◆不思議な部屋の主
文字数 883文字
いつの間にか琶右 は周囲を五枚の壁で囲まれた部屋で座っていた。
面積の均等な壁は部屋が正五角形であることを示し、そこには幼児が描いたような極彩色の怪獣が何匹もいる。
床は毛足の長い絨毯で覆われ、バレーボール大のヌイグルミがあちこちに散乱していた。
彼女は絨毯に尻をつけて座りボンヤリとしている。
その姿は瑞々しい十代半ばの学生のようだ。
髪は目立ちすぎない程度に色を落とし、ショートボブで自然に流している。
東洋人としては白い肌を桃色のキャミで覆っているが布地が少ないため、ほどよく育った胸と太股のほとんどが露出していた。
通常であれば羞恥に駆られる格好だが、それを気にする様子はない。
ただ虚ろな瞳で周囲に転がるヌイグルミたちを眺める。
――カバ、メダカ、スズメ、ミミズ、ネズミ………………
そうしているうちに、瞳に興味の色が灯りはじめた。
だが不思議とそれに手を伸ばそうという気分にはならない。
そんな時、頭上から「そろそろ声をかけても良いかしら?」という可愛らしい声が届く。
首を上に傾けるとそこには背の高い椅子に座った少女が、幼さに見合った大きな羊のヌイグルミを抱えていた。
幼い顔つきには蒼く大きな双眸が添えられ、その両方が琶右 へと向けられている。
性差が曖昧な身体は妖精のように華奢で、その上を流れる金髪は床に届くほどに長い。
シミひとつない裸体を隠すのはその金髪と、抱えたヌイグルミだけだ。
数瞬、少女にみとれる琶右 だったが、ようやく自分の置かれた状況に疑問を抱く。
「えと、あの……ここは?」
しどろもどろにたずねる琶右 に、少女はヌイグルミを抱えたまま椅子から飛び降りて答えた。
「ここはあたし、アリエルの部屋よ」
アリエルと名乗った少女は長い髪を引きずりながら相手の側までやってくると膝を曲げ、座ったままの彼女と視線を揃える。
そして「ようこそ眠り姫 、可愛い女の子は大歓迎よ」 と、歓迎の笑顔を披露してくれた。
面積の均等な壁は部屋が正五角形であることを示し、そこには幼児が描いたような極彩色の怪獣が何匹もいる。
床は毛足の長い絨毯で覆われ、バレーボール大のヌイグルミがあちこちに散乱していた。
彼女は絨毯に尻をつけて座りボンヤリとしている。
その姿は瑞々しい十代半ばの学生のようだ。
髪は目立ちすぎない程度に色を落とし、ショートボブで自然に流している。
東洋人としては白い肌を桃色のキャミで覆っているが布地が少ないため、ほどよく育った胸と太股のほとんどが露出していた。
通常であれば羞恥に駆られる格好だが、それを気にする様子はない。
ただ虚ろな瞳で周囲に転がるヌイグルミたちを眺める。
――カバ、メダカ、スズメ、ミミズ、ネズミ………………
そうしているうちに、瞳に興味の色が灯りはじめた。
だが不思議とそれに手を伸ばそうという気分にはならない。
そんな時、頭上から「そろそろ声をかけても良いかしら?」という可愛らしい声が届く。
首を上に傾けるとそこには背の高い椅子に座った少女が、幼さに見合った大きな羊のヌイグルミを抱えていた。
幼い顔つきには蒼く大きな双眸が添えられ、その両方が
性差が曖昧な身体は妖精のように華奢で、その上を流れる金髪は床に届くほどに長い。
シミひとつない裸体を隠すのはその金髪と、抱えたヌイグルミだけだ。
数瞬、少女にみとれる
「えと、あの……ここは?」
しどろもどろにたずねる
「ここはあたし、アリエルの部屋よ」
アリエルと名乗った少女は長い髪を引きずりながら相手の側までやってくると膝を曲げ、座ったままの彼女と視線を揃える。
そして「ようこそ